41.剣道大会
普通の剣道を期待していた方ごめんなさい。って居ないかな?
前書き後書き小劇場
「ふっ。このスペツナヅナイフだって立派な近接武器さ。くらえ!」
翌週になり、いよいよ甲子園大会の地区予選が始まった。
種目別に開催地が異なっていて、俺たちの学園から1時間以内に行ける会場は6か所。
スケジュール的に言うと、今週が地区予選、今週末が地区決勝、夏休み中に全国大会が行われることになるらしい。
そして今、俺たちは剣道?の予選を観戦していた。
「俺てっきり、剣道っていうから、木刀か竹刀で戦うんだとばかり思ってた」
「うわ、鞍馬君って助っ人を受けてたのにそんな事も知らなかったんだね」
「正確には種目:武道『近接武器』ですから。
短刀、長剣、槍、ヌンチャクなどなど、近接武器なら何でもありです。
ちなみに、素手と遠距離武器は別種目ですよ」
「それでどうやって勝ち負けを決めるんだ?
まさか最後まで立ってた方が勝ちって訳にもいかないだろ?」
「それはあの着てる防具が魔道具になってて、ダメージを計測してくれるんだって」
「なるほど」
ちょっと鑑定してみるか。
……ふむ。どうやら魔法少女が使っている魔道具よりも俺が使っている魔道具に近い形か。
使用者の魔力を元に防具を形成して装着すると。違いは追加でダメージ計測を行う機能がついている事か。
防具の魔力の約50%を破損すると負けフラグが立つようになっているんだな。
なのでまぁ、同程度の魔力保有者同士ならそれなりに安全に戦えるって事だろう。
「あ、北山君が出て来たよ」
南野さんの指した方を見れば、今まさに北山が防具と武器を携えてリングに上がった所だった。
ふむ、北山はオーソドックスに剣に盾の騎士スタイルか。
対する相手は大剣のパワーファイター型と。
「鞍馬君、どっちが勝つかな」
「まぁ順当にいけば北山だろうな。魔力量が違うし」
普段体育の時の動きを見ていれば、北山の運動神経が良い事も分かる。
だから油断して直撃を喰らわない限りは大丈夫だろう。
「はじめ!」
「おおぉぉ」
開始の合図と同時に雄叫びをあげながら突撃する相手選手。
うわ、ダメだなこれは。単調過ぎる。北山にそれは通じないだろう。
ザンッ、ガキン。
「な、なんだと!」
上段からの切り下ろしが難なく北山の盾で防がれて、驚いてる。
いや、俺もびっくりだよ。普通防げるって。
北山も、確かに簡単に防げるだろうけど、受け流して体勢崩したところに一撃入れた方が楽だろうに。
わざわざ受け止めたのは親切心からなのか。
「はっ」
「ぐおっ」
北山は盾で相手の剣を叩き上げて、胴に一撃を放った。
たまらず相手が片膝をつくと同時に、装着していた魔道具が赤く光る。
「勝負あり!」
「「おおおぉぉ」」
審判の宣告と共に会場から歓声があがった。
「北山君強いね」
「ああ。この調子なら地区予選は突破出来るかもな」
実際身体強化だけなら、以前の南野さんを超えていると思う。
これならきっと魔犬くらいなら勝てるんじゃないかな。
と、思っていたら隣のリングも試合が終わったらしい。
「ん?」
「どうかしたの?鞍馬君」
「あ、いや。何でもない」
隣のリングから若干の魔法行使後の残り香が見受けられた。
一応この大会、魔力による強化はあっても、魔法による攻撃などは禁止されているらしいんだが。
どのみち隣のブロックなら決勝トーナメントまでは当たらないか。
「それより、北山の様子でも見に行こうか」
「うん!」
初日の今日は参加者も多い分、一人1試合しかない。
なので北山ももう着替えをしに行っているところだろう。
そう思って選手控室に通じる通路まで来てみたんだが。
「……なにあれ」
「俗に言うハーレムって奴じゃないか?」
丁度そこには3人の女性に囲まれた北山が出てくるところだった。
あ、3人のうち1人は内川さんだし、きっと剣道部の女子3人組だろう。
内川さんが北山の事を好きなのは分かってたけど、残りの2人もどうやら満更でもなさそうだな。
というか、北山。尻に敷かれ過ぎてぺしゃんこにならなければいいけど。
北山のハーレム話はおまけです。
今後に響くことはないかと。
「負けるか。伸びろ如意棒!」




