4.現代風でした
連載開始記念で1日2回投稿予定。
1日分と思ったら1話1話が短いから時間が進まない(汗)
ちょっとだいぶ違う小劇場
「おかりなさいませ。ご主人様♪」
学園1階から渡り廊下を通り、別棟の南西の角にある学食に俺達は来ていた。
んだけど。あれ?なんかイメージ違うぞ。
「ここって学食、なんだよな」
「驚いた?凄いでしょ~」
「なんで陽子ちゃんが自慢気なのかな」
そこは学食とは名ばかりのカフェテリアだった。
南と西の2面が外に面していて、昼の日差しが差し込んでるし、オープンテラスが解放されていて凄くお洒落だった。
「俺の想像してたのって、整然と長机が並べられて、売場には行列が出来てるやつだったんだけど」
「それは東館にあるわよ。こっちより安くてボリュームがあるから男子に人気ね」
この学園、高校大学が同じ敷地にあるマンモス校なので、そんな芸当が出来るらしい。
聞けば大学棟にももう1つ安めの食堂があるらしい。ここは全校が共有して使ってる場所なんだとか。
そして俺達が空いてるテーブルに着くと、早速ウェイトレスの女性が来た。
「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか?」
「あ、葛西先輩」
「こんにちは。陽子ちゃん、水希ちゃん」
「こんにちは」
どうやら顔見知りらしいな。
学園内の狭いコミュニティなら当たり前と言えば当たり前か。
2人もここの常連みたいだし。
「それで、そっちの子はどっちの彼氏なの?」
「かっ」
「あはは、違いますよ。彼は鞍馬くん。転校生なんです」
「へぇ」
先輩の言葉にびっくりする東さんと笑う南野さん。
ほんと反応が真逆で見ていて飽きないな。
「っと、詳しい話はまた後でするとして、ご注文はどうしますか?」
接客モードに戻った葛西先輩にメニューを聞くと今日は肉メインのAランチと、パスタがメインのBランチだそうだ。
なので俺はAランチを、南野さんはBランチとデザートのプリンを、東さんはプリンだけ注文することにした。
「それでは少々お待ちください」
そういって厨房にオーダーを伝えに行く先輩を見送ると、気になってた事を聞いてみた。
「今の人って、先輩って言うことはここの学生なのか?」
「うん。付属大学の1回生です」
「ここの学食は職業訓練も兼ねて厨房にも何人か大学の生徒が働いてるんだって」
「放課後なら私達でもアルバイト出来ますよ」
「そうなのか」
バイトか。それも学生の醍醐味だよな。
もしくは部活とか。
「そういえば、ふたりは部活は何かしてるのか?」
「部活?うん、私達は天文部だよ」
「葛西先輩もですね」
「天文か……それなら」
運動系の部活はまず無理だと思ってたし、それなら全く興味の無かった分野はうってつけだろう。
「お!もしかして興味あり?
なら、明日の放課後予定空けておいてよ」
「明日か。分かった」
「はい、お待たせ致しました♪
ご注文のAランチとBランチがひとつ、プリンが2つです」
そこにタイミング良く葛西先輩が料理を運んできた。
「先輩、先輩。鞍馬くんも天文に興味あるんだって」
「そうなの?それは楽しみね」
「すみませーん」
「はーい、ただいま。ごめんね、また明日の放課後にね」
「はい」
流石にお昼は忙しいらしく、すぐに他のテーブルに呼ばれていった。
その背中を見送り、俺達は早速料理に手を付けた。
「って、肉旨っ!」
すごいな。肉の柔らかさといい、噛んだときのジュワっと溢れる肉汁といい、最高級肉を一流シェフが料理してるんだろうか。
これなら付け合わせの野菜も期待出来そうだな。
「……あれ?野菜は微妙だ」
うーん、ちょっと残念だな。
そんな僕の表情の変化がおかしかったのか気が付けばふたりがじっと俺の顔を見ていた。
「鞍馬くん。
そんなに今日のお肉美味しいの?」
「ああ。1つ食べてみるか?」
「いいの?どれどれ……あむ。んー、いや普通じゃない?
水希ちゃんも食べてみて」
「えと、じゃあ失礼します。……うん、美味しいけど、特別ではない、かな」
「そうなのか」
この世界の食肉事情恐るべしだな。
逆に農業事情は推して知るべきってことか。
そんな感じで一喜一憂しながらお昼の時間は過ぎていった。
食肉産業は発達しているので食べて美味しい家畜が育てられた結果、お肉は美味しい。
しかしながら工業化のあおりを受けて野菜はまずいという、ここだけ現代的?
やっぱり田舎の野菜は美味しいんですよ(何の話だ)
「そちらのお肉、1枚1万円となっております。
あ、勿論スマイルにはダイヤモンドの輝きでお願いしますね」