34.特訓第2弾1回目 掛かり稽古(サンシャイン&シリカ)
よく分からない今回予告
「いざ、部長の座を賭けて!!」
続いて二人一組の掛り稽古。
今日はまず、相性的にサンシャインとシリカ、レインとウィンディで組んでもらう。
「シリカはまず久しぶりの土魔法の使い方を思い出して。最初は盾を土魔法で強化してサンシャインの攻撃をガードして。もちろんサンシャインが隙を見せたらメイスで攻撃しても良い。
その辺りはシリカなら臨機応変に動けるだろう」
「分かった。任せて」
「サンシャインは剣に魔力と炎を纏わせることを意識してシリカに自由に切りかかってくれ。
あと、『フレイムバースト』は今後、蜂みたいに小さくて数の多い魔物以外には使用禁止な」
「えぇぇ、そんなぁ。それじゃあ私の必殺技は!?」
「新しいのを教えるまで封印だ」
「という事は、今度新しいのを教えてくれるんだ!」
「成長して使えそうだと判断したらな」
「よぉし、頑張る!」
「レインとウィンディはまずは5メートル離れた状態からスタートだ。
レインはウィンディの矢を避けたり弾いたりしながらウィンディへと切りかかる。
ウィンディはレインとの距離を維持しながら矢を撃ち続ける。
レインの剣や魔法がウィンディを捉えたら、距離を1メートル離して再スタート。
逆にウィンディの矢がレインにクリーンヒットしたら距離を1メートル近付けて再スタート。
開始の合図は慣れるまでコロに頼もう」
「リュージュ君。それって近づかないといけない私が圧倒的に不利じゃないかな」
「そうね。私の方はどれだけ離れても攻撃が出来る訳だから」
「まぁやってみてください。俺の勘が正しければ、最初こそ2人が言った通りになるけど、レインが諦めずに頑張り続ければ10メートルくらいまで離れる事だって出来ると見てますよ。
ただ最初は1メートルまで近づく事になるんじゃないかなとも思ってますけど」
「あと、ここでは全員怪我ひとつしないので、全力で相手を攻撃して大丈夫です。
それでは、はじめ!」
俺の合図に合わせてまずはサンシャインがシリカに向かって上段切りを放った。
「やあっ」
「ん?」
ガンッ
だがシリカは余裕を持って受け止めていた。
あたりに鈍い音が響く。
「ていっ、やっ」
続けざまの斬撃もシリカは難なく受け止められた。
でもその眉間にしわが寄っていく。ま、あんなの見せられたら仕方無いか。
「えい、やあぁ」
「ふんっ」
「きゃあああ」
カウンターで振るわれたシリカの盾によって、サンシャインが吹き飛ばされる。
シリカはそれを動くことなく見送った。
「サンシャイン。病み上がりだからって手加減は無用よ。
それとも、その程度で魔物に勝てるとでも思っているのかしら」
「うっ、ごめんなさい」
「分かったら、私の盾を両断する覚悟で来なさい」
「はい!やぁ」
キンッ!!
今度は打って変わって鋭い金属音が響いた。
よしよし、ちゃんと剣に魔力を籠めて打ち込めているな。
十分な剣圧にシリカが押されて1歩さがる。
「次から私も魔法を使っていくわ『アーススパイク』」
魔法によりシリカの持っている盾とメイスが一回り大きくなり、表面には太く鋭い棘が出来た。
「うん、久しぶり。ちゃんと出来た。
ここからが本番よ。
もう二度と、誰も傷つけさせはしないわ」
「ぐっ」
シリカの威圧を受けて今度はサンシャインが1歩下がった。
気の弱い敵ならこれだけで逃げ出すことだろう。
今のサンシャインならそれでも果敢に飛び込んでいくだろう。
これでこの2人は今日のうちは大丈夫だな。
部内での最強の矛と最強の盾のぶつかり合い。
「やーい、ちびっこ」
「……期末試験の過去問(ぼそっ)」
「うっ。まいりました」