25.健康の為にこの1杯
いつもありがとうございます♪
放課後になり、俺達は部室に集まったんだけど。
「ふぁ~」
「あふ」
「Zzzz」
みんな眠そうだ。
北見先輩なんて何時から居たのか熟睡してる。
まるで体育と昼休みを終えた5時間目。もしくは朝練を終えた新入部員だ。
唯一無事なのは央山先生。まぁ教師が寝るわけにもいかないか。
「ほらみんな、しっかりして。
葛西さんは北見さんを起こしてあげて」
「はーい。ほらえっちゃん、朝だよ~」
「ん~?ご飯ある?」
「ごはんは、えっとぉ」
ヘルプの視線をこっちに向ける葛西先輩。
俺の中で北見先輩のイメージがどんどん食いしん坊キャラになってるんだけど大丈夫だろうか。
まぁそれはともかく。
「ご飯じゃないですが、特製ベリージュースならありますよ」
「ん。なら起きる」
むくりと起き上がった北見先輩はまだ眠そうながらも、ばっちり俺をロックオンしていた。
これはジュース出すまでは梃子でも動かないっぽい。
仕方無いので早速アイテム空間から瓶に詰めてきたベリージュースとコップを取り出して皆に配る。
「はい。今朝摘んできたばかりの各種野イチゴを使った特製ジュースです。
味の調整はほとんどしてないから、酸味が強めになってます。
まぁ説明はいいか。みんな早く飲みたいって顔してるし、どうぞ」
「やった!いただきま~す。ゴクゴクッ。ん~~すっぱぁい、でも甘くて美味しい~」
「んくっ、ほんと自然な甘味ですね」
「ほっ。これもあの野菜と同じで魔力が豊富なのかしら」
「……残念。私、巨大化したり目からビーム出したり出来ない。そしてお代わり」
「ほんと凄いわね。味もさることながら、飲んだ瞬間から身体に魔力が漲ってくるみたい」
よし、みんなの反応は上々と。
魔力が減っている時の方が美味しく感じられるはずだから、
みんな昨日から今日にかけてしっかり特訓してくれてるんだな。
「あ、ちなみにベリージュースは量がそんなに作れないから出せるのは1日1杯だけになります」
「そ、そんな!!」
オーバーリアクションで北見先輩ががっくりしてしまった。
そんなに気に入ってくれたんだろうか。
「代わりと言ってはなんですが、野菜ジュースならたくさんあるので、1瓶ずつ渡しますね」
「うぐっ。鞍馬君、これって所謂、青汁だよね」
「昔おばあちゃん家で飲んだことあります」
俺の出した青汁(実際には緑色だけど)を見て、顔を青くする南野さんと東さん。
あれ、2人とも野菜嫌いだったか?いや、昼のランチは普通に食べてたよな。
2人の不安に答えるかのように、早速瓶のふたを開けてコップに注ぐ北見先輩。
そしてなぜか立って腰に手を当ててグビグビと一気飲みした。
「おぉぉ、えっちゃん先輩格好良い」
「そ、それで、先輩。お味の程は?」
「くぅぅ……まずい。もう一杯!トポトポ、ゴクゴクッ」
不味いと言いながら更に注ぎ足して飲んでいた。
「えっちゃん、絶対美味しいって思ってるでしょ」
「だれも美味しくないなんて言ってない。『まずい手が止まらない』って言いたかった」
それを聞いて他の皆も恐る恐る飲んでみる。
「んん。これはあれね。本当に美味しい野菜は芯まで甘いってやつね」
「ほんと。見た目はあれなのに、甘くて美味しいわ」
「……あ、ほんとだ」
「すごいです」
南野さん達も無事に気に入ってくれたようだ。
「じゃあ、これからは朝晩、魔力鍛錬の前後で1杯ずつ飲むようにしてください。
そうすることで鍛錬の効果が伸びますし、さっきみたいに眠くなるのも抑えれるはずです」
「それは助かるわ。あ」
いの一番にそう答えた央山先生に視線が集まる。
そうか、大丈夫そうに見えて相当きつかったんだな。
「先生、涎のあと付いてますよ」
「ええぇ、嘘!?ちゃんと来る前に鏡でチェックしたのに」
「うっそで~す」
南野さんの引っかけに慌てる先生っていう珍しいものが見れた。
そうか。何とも無いように見えたのはさっきまで寝てたからか。
教師は全時間授業があるわけじゃないもんな。
段々みんなのキャラ設定が進化してます。
余談ですが、最近の青汁は普通に美味しいです。




