表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の高校はどこですか!?  作者: たてみん
第5話:[魔王降臨ルート]そして普通は書き換えられた
102/103

101 無いなら創ればいいじゃないか!(無理だけど)

「うへぇ。めっちゃ疲れました~」

「ご苦労様」


まるでマラソンをした後のようにぐったりしたアルファが放送室から出てきた。

そのアルファを労いつつ、周囲の軍隊の動きを観察すると、当然と言うべきか一部を除きほとんどの軍隊に動きはない。

我先にと撤収したのは、恐らく四聖獣を呼び出す前に避難指示を受け入れたところと同じだろうか。

それ以外はと言うと……


「各方面から戦闘機、爆撃機多数、来ます。如何致しますか?」

「うーん、直接攻撃して怖がらせてもいけないし、お帰り願おうか」

「承知致しました。風障結界を張ります」


俺の指示を受けてセバースさんが島の周囲に魔法を発動させる。

すると島に向かってきた戦闘機たちが、ある面を境に垂直上昇するようになった。その後はループして飛んできた方向に戻っていく。


「なんか、矢印床を踏んだみたいな光景だね」


矢印床っていうのは昔のゲームに時々出てきた、踏むと強制的に矢印の方向に移動させられる床の事だ。

駅などにある動く床(ムービングウォーク)の強制版をイメージすると分かりやすい。

続いて来たのはミサイルにロケット弾、艦砲射撃。遠くを見れば弾道ミサイルまで飛ばしてきているようだ。


「これは流石に殺意が強いから、そのままお返ししよう」

「ふむ。自業自得ですな」


セバースさんがあごひげを触りながら魔法を切り替える。

今度は先ほどと同じように島から一定の距離に届いた攻撃が垂直ではなく180度反転して飛んでいく。

すると飛行機などの移動しながら攻撃していたものは特に被害がなかったが、船舶はそうはいかなかった。

自分たちが撃ったばかりの砲弾が雨あられと降り注ぎ、おまけとばかりに飛行機が射出したミサイルなども燃料切れで一緒に落ちてくるのを慌てて機銃と高射砲で撃ち落としていた。


「次、来ます」

「今度は魔法か」

「うわ~。これがこっちの魔法水準かぁ。確かにこれはお粗末だね」


児戯にも等しいとはこのこと。まるで出来の悪い花火だ。

そうしてしばらく好き勝手攻撃してくるのを丁重にお返ししながら眺めていると、万策尽きたのか被害が大きくなり過ぎたのか、ほとんどの軍隊が被害が少ない数隻を残して撤退を開始した。

最初からそうすればいいのに、と言いたいところだけど、向こうにもプライドとか色々事情があるんだろう。


「これでもう大丈夫そうだな」


よし、後の事はルミナさんに任せて俺は人工島の建設を進めるか。

と、その前にまずは皆とこの島の探検だな。

一応本来ならまだ夏休み期間だし。

そうして俺は皆と連れ立って郊外の森へと遊びに行くのだった。




……3か月後。


無事に人工島の建設も進み、少しずつではあるけど一般の人たちの受け入れも進んでいる。

各国からは協議の結果、ここは特別永世中立都市としていずれの国家にも属さない島として認知された。

また天空都市からも学者たちが降りてきて日夜こちらの人たちとの情報交換などを行っている。

そして。


『えー、本日は晴天に恵まれた素晴らしい日に、この世界初の試みとなる異世界教師を中心とした魔導学園が開校されること、誠に嬉しく思います。……』


壇上で挨拶しているのはルミナさんだ。

どんないきさつがあったかは知らないが、ルミナさんは人工島に建設された学園の学園長に抜擢されていた。

ちなみに理事長にはセバースさんが就任している。

頑張って2つの世界の交流を進めてほしい。

俺はというと、舞台袖からルミナさんのスピーチを眺めているところだ。

誰が決めたか知らないが(アルファだろうけど)、いつの間にか『影の支配者』なんて肩書が付けられたお陰でどこでも顔パスで通れるようになっている。


「うんうん。これで後はルミナさん達に任せておけば俺が居なくても大丈夫だろう」


これでようやく日本に帰って普通の高校生活に戻れるな。

そう思ってほくほく顔で舞台袖を後にしようとする俺の耳に不穏な声が聞こえてきた。


『それではここで、本学園の筆頭教師を紹介します。

この学園創設の立役者であり、既に異世界に行った経験もある、若き天才。鞍馬先生です!!』


……うん?


『鞍馬先生、どうぞ!!』


ぐっ。いつの間にか首にワイヤーが巻き付いている。

わざわざ隠ぺい魔法で隠した上での周到ぶり。ルミナさん腕を上げたな。

俺は仕方なく振り返ると「逃がしませんよ」と目だけ笑ってない笑顔のルミナさんの元に連行された。

会場内を見渡せば南野さんを始め、見知った顔が幾つか見つかった。

仕方がない。

こうなったら、何が何でもこの学園を普通の学園にしてみせるからな!!



これにて第1部完結となります。

ここまでお付き合い頂きありがとうございました。

途中から忙しくなり過ぎて間が開いたり、前書き後書きが切れてしまい申し訳ございませんでした。


後日、第2部:魔導学園編や、別ルート(各ヒロインを中心とした話)を書くかもしれません。

後半バタバタし過ぎて出せてない裏設定なんかもありますし。


本当は青龍を倒した後のレインを助けてくれた存在が居たりとかします。

とかコロが空中都市の森で大冒険したりとか先生に宿った精霊も出番がほとんどなかったしと、まだまだ描きたいことはいっぱいあるんです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ