恋風邪
「どうも私、熱っぽいんです」
「風邪ですか?」
「風邪かと思いましたが、どうやら違うみたいなんです」
「疲れているのかも知れませんね?」
「会えない彼の事を想うと、体が熱くなるんです」
愛する人の事を想うと、体が熱くなるって事、ありませんか? 早めの風邪には葛根湯って言いますが、ダメなんです。葛根湯じゃ治らないみたい。
それはいわゆる「恋風邪」と言うものです。普通の風邪薬では治りません。恋風邪の薬、それは愛する人の言葉。
「大丈夫?」
どうですか? あの人からこんな風に言われたら、少しは元気が出ませんか?
「会えなくてごめん!」
ほら、あの人が悪いわけじゃないのに、謝ってくれましたよ。良い人じゃないですか。
「あなたに会いたい!」
ね、あなただけじゃないんですよ。あの人だって、会えなくて辛いんです。もしかしたら、あの人も、恋風邪なのかも知れませんね。
そんなに意地を張らないで、弱いあなたを見せちゃえばどうですか? 強くならなくちゃってあなたは言いますが、弱いからこそ強いんです。弱いからこそ、誰かを必要とする。必要とされる事って、嬉しい事なんですよ。それは力になるんです。
あなたに必要とされた人が強くなると言う事は、あなたのお陰だと思いませんか? 少なくとも私は、必要とされた分だけ強くなれる気がします。だから、愛する人を強く出来るあなたって、強い人だと言えませんか?
さあ、我慢しないで、甘えてみてはどうですか?
「ごめん、我慢出来なくて、電話しちゃった!」
ほら、熱が下がったみたいですよ。それでは、お大事に。