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1-8 レクイエム

 

 礼拝堂に着いた。信仰どうするか迷ったけど迷うくらいなら後にしよう。となったのでやっぱり決めていない。

 残りのスキル枠も水の精霊魔法にしたいから信仰選ぶ意味ないしな!


【クエストの報告をしてください。】


 うん?……あ、昨日すぐ帰ったから報告してないんだっけか。しに行こ。


「おはようございます」

「おはようございます、亡者達を倒してくれたようですね、感謝します」

「ええ、そりゃあもうとんでもない数いたので探すの簡単でしたよ」


 NPCに皮肉ってみる。経験値おいしかったけど。


「?……ありがとうございます。これでまた彼らを鎮めることができます」


 スルーされた。当たり前なんだけど、当たり前なんだけどさ。でもGM出てきてもう一度謝罪されたりしたかった。


 ……さてここからは真面目にしよう。

 フッとシスターが背を向け、朽ちた像の前に歩きながら消えていく。


 周りが薄暗くなり、屋根にいた鳥が羽ばたき、歌が、鎮魂歌が聞こえ始める。


 それと共に俺は立ったまま両手を組み、目を閉じた。



 それはモーツァルトの怒りの日のように荒々しい鎮魂歌ではなく、ただ鎮まり、安らかに眠ることを祈るような子守唄のように聞こえる。




 ふと目を開く。


 闇が朽ちた像へと集まっていた。そして、輪郭を作る。

 ……それは死者に手を差し伸べる少女のようだった。

 闇による輪郭しかないため表情はわからないが微笑んでいるのだろうと、根拠もなく、そう、感じた。







 ……意識が戻る。どのくらい経っていたのだろうか、その感覚がないほどに深く聞き惚れていた。そしてあの黒い少女に見惚れてもいた。


「……ありがとうございました。これはお礼です」

【クエスト:死者の鎮魂歌をクリアしました!】

「これは、指輪?」


 銀というには光沢が少ない銀っぽい指輪だ。


「精神を穏やかにする力があります。……私には、必要ありませんから」

「ありがとうございます」


 お礼を言うとシスターはぼやけて消えた。


 指輪の効果はMND+3と精神異常耐性。第3ボスの取り巻きが魅了使ってくるのでそのために取った。

 でも魅了耐性装備は他にもあるし街でのお使いクエストで貰えるから使えるけど、まあ。って感じでもある。




「それじゃ、もう一度潜るか」

「……どこまで潜るつもりですか?」

「!?」


 ビビった。目の前にいきなり出てくるからビビった。


 俺よりデカいんだからもうちょっと気を遣っていいと思う。デカいのがいきなり出てくるのは怖いよ。言うなれば交差点でトラック出てくる感じだ。


「行けるところまで」

「……危険ですよ?」

「それでも行く。プレイヤー(異界の樹の者)は死なないしな」


 なんだ?邪魔しにきただけか?


「……でしたら地下8階に降りて四つ目の部屋に鍵のかかった扉があります。その奥にある錫杖を持ってきてくれませんか?」

「ふむ?」

「以前使っていた杖はもう朽ちてしまったので……」

「なるほど、行ってこよう。それで鍵は?」

「ここに」


【クエスト:鎮魂の杖が発生しました。】


 ボロッボロの鍵を手に入れた。使ったら折れそう。

 でも折れてクエスト失敗とかないよな……ないよな?

 一旦街帰って合鍵屋とか探してみよう。なかったら誰か頼もう。







 結果、なかったのでNPC鍛冶屋に頼みました。石橋を棒で叩いて渡る感じだがこういう時の直感は当たるからな、俺。



 礼拝堂に戻り、納骨堂に突入。

 どんどん進んで7階。5階の出オチモンスターハウスはなくなってた。

 装備更新したおかげでヴァルキリーライズなし、セラフィナイトなしのF(フェアリーウィッシュ)ホーリーウィンドでゴーストもスケルトンも即死。


 セラフィナイトありで6階から新たに出てきたレイス、ファイアゴースト、スケルトンソルジャーも即死。スケルトンガードナーは無理だが。


 つまりはヌルゲーなのだがやっぱり墓守は無理ゲーなのでお呼びではないのです。


【世界樹の雫を使い、復活しますか?】


 まだ目の前に墓守いるんで待ってください。


 ……7階まで降り、階段を見つけて一目散に走ると墓守が門番のごとく階段の横の部屋から飛び出してきて即死した。


 DW(ダンジョンウォーカー)ならそれらしく歩きまわってりゃいいのに何待ち伏せしてんですかね。このダンジョン、トラップないけどこいつの存在がトラップだわ。






【復活制限時間、残り3分です。】


 消えねぇえええ!なんでその部屋で立ち止まるんだ墓守よ!馬鹿かよ!歩けよ!移動しろよダンジョンウォーカー!


 ……GMコールしよ。






【仕様です。ある条件によってそのようになります。】

【復活制限時間、残り1分です。】


 つまりはクエスト受けたせいでこいつと戦わなきゃならない、と。

 PTだったら一人が囮になって階段に逃げれるんだろうが、生憎(あいにく)ソロだ。


 ……勝てるか?一発も攻撃してないからダメージ入るかどうかすらわからない。試しに一発入れてみて通れば、そしてもしかすれば勝てる。


 アバターの速度も慣れ親しんだものに近くなっているし、この体格にも慣れた。

 どうせ負けても500円損するだけだ。貯金はアホほどある。


 たまには無駄遣いしないとな!


【世界樹の雫を使用しました。】




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