3-2 太陽の外套『ベレヌス』
【ログインしました。】
【3件のメッセージが届いています。】
【PvPイベント参加申請受付中!参加してLUK上昇の装飾品を手に入れよう!】
メッセージ確認、運営からのPvPイベントの通知、イルミさんからの感謝メッセージ、ゆぐにゃんさんからのパーティ組みませんか的なメッセージ。
……ゆぐにゃんさんログインしてるのか?してた。
今はイリナ・ガミ近辺・西森深部にいる。lvは19、やっぱギルドの面々は高かった、生産職ですら昨日の時点で20lv程度あったのだから。
チラッとギルドメンバーリストを見ると全体的に昨日から2〜5程度上がっている。
先にギルドに挨拶しとこ。
#==guild_chat==========
アクア:こんばんは。
イージス:お!こんばんは!
エルクゥ:初めまして、こんばんはです!
sub.シア:やっほー、イベントやる?
くろいろ:やっほ
アクア:します。
leader.ベジタブル:おっす、翼どうなった?
深淵さん:やあ、初めましてだね。
フィーリィ:よろよろ!
アクア:初めまして、よろしくお願いします。翼についてはまだですね、今ログインしたばかりなので。
leader.ベジタブル:どんなのか後で見せてちょ
#============
さて、服着替えよ。どんなのか気になるし、偉いさんに会うんだから、儀礼服っぽいの、ドレスでいいや。
鏡を見つつ着替える。
ほんと髪の色変わったな、水色だったのに銀髪になってる。
鎮魂のワンピースを脱ぐとパキパキと音を立てて氷の破片が落ちる。
……寝てたせいだな、動かないから霜が落ちずに凍ったんだ。
ベッドを見ると全体的に霜がつき、白い。
操って落としとこ……
その後さっさとフォーマルっぽい青色ドレスを着る。
……着る!
どう着るんだこれ、着れないんだけど。
ここ結ぶのか?
……おかしくなった。あれ?
「アクア様、よろしかったら日和がしますよ」
「ふぇっ!?」
鏡見てたら後ろにボワっと現れた。
ここにいる人ら光学迷彩常備な上に気配ないから怖いんだよ。
中庭の泉が見えない鳥にチャプチャプ飲まれてたし。
「お願いします……」
「はい、お願いされました」
ん?まず最初から違う?そうですか、そりゃー変だと思ったよ。
そこを輪っかにして?足を通す。
それで、おお、そこをそこに結ぶのか。それでそっちは……それホックだったのか。
それが胸の部分だろ、んで……うっわそれ一人でやるの無理だろ、背中で紐クロス3回やって肩の可動域的に無理のある位置でリボン結び。
……誰かに着付けてもらうしかないな。
あの白いお嬢様服はババっと着たら終わりだったのに、全部チャックとかで済ませてくれないかな。
一昔前のゲームならポチポチっとしただけで装備が変わるゲームが多かったのだが……今時はリアル重視ばかりで、そういった便利機能は特殊な手段を用いなければ不可能だ。
「はい、できました。かわいいですよ」
「ありがとうございます」
かわいいと言われることに慣れだした俺が怖い。
でも自分で見てもかわいいし?
銀髪水色の目、雪肌、そしていいトコのお嬢様感あるロリっ子。
キャラメイク時のネカマしないと決めた心はどこに行った。
「来たか、アクア。仮の翼は上手くできたぞ」
「お手数おかけしました」
「よい、それと昨日砕けた喋りで構わんと言ったろう?」
「あ、はい。どうもです?」
敬語っぽく喋るのに慣れちまったよ。砕けた感じの女口調とかリアル男の俺に求めてはいけない。チャットならギリギリ可能だとは思うが。
「……まあ良いか。これが翼だ、夕陽」
「はーい、アクアちゃん様、どぞ〜」
またしても目の前に現れる和風美人……この人は外国人が和服着た感じだな、出るとこ出てるし、若干肌が焼けてる。
「ありがとう、ふぇふ!?」
「なんか堅ーい、もっと口角上げて!かわいいんだから!」
ムニムニと頬を摘まれる。指熱いんですが、溶ける、っていうか何こいつ、ギャルかよ、キャラ濃いな!
「あふぃふぁふぉう!」
「う、がいらない!」
「あふぃふぁと!」
「よし!」
最後に引っ張られたのち離された。
もち肌が伸びた気がする。餅って温めると伸びたり膨らんだりするし、俺の肌が伸びるのは何ら不自然なことではない。
……ところで頬っぺた赤くなってない?肌白いから目立ちそうなんだよな。
「お前は少々傍若無人が過ぎるな。見ていて面白いから良いが」
「いえい!」
キャラ濃いっすからね、そりゃあ見てて面白いだろう。
それよりも渡されたこの赤い外套だ。
ログアウト中に考えた予想ではヴィゾヴニルの眷属、赤い鳶を預けてくれるんだと思ってたが違った。
「それが翼になる。羽織ってみろ、そいつが飛び方を教えてくれる」
「はいです」
広げて見ると中央に金色で樹っぽいのが描かれ、その頂点より少し下の部分はくり抜かれている。
羽織って首元の紐を結ぶ。
……こうして、こうか。
外套が真ん中から裂け、翼のように広がり燃えるように赤い羽根へとさらに分かれる。よく見ると赤やら金やら色が混ざっているし、羽根がふわふわ浮いていて綺麗だ。
こんなに羽根飛んでたらハゲになりそうだがエフェクトっぽいので大丈夫なんだろう、きっと。
ってかHPガリガリ減ってるんだけど、浮いてるだけで2秒に1減ってる。
「どうだ?」
「いい感じです。飛んできてみてもいいですか?」
まあリソースなしで飛べるとは思ってなかったしいいか。
それで飛べたら本当に鳥人涙目だからな。
しかも飛ぶの難しいらしいんだよな、鳥人。
検証結果、全力疾走の約2倍の速度が出る。つまりはAGIの2倍だ。最高速でのHP消費は1秒に8消費。HPが10%を切ると強制的に解除。
スピラルリッパーでの加速は可能。その際はHP消費の増加はない。
操作性は微妙、回避のために横に瞬時に方向転換したりは無理。停止にも慣性がかかってすぐには止まらない。
方向転換には停止が必要だがスピラルリッパーでどうにかなる。
加速については0から最高速に一瞬でなる。
使い方としては地上戦でも展開しておいて加速の速さを利用し緊急回避に使う。
空を飛ぶ場合HP管理をしっかりしておく。
スピラルリッパーでの回避は重要だけど温存するように。
自動HP回復の手段を手に入れないと使い勝手悪いな……リジェネポーション飲んでアイスヒールをちょくちょく使っていけば大丈夫だとは思うが。
さて、ヴィゾヴニルのところに戻って挨拶して帰るかな。
「ありがとうございます、大切にします」
「大切にせずとも壊れんぞ?」
「あるじ様、そーいう意味じゃないと思う」
まあ不壊だからって適当に扱うなんて常識外れなことはしない。せっかく俺のために作ってくれたんだからな。
「そうか?まあ、また来るといい。布教の方も忘れずにな」
「はい!」
「帰すところは虚実の樹でよかったな?」
虚実ってなんだ。ラストダンジョンっぽいな。
「イリナ・ガミという街がある場所です」
「……?ああ、知らんのか。まあいい。そこに帰せば良いのだな」
「またねーアクアちゃん様!」
「また、来るといい」
「アクア様、さようなら」
「「「「「ピェー!」」」」」
「えちょ!」
なんですか!知らないってなんですか!?
……帰ってきちゃった。
#==武具詳細ステータス==========
『ベレヌス』
HP+10 VIT+3 火耐性+20% それは翼となる 不壊 無限に成長する
レアリティ:幻想級(新造)
唯一無二の防具
ヴィゾヴニルにより生み出された神器。
それは翼となり、太陽に手を伸ばす唯一の手段である。
神気を纏うが時間が足らず下界に適応していないために真の力は解放されていない。
金の樹は原初の世界樹を示し、上部の穴は太陽を示すヴィゾヴニルの紋章である。
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このベレヌスについてはユニークアイテムだって言っていい程度には希少です。
空を飛ぶ装備自体はそのうち出てきますし、それ自体は希少でも何でもないのですが、ウィンディーネという火と正反対である存在が火と共存し、力を行使するという点でユニークアイテムなのです。
ウィンディーネは火精霊魔法、火属性攻撃が不可能ですから。
PVPイベントの告知が遅いとか色々おかしいですが、この小説での世界設定的に何らおかしいところはないので大丈夫です。
だって仕事なんていつでも休めますし、学校も遊ぶための場所ですから。




