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0.普通はつまらないが、幸せだったのかもしれない。

どうもです。

正直どこまでモチベーションが続くかわかりません。

よかったら感想をいただけるとうれしいです。

ここまで長い話は次以降はないと思います。

『今、俺は車に轢かれました。』

は?またテンプレが始まったよと思った人、君たちは正しい。

ありがちなライトノベルとか、漫画とかアニメとよく似てはいる。

しかし、これはあまりにもそれにしてはショボすぎやしないだろうか。

普通、車に轢かれるとかって、トラックとか、そういうでかい車に轢かれるのが通例って奴だ。

しかし、俺は今軽自動車に轢かれたのだ。

ショボすぎやしないだろうか。かっこ悪すぎやしないだろうか。

――あまりに呆気ない、あまりに普通の人生だった。




俺、佐川礼は、全てが平均よりちょい上くらいの、平凡な高校二年だ。

平均より上なんだったらいいじゃないかと思うかもしれないが、そんなことはない。

これは、特にこれと言った長所もない事なんだから、良い訳がない。

「さて…」

俺の朝は、まず可愛げもがない妹を起こすことから開始しなければならなない。

可愛げがない妹とは、俺の隣の部屋で寝ている琴音の事だ。

可愛げがないと言うのも、俺に対しての反応が余りにも冷たすぎる…という所だ。

小学生の時位まで、俺にデレデレだったのだが、こう複雑な年頃になるとここまで変わってしまうのか…と。

もういつからだったかとかもあまり覚えていない。

そうなってしまったことに俺自身がもう慣れてしまったんだろう。

「おーい、起きろ。琴音。」

「…ん…あ、バカ兄貴、おはよう。いつもごめんね。」

「バカ兄貴…」

「バカ兄貴じゃん。」

起きた瞬間の第一声がバカ兄貴ってなんだよ。

これでも多分琴音自身は感謝を伝えてるんだと俺自身は解釈しているが、どうだか。

こうやって、俺を冷たい目で、無表情に時より泣きそうなくらい嫌悪される時もある位嫌われてしまっている。

だったら自分で起きてくれないだろうか…

「あ、2人ともおはよー。朝ご飯できてるから、冷めない内に食べちゃってね。」

この、ポニテのお方が俺の母である梨絵だ。

側から見たら、多分結構綺麗で、スレンダーで、中々昔はモテたんだろうなぁとは思う。

しかしこの人は、本当に自由奔放で、俺らを振り回す事もしばしばだ。保護者としてどうかと思う。

ただ、俺と琴音を産んでからすぐに父は死んでしまったので、女手一つで俺ら2人を育ててきてくれた人だ。今も、昔からの親友と、カフェChouChou(シュシュ)を切り盛りして、お金を稼いでくれている。

その点には感謝している。本当に自由で困るんだけどね。まぁ最近はマシになった気はする。しっかりしなきゃと思ったのだろうか。多分もっと俺らが子供の時の方がしっかりするべきだとは思うが。

カフェをやっているだけもあってこの人の料理は昔から本当に美味しい。

美味しいものを食べてこそのじんせ…って誰がが来たようだ…

――――――――

「もう桃ちゃん来てるわよ?」

「はいはい、もう出るから。」

高校に向かうときにも俺はまためんどくさい事をしなければならない。

「あ……おはよう礼。」

この目の前にいるボサボサの女の世話をしなければならないのだ。

「はぁ…もう少し身なりを整えてくれよ…」

この目の前にいる女は俺の幼馴染の水無月桃である。

家が隣とかで、本当に昔からの腐れ縁が今でも続いている。

こいつは典型的なコミュ障だし、このボサボサ頭に身なりである。

これでオタクである。典型的なダサダサ女なのである。

だから、もっときつく言わねばならんのだが、むこうにも貸しがあるからあまり言えない所があるのだ…

「うるさいなぁ…やった所でダサいのわかってるし…私は美少女キャラじゃないんだぞ?」

「いや別にそういう事を言ってるわけじゃなくて最低限をだなぁ…?」

「テスト勉強教えてやらんぞ?」

「もーうまたそれを言い出す~…」

そう、桃は学年でも有数の賢さなのである。ここでお世話になってしまっているので、このクソオタクの事をキツく言えないのである…。

しかし、本当に世話が焼けるやつで、腐れ縁のように関係がずっと続いている…。

「まぁ、心配しないでくれ、ちゃんと教えてあげるからな…まぁ、私の唯一の長所と自覚している…これくらいしかできんしな。」

「いやいや、こっちも毎回教えてもらって悪いと思ってるよ…」

確かに唯一の長所なのかもしれないが、そこはもう少し誇ってもいいと思うんだけどなぁ。まぁ、コミュ障で周りの人間と話す時もたどたどしいし、仕方ないのかもしれないが…

電車で数駅の所に、俺らが通っている学校、聖堂高校はある。バカでもなければ、賢くもないと思う。俺が入れる時点で。

少なくとも、桃はもっと上に行けたと思うのだが…

「あ、コラ!また水無月さんは身なりが!」

「うぅ…また見つかってしまったか…」

桃が注意を受けているのは風紀委員長の上倉凛さんだ。

彼女の風紀への執着心…というか厳しさは中々のもので、いつも桃は注意されている。そらそのボサボサ頭にブレザーのボタン止めてなかったら、風紀委員長に止められるのは無理もないだろう…

「いいじゃないか、ちゃんとしても私は可愛くもないんだ…」

「それ以前に校則守ってください…あと自虐はやめてください…」

桃の自虐に風紀委員長も困っていた。自覚してる事は悪いことではないんだが、自虐が多いのが悩みどころの一つだ…

俺らが通うこの聖堂高校は特別校則が厳しいわけでもないので、桃のこのズボラさというかこういう点には困るわけだ。まぁ、中学の時もそうだったから、変わってないだけなんだが…

「あ〜、ま〜たそんな厳しくやっちゃってる〜」

「またアンタですか…!こういう所から正しておかないと風紀が…!」

「そんな事で大して変わらないよ〜。もっと楽しい事でも企画して欲しいよ。」

「それでも理事長の孫なんですかアンタは!」

また始まった。

今出て来たこの女は、ここの今の生徒会長の大澤祈だ。

風紀委員長が言ってた通り、ここの理事長の孫なのだ。

いわゆるお嬢様なのだが、ご覧のように結構周りには寛容で、その反面自分はその行動力で高校を生徒会長として動かしている。その人気はなかなかの物なのだ。

だが…この人にはどうしようもない問題が一つあった。

とにかく背が低いのである。

私服を着ていたら間違いなく小学生に見えるだろう。

自分でもその事はかなり気にしているようで、背は伸ばしたくて仕方ないらしい。

ただ、この人はナメられないように柔道を嗜んでいるらしく、自分を守っている。まぁ、桃とは全然違うわけだ。

で、この寛容さと風紀委員長も厳しさで対立構図って結構言われている。

現に良く言い争っている。今もそうだ。

「そんなカリカリしないでいいじゃないですか風紀委員長。そんな厳しくビシビシやったら、生徒達が萎縮しちゃうし、楽しい事も楽しめなくなっちゃうでしょ?ある程度は自由に行こうよ〜。」

「んもう、本当に私たちは合わないですね!!」

まぁ基本的に風紀委員長が突き放してる感じがするけど。こんな感じで。

「あの…もう私は良いんだろうか?」

制服を整えた桃はこの状況にコミュ障が炸裂していた。

「あ、思いっきり置いてけぼりでごめんなさい。今度はちゃんとしてきてくださいよ?」

「え〜、した所であなた達みたいに美少女にはなれんぞ…」

「そういう問題じゃないんです!!」

桃は平常運転だ。このやりとりは何度も見た。そら、この2人も同じクラスにいるから余計にだ。おまけに桃がこういう事しているから、余計に俺は見る事が多いわけだ。

変わり映えしない。まぁ、変わり映えする日常なんて存在しないのは分かってるんだけど。

小学校時代からこの関係は変わっていない。まぁあの頃は琴音も一緒にいたんだが。あいつは先に行ってしまうようになってしまった。まぁ、兄って基本的に妹にはこういう仕打ちを食らう人間だし、別に構わないのだが。

「な?ちゃんと出来ただろう?」

「おぉ〜…なるほどな、めんどくさいなぁこの問題。」

「まぁめんどくさいのは肯定するが、めんどくさいだけだぞ?」

「めんどくさいのが問題なんだよ…」

変わり映えしない授業を終えた俺らは、さっき言ったカフェ、シュシュにいる。

まぁ、こうやって桃に勉強を教えてもらうのも、いつもの事だ。悔しいがこいつの教え方は本当に上手いと思う。

「いつも悪い。教えてもらってばっかりで…」

「いいんだいいんだ。私ができる事はこれくらいしか出来ないんだ…いつも世話してもらってるんだから、これでも足りないだろ…。」

まぁ、本人は言うように、学校でこいつの世話で大変だ。

勉強は出来るのだが、たまに授業で普通に寝たりする。

それを起こしたり、移動教室教えたり、

他にもとにかく全部を俺に頼ってくるので、困ったものなのである。

ただ、こんな風に勉強を教えてもらう点に関しては本当に頭が上がらない。

しかも、教え方が上手いと来るから余計にだ。たまに俺を見て来るのはなんでなんだろうか。

「まぁ、多少の返しにはなってるさ。現に助かっております」

「変に改まるな、気持ち悪い…本当はもっと返す必要があるんだから気にしないでくれ。」

桃はこういう時におねだりして来ないので、まだマシな人間だと思う。というか、ちゃんとお返しをしようとしている時点でいい奴なのだ。まぁこんなだけど。

「お二人さんっ!今日もラブラブだねぇ〜」

「なんでそうなるんですか…」

「そうだぞ!これは幼馴染へのお返しの一つだぞ!!」

「何のお返しなの〜??」

「ダメだ、この人本当にダメだ…」

このちょっとおかしな人が、ここのカフェを切り盛りしている三沢蘭さんである。まぁ毎回こうやって俺たちをからかってくるのがお約束だ。こんな人じゃないと母と親友になれないのだ。まぁ母より数倍まともだけど。たまにおかしいだけで。

「冗談よ、冗談!いつも来てくれてありがとね。」

「ここに寄るのが当たり前みたいになってますし、こっちこそ大して頼みもせず長居して申し訳ないです…」

「良いの良いの、この時間は閉めてるんだから。」

真昼間や夜はなかなか盛況しているのだが、この時間は、蘭さんと母の梨絵の休憩や仕込みの時間で閉まっているのだ。その間にここに寄ることが多い。


ガチャ…

「あ、バカ兄貴だ…」

そこに琴音が入って来た。俺を見た瞬間にすごい嫌そうな顔をしているが…

「あら、いらっしゃい。珍しいわね、このタイミングで来るの。」

「おお、琴音ちゃんじゃないか…お久しぶり…だな。」

桃はコミュ障がまた出ている。

「たまには来ますよ…琴音さんもどうもです…いつもバカ兄貴がすいません。」

「いやいやいやいや!!私が迷惑をかけている側だ!!琴音ちゃんはもっと礼を優しくしてあげなよ…」

「いやいやいや!!このバカ兄貴ですよ!!本当に私なんかいらないでしょ!!もう勝手にしとけば良いんですよ!!」

相変わらずひどい言われようである。

「桃さんも、もっと身なり整えたら普通に可愛い方だと思うんですけど…」

「いやいやいやいや!!ないないないない!!!私はアニメみたいな美少女じゃないんだぞ!!!」

なんだこの2人は…謙遜し合ってるのかこれ…

「あはは…礼ちゃんも大変ねぇ…なんかあったらいつでも言ってくれて良いからね?」

「あー…すいません…まぁ、なんとか今はやってますから…」

蘭さんに心配されてしまった…いやまぁ、変わり映えはしないのだが、そこまで心配される事はないと思うのだが…

―――――

「じゃあ、また明日な。礼。」

「はいはい、明日はちゃんと服装を正してから来いよ?」

「そういう礼は寝坊するんじゃないぞ?」

「しねーから。さすがにそれは無いから。」

「ははは、まぁいらぬ心配か。明日の課題、分からなかったら、いつでも聞きに来ていいからな?」

「ありがと、じゃあな。」

「…おう。」

やたらと桃が帰る直前に話しかけて来やがったが、まぁいいか。

「さ、俺もさっさと帰りますか。」

隣の家なのだから、こんな事を言う必要もないのだが。

ーーーその時、自分の体にとんでもない圧力がかかっている事に気付いた。

あまりに速すぎた。状況が理解できなかった。

視界が少しずつはっきりする。

軽自動車が俺の体に突っ込んだのだった。家の前で。

なんだこのしょぼさは。普通交差点でトラックだろ。こういうのは。なんというか、俺のこの日常を表すかのようなしょぼさだ。

あっれ。

なんか頭がクラクラして…

そらあんなスピードで当てられたら…

ああ…呆気ない。しょぼい。薄い人生だったなぁ…

そして、俺の意識はどこかへ行ってしまった。


実はもうすでに2話の冒頭に悩んでいます。

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