BLOODY→SCHOOL←「神霊編」
第弐話「サイカイ」
ー砂野真野学院・校庭ー
俺は真奈姉の手を取り校庭へ出た。
「サ、サジ君...どこまで行くの?」
「わからない。でも、行けるところまで行かなくちゃ...あっ」
「?どうしたの?」
俺は足を止め、真奈姉に向かい合った。
「真奈姉あのですね…すごく言いづらいんですけど…大切な人を校内に置いてきてしまったので、校舎に戻らないといけない」
「ダメよ!」
「ど、どうしてですか?」
「もう...死んじゃってると思うの...。それに、生きているかも分からない人を探して自分を危険に... ...」
「きゃああああああ!」
「悲鳴!?」
真奈姉の言葉を切るように、誰かの悲鳴が聞こえた。
「行かなきゃ...」
俺が1歩出た時、真奈姉が正面から腕を俺の体に回し止めた。
「行かないで... ...。お願いだから... ...」
真奈姉は泣いていた。その瞳から溢れ出る涙は、少し温かった。
「ごめん、真奈姉。生きている人がいるのに、見殺しになんて出来ない」
「じゃあ私も行く!サジ君1人には行かせない!」
「ごめん... ...」
そう言って俺は真奈姉の唇に自分の唇を合わせた。その間に注射器で薬を真奈姉に投与した。
「真奈姉...睡眠薬だから安心して...。ゆっくり休んでくれ...」
そして真奈姉の力は少しずつ弱くなり、手で外せるくらいの力になった。
「流石にここに寝かせておくのはマズイよな…」
そこで俺はあるものを見つけた。それはこの学院のシンボルツリー「エグトラシル」だ。そこに真奈姉を、寝かし再び学院の中に入った。
ー砂野真野学院・昇降口ー
(確か、悲鳴がしたのは3階の「生物室」の方だったな、急ごう…。じゃないと、死んでしまうかもしれない...)
そして俺は急いで階段を登った。
ー砂野真野学院・2階ー
2階に登った時、足音が聞こえた。
「ん?何だ...?」
どんどん近づいてくる。
「誰だ!」
「こっちに来ちゃダメぇぇぇ!」
返事が返ってきた。よく見ると、後ろから大きな物が来ていた。
「また異物か...。懲りない奴らだ」
俺は右の刀を抜き構えた。
「死にたくなければ、急ぐんだな!」
「そ、そんな事言ったって!」
「じゃあ、そこを動くんじゃねぇぞ!」
「無理無理無理無理!死んじゃう!」
「これだから...嫌なんだよ…」
俺は溜息をついて呪文を唱えた。
「地獄の門よ、我にその力をかせ!チェーン・クロニクル・バインド!」
異物の足下に地獄の門が現れ、異物の動きを止める。
「早く来い。異物が動き出す前に」
「う、うん」
(あれって、天刀と対になる地刀。何で更に「地」へ向かってしまったの?)
「さぁ、始めようぜ」
「グゴォォォォォ!!」
異物が声を上げた途端、俺の呪文は解け、窓ガラスも割れた。
「馬鹿デケェ声上げやがって、うるせェんだよ!」
俺は刀を壁に突き刺した。その刀は「ズッ」っと音を立て異物に刺さった。
「グ... ...ギ... ...ナ... ...ゼ... ...?」
異物は生きているようだ。
「もう時期死ぬやつに言っても意味なんてないけど、冥土ノ土産に教えてやるよ。この刀は地獄の刀、通称「ヘル・アンド・デッド」つまり「死と地獄」だな。死んで地獄に行くか、地獄で死ぬか…だな。そして、この刀の能力...それは「時空移動」。この能力は刀の一部を転移させ任意の位置に再び出現させる。それと、「即死効果」。刀を対象物に刺している間は効果はないが、刀を抜けばどうなるかは分かるよな?個体差はあるが、数秒で体は朽ち果てるだろう。こんな面倒臭い説明をさせるなよな... ...」
そして俺は刀を抜いた。
「グ.....ギギギ。キサマハ......ワタシノ......ナカマタチガ...カナラズ.....」
異物は言葉を言い終える前に死んだ。
「はぁあ、久々にクソなげぇ説明をしたな…」
そう言いながら刀をしまった時だった。
「ねぇ」
後ろから声が聞こえた。
「ん?あぁ、どうした?」
その声の主は先程助けた女の子だった。
「その刀、どうしたの?」
「え?この刀か?家にあったんだ。死んだ親父がくれた」
「そんなはずない!」
真実を否定された。
「その刀は私のなの!返して!」
「知るかよ、んなもん。それに今返したとして、使いこなせるのか?」
「それは... ...」
(ちょっと言いすぎたかな…)
俺は頭を掻きながらそう思った。
「じゃあ、その刀はいいから、私のお願い聞いてくれない?」
(まぁ、どうせ助けてくれとかだろうな…)
「いいよ別に。それで気が済むならな」
「ありがと。取り敢えず自己紹介しないとね。私は東野宮琴音」
「俺は頃原歳次だ。てか、東野宮ってことは、美琴の妹か何かか?」
「お姉ちゃんのこと知ってるんだ」
「ん?あぁ。いつも世話んなってるからな」
「そっか、じゃあ話は早いわね。お姉ちゃんを探してほしいの」
「まぁ、俺も今人探し中だからついでって言っちゃなんだけど、探すよ。だけど俺はアンタのことなんか知らないぞ?2つか3つ下の妹がいるとは聞いていたけど」
「それはそうよ。成績いいから飛び級で、アナタの上のクラスだから。それに学院じゃ話さないし、一緒に帰らないしね」
(そうだったのか…だから美琴はあんまり楽しそうじゃなかったのか…)
「まぁ、こんな所で立ち話もなんだ。先に進もう」
俺は琴音の手を取り、上へ上がった。
ー砂野真野学院・3階ー
「おーい!榛香!居るかー?」
榛香の名前を呼ぶ。
「音楽室に居るよー!」
榛香らしき声が聞こえる。でも、榛香なのだろう。
「分かった、今そっち行くから待ってろよ」
「分かったぁ!」
そして俺と琴音は音楽室に向かった。
ー砂野真野学院・音楽室ー
「榛香ぁ?」
「ん~?何、頃原?」
「生存者はいたか?」
「居るに居るけど、みんな怖がってここらか動きたくないんだって」
「そっか...。どうするかな…」
「ところで、その手を握っている女の子は誰?」
榛香に言われて俺は琴音の手を握っているのを思い出した。
「え!?あ、この子は東野宮琴音。クラスは俺等より上だけど、歳は下だ」
「ん?どういうこと?」
「まぁ、そうなるよな…。それより、話は後だ。ここから出ないと」
「そうだね」
「ねぇ、榛香さんだっけ?」
「どうしたの?」
「その...私の姉の東野宮美琴は居ませんでしたか?」
琴音の目的。姉を探すこと。
「美琴さん?居たわよ。でも、人を探さないと行けないから、外に行きますって出てっちゃったよ」
「そ、そんな…」
琴音はペタンと床に崩れ落ち、涙を流す。
「やったと…見つけたと思ったのに...」
「泣くのはまだ早いぜ、琴音。残りの涙は、姉との再開の為にとっておきな。それとお前ら!確かに外は今大変なことになってて怖いかもしれねぇ。でも、恐怖に勝たなければ前には進めねぇ!さぁ、立ち上がれ!怖いのはみんな同じだ!生きたいやつはついて来い!10分後に出る」
ビクビクしてた奴らはみんなポカンとしていた。そして俺は廊下へと出た。




