第63鳴:家探し
僕達+αは、賃貸の人と一緒に色んな賃貸の物件を紹介してもらっている。
結論から言うと・・・いい家がありません!!
というかさっきから当て付けのように、
鶏小屋の隣とか、豚小屋の隣とか、馬小屋の隣とか・・・小屋の隣ばかり。
たまに小屋自体を押し付けてくる。
「お気に召しませんか?ただの薄汚い冒険者のくせに。」
この人、僕達が首を横に振り続けたことにより、少しずつ本性を現していく。
・・・きっと僕達がお金持ってないと思ってるんだろう。
「フフフ、この私めにお任せ下さい、トモ様。スタンで痺れさして魔物の森に放り込んできますわ。」
「・・・甘い。・・・友、私に。・・・・・・こいつ、天界に連れて行く。」
「私に任せるのだ。私のペットのケルベロスの餌にしてくれようぞ。」
・・・・三人の僕の近くにいる女性達も、この賃貸の人に対して既にきれています。
そして、三人は一つの結論に達する。
そうだ、みんなの意見を合併さして、
『スタンで痺れさせ、ケルベロスの餌にし、天界に導くと!』
僕は必死で三人を説得する。殺しちゃまずいから。
「何、コソコソ話してるですか?ほんまに買う気あるんですか?
どうせ、冷やかしですよね~。私、そういうのよくあるんですよぉ~。
ノルマあるんで、冷やかしなら解散でよろしいでしょうか。」
賃貸の男は忙しいのでと言って帰ろうとする。
僕はその男の前で、金貨が入っている袋を取り出す。
そして、三人分の報酬が入った袋を少し空け、賃貸の男を上から覗き込ませる。
・・・すると、賃貸の男は驚いた顔をし、ごまをすりだした。
「こ、これは申し訳ないです。こ、これはただの馬小屋でした。
こ、こっちが本当の紹介したい家となりますので、着いて来てください。」
僕達が案内された家は、屋敷みたいな立派な家ではなく、普通の28坪くらいの家を紹介される。
ほうほう。これだよぉ~、こういう家がほしかったんだよ。
僕は上機嫌になる。
だけど、他の三人は・・・・。
「ちょっと狭いのぉ~。魔王の妹としては屋敷が好みなんじゃが。」
「そうですね・・・。トモ様には立派な家に住んで欲しいと思っております。」
「・・・・友の家と変わらない。 ・・・夢は大きく。」
その三人の意見を聞いて、賃貸の人はごまを擦りながらご機嫌よく喋りだす。
「そういうと思っておりました。この家はまあ言えばさわりみたいなものです。本当はこっちを紹介しようと考えておりました。」
賃貸の男は、紹介した家の道を挟んで反対側にある家を指差す。
そこには、立派な屋敷が立っていた。そして、広い庭と、小屋、離れ部屋・・・。
ちょっと、凄すぎるんですけど・・・。
そんなにお金ないんですけど・・・。
僕は、持っている金が入っている袋を心配そうに見つめる。
「ちょっと持っている金でこの家を変えそうな気がしないのですが・・・。」
「そうですね。築5年で普通なら紹介できるような額ではないのですが、実はいうとこの家・・・。」
賃貸の男は、何か意味ありげに言葉を濁す。
あれですね、よくある事故物件とか言う奴ですね。
「事故物件なんですか?」
「いえ。この家に住んでいる方は今もご健在ですよ。」
「じゃ、じゃあ、離婚されて手放したとか。」
「結婚してませんでしたよ。」
謎が深まるばかりであった。
僕の小さな脳みそがはち切れそうになった所で、賃貸の男が喋りだす。
「ここの大家さんがある特定の条件を出してきており、それをクリアできれば格安で貸すとのことです。」
「「「「特定の条件!?」」」」
僕達は、驚くように全員で声をそろえて、賃貸の男に聞き返す。
「はい。それでは、大家さんに聞いてみましょう。」
と言って、賃貸の男はその屋敷の扉をノックし出す。
???なんで、貸し出す家の扉をノックしたんだ?
すると、屋敷の扉の鍵が開く音が聞こえ、はぁ~いと言って扉を空けて中から人が出てきた。
「これは、賃貸の人。と言うことは、僕の条件の挑戦者かな。」
「そうです。あなたの取っても好みの冒険者達ですよ。お金も沢山持っていらっしゃいます。」
屋敷から出てきた10代後半に見える薄ピンク色のウェブヘアーが魅力的で胸もバインバインの女性が僕達を見て、来た来たという感じで目を輝かせていた。
「特定の条件を満たすと、格安でこの屋敷を借りれると聞いたのですが・・・。」
「そうだよぉ!!
だけど、特定の条件に挑戦するのにも金貨1枚が必要なんだけど。どうする?」
「金取るんですか?」
「そりゃあ僕も建てて間もない家を早々容易く貸したりしたくないからね。
ちょっとした商売でもあるのさ。」
「それでは、後はお二人に任せて、私は他の仕事がありますのでこれで・・・。」
賃貸の男が帰っていき、僕達と大家さんが対峙する。
「さあ、一人金貨一枚だよ~。どうする? 勝負は運のつきだよ。今がその時かもねぇ~。」
「うむむむむむ。」
「トモ様、私はやるべきだと思います。」
「私もそう思うのだ。こんなデカパイごときにでかい顔をされるのは腹が立つのじゃ。」
「・・・これを使う。」
エアが心を読めるメガネを渡してきたが、僕はそれを拒否する。
やるなら正々堂々と男らしくやってみたいじゃないか。
僕は金貨四枚を握りしめ、大家の目の前で見せる。
「フフフ、君みたいに馬鹿正直嫌いじゃないよ。さあ!!行くよ!!
特定の条件とはぁぁぁぁ 2つある!!」
「2つ!?欲張りすぎじゃないのか?」
「フフフ・・・まあそういわないで、聞いてね。
まず一つ目はぁ~
『私を30秒以内に捕まえることができたら!』
30、」
その時、大家さんが信じられないスピードで動き出す。
「どうだぁ!人間!!着いてこれないだろぉ~ 僕はドラゴンと人間のハー・・バタン」
大家さんの足場にエアが放ったトリモチが引っ付き、大家さんが地面に顔面を打つ様に倒れる。
「な、なんだこれ。ネチョネチョする~。ああ、服がひっぱられるぅぅぅ~。」
「スタン!」
大家さんは倒れてトリモチに完全に絡まり、その間にヨルンさんのスタンで痺れることとなる。
「これで完了ですね。」
僕は痺れて倒れている大家さんの背中に手を当てる。
「・・・な、なんなんだ、君達。僕はこれでも、冒険者としても有名だったのに・・・。」
「そうですか。お気の毒に。後一つの条件をお伺いしても?」
「それは・・・。」
「僕を一緒に住ませることだあ!」
「えっ!?」
「僕、実は冒険者だった頃の仲間は100年前に亡くなってしまって、それ以降一人っきりなんだ。家を買えば、一緒に住んでくれる人が現れるはずと思ったのだけど。・・・誰もドラゴンとのハーフと知った瞬間に離れていくんだぁ~。」
大家さんが泣きながら、僕達に事情を説明してくれる。
「大丈夫です、大家さん。きっと、優しいトモ様は、大家さんのこと・・・守備範囲ないですよ。」
「え?」
「・・・トモには・・・近づくの・・・禁止。」
「え、え?」
「まあ、私のことも守備範囲なのですから、きっと貴方も置いてくださいますわ。」
「あ、あの。」
「じゃあ、僕も一緒に住んでもいいんだねぇ!!」
「「「いいんじゃない」」」
「あの・・・僕何も言ってないんですけど。というか確かに守備範囲内ですけど・・。」
「「だけど・・・友(トモ様に)・・・近づけば・・・・・やる(やります。)。」
そして、何故かアアンナも一緒に屋敷に住むことになる。
大家さんは、嬉しそうに僕の手を引き、家の中に連れ込んでいく。
僕が家の玄関に入った時、大家さんが振り返り、笑顔で
「おかえりなさい。」
僕のハートがずきゅ~んと打たれてしまう。
「一回言ってみたかったんだぁ~、家族ができるっていいものだね。」
「か、家族なのか。」
「まあ、その辺は間違えてないかもしれませんね。私とトモ様は。他は他人ですけど。」
「・・・大丈夫。・・・・私は、いつでも・・・・友の近くにいる。」
「まあお前は私が友達としてしっかり護ってやるのじゃ。」
「じゃあ・・・まず、僕のご飯をみんな、で食べる?」
「「「「食べる。」」」」
喜んで近くの部屋に消えていく大家さん。
そこの部屋から、美味しそうな匂いが漂ってくる。
僕達はその匂いに釣られるように、その部屋に入ろうとする。
拠点もできたし、これから楽しい冒険が始まるのかも。
僕は家というものの安らぎを感じつつ、高揚する。




