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第55鳴:依頼による出来事

「はぁ~。」


僕は溜息をつきながら、本日受けた依頼の巻き割りをこなしていく。

どうも腰を痛めたおじいちゃんの変わりだとか。


「後、100本お願い致します。」

「そんなにですか?」

「はい。」


僕は薪を100本お願い致しますと頼んできた可愛らしい女性と会話をし、その笑顔に胸が射たれると。


「おぬしは薪を割りに来たのか、あの女性を射に来たのか、どっちなんじゃ。」

「ムーさん・・・。そんな冗談言ってないで、少しは手伝って下さい。」


僕は椅子に座ったまま、笑顔のムーさんに話し掛ける。


「いい筋肉トレーニングになるじゃろ。おぬしにはピッタリじゃ。それに。」

「うおおおおおおおおおおおおおお!!」


ムーさんがチラっと視線を移した先では、ゴレンダーが丸太を素手で粉々に吹き飛ばしていた。


「凄いです~ゴレンダーさん。」


さきほどの女性がゴレンダーを褒め称えている。確かに魔法で拳に風を纏いながら、正拳突きで丸太を粉々にしたので圧倒されるが。


「おぬしもあれをしたら、あの女子にキャアキャア言われるかも知れんぞ。」

「ぼ、僕はそんなことしにきたのではないので。」


僕はそんなことを言いながら、横に転がっている物を見る。

そこには拳の形に穴が開いていた丸太があった。僕は既に実践していたのだ。

だけど丸太は吹き飛ばず、拳上に穴が少し開いただけだった。圧倒的に威力が足りない。

ムーさんも見てたはずなのに・・・。


「おぬしは莫大の魔力を秘めているのに、上手く解き放てないみたいじゃの。」

「・・・・。」


僕は黙々と薪を割っていく。


「イメージ力が足りていないのではないじゃろうか。」

「イメージ?」

「そうじゃ。ただ魔力を持っていたとしても、どのように解き放ちたいかをイメージしてあげないと魔力分子も形をいなさないのじゃ。」

「魔力分子?」

「まあこういうことじゃ。」


ムーさんはそういうと手のひらに火の玉を出す。


「これはただ火の玉を出したいとワシがイメージしたので、こんな形をしているが。ほれ。」


その火の玉が、槍の形に変化する。


「ファイヤーボールからファイヤーランスに。」

「そうじゃ。槍状態で飛ばしたいとイメージしたから槍になったのじゃ。おぬしはただこれを出したいしか思わないからそれが中途半端な形で形成されてしまうのじゃ。イメージじゃよ、イメージ。」


僕は、ムーさんが言っていたイメージをする為、目を閉じ、持っていた斧を振り上げる。

イメージしろ。

持っている斧は、風の鎧を羽織っており、その刃先は、風の刃で形成されている。

僕は体全体から魔力が放出していくのを感じ、少しずつ持っている斧に集まるのを感じる。


そして、目を瞑ったまま斧を、薪に向かって振り下ろす。斧に何かが触れた感触はあったが抵抗はなかった。僕は目を開けると、そこには真っ二つになった薪と薪を置いていた大きな丸太があり、斧は地面に埋もれていた。


「・・・・これは。」

「見事な魔法じゃったわい。ほれ、前を見てみろ。」

「・・・・。」


僕は正面を見ると、薪の先にあった家が真っ二つに切り裂かれていた。


「ウインドカッターじゃな。」

「あ、あなた何をしてるんですか。」

「え、え、あ、あの・・・ちょっと魔法の練習を。」

「なぜ薪だけじゃなく、私の家も斬ってるのですかアアアアア!!」


僕は女性とその後数時間に渡り、追いかけっこをする事に。

腰痛で動けなくなっていたおじいちゃんは家を斬られた衝撃でビックリ驚き、腰痛が治ったらしく、斬られた家の隙間からこちらを覗いていた。




「なぜ依頼金が請求書という形に?」

「家を半壊させたことでこういう形に。」

「あ、あの・・・なんとかなりませんか。」


僕は冒険者ギルドの受付嬢のジュンさんに頼み込んでみる。


「そうですね。借金自体はどうしようもありませんが・・・このクエストを受ければ返せるんじゃありませんか。」

「え・・・。」


ジュンさんが僕に一枚の依頼の紙を渡す。

そこには、


「魔王討伐ですか。」

「はい。頑張ってくださいね。」




「ま、魔王討伐じゃと!」

「そうなんです・・・そろそろ頃合かと。」

「おぬし本気か!?」

「そろそろ、僕達は本気で動き出すべきかと。魔王に驚かせビクビクしている者たちを救うために。」


僕は拳高々に大声をパーティの皆のまで宣言する。


「・・・・魔王。」

「そうですね、私達が本気を出せば、魔王といえど。」

「うぃ~、もういっぱい持ってきて~。」

「魔王様って強いのか?」

「ゴブゴブ。」

「へぇ~、そりゃあ楽しみなのだ。」


・・・・・皆、僕の借金の為に・・・ごめん。

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