第49鳴:友の異世界 冒険記②
僕はあのオーガとの戦闘の後、
今までで感じたことがないクエストを体験する事となったのです。
ネタバレするかもしれないので、題名は伏せておきます。
「ここが今回の依頼場所じゃ。」
「狭そうですね。」
「オイラはこの穴狭すぎて入れない。」
「そうじゃのぉ~、今回おぬしはここで見張りをしておいてもらうかのぉ~。」
僕達の目の前には、人一人がやっと入れる穴の前にいた。
僕が先頭でその穴に入り、回りを確認すると、中が真っ暗でよく見えません。
「ライトじゃ。」
ムーさんは右手を眩く光らせ、辺りを照らす。
入り口の狭さとは裏腹に内部はそこそこ広かった。
「ここがゴブリンの住処じゃ。」
「ここが・・。ゴク。」
そう、僕達はゴブリンの依頼で住処を潰しにきたのだ。
ゴブリンの住処というと・・・あれですよね。
囚われた女の人を襲っているゴブリン・・・。あれが見れるのか。
僕は不謹慎にもワクワクしてしまう。 確かに巣穴は臭かった。生ゴミのような匂いを放っている。
僕達は、ゆっくりと周りを確認しながら進んでいく。
どこからゴブリンに襲われるかわからない為だ。少し穴が開いていれば、そこから攻撃してくるのがゴブリンだ。僕はいつにもなく緊張しながら、手に持っている短剣に力を込める。
前の剣が折れたのと、ゴブリンの巣穴ということで短剣を購入したのだ。
「さあ、どっからでもこいや。」
そして、小さな扉がある部屋らしき場所を見つける。僕はその扉に手をかける。
扉はドーンと前のめりに地面に倒れる。
「馬鹿ものぉ!!大きな音を出すなあ!」
いやぁ~、ムーさんの声の方が大きいですから。
僕はゴブリン達が攻めてくると思い、剣や杖を構え、ゴブリンの襲撃を待つ。
だがいつまで待っても誰もこない。
部屋内部からも他の道からも・・。
僕は改めて扉があった部屋を覗き込む。
そこはさらに異臭を放っており、中はウンコまみれになっていた。
お目当ての女性はいませんでした・・・・ただの便所みたいだ。
「く、くそぉ~。」
僕は、その部屋から出て、悔しそうに地面を叩く。
その後、どんどん奥へと入っていくと、数匹のゴブリンがいた。
「ご、ゴブリン!」
僕は短剣を構え、ゴブリンの行動を観察する。
だけどゴブリンは倒れたまま、ゴブゴブと言って、起き上がってこない。
な、何をしてるんだ?
その時脳裏に懐かしい声が聞こえる。
「そのゴブリン達・・・・お腹が空いて・・・動けないらしい。」
「え?・・・お腹が空いて?ってエアか!!!」
僕は脳裏に届いた声がエアだとわかり、嬉しくなってしまう。
「エア、ごはん食べてるか?」
「・・・うん。」
「元気にしてるか?」
「・・・うん。」
「トイレいってるか?」
「・・・エッチ。」
僕は親のようにエアの身を心配して色々聞いてしまう。
ムーさんは独り言を言い出した僕を、はて?という顔で見ていた。
「ムーさん、どうやらこのゴブリン達・・・人間を襲うのをやめた者達みたいです。」
「人間を?」
「はい。」
「ゴブリンが人間を襲わなくなるなんて聞いたことがないのじゃが・・・。おぬしこの者達の言葉がわかるのか?」
「いえ、感です。」
そういった僕の言葉を理解したのか、ムーさんが火の玉を召還する。
ええええ~。
「いるわけなかろう~。」
「ちょ、ちょっと待ってください。入り口にいるゴレンダーが言葉わかると思いますので一匹連れて行きましょう。」
そして、僕達はゴレンダーが待つ入り口に向かい、一匹の死に掛けたゴブリンとゴレンダーが話始める。
ゴレンダーは持っていたウサギ・・・どこで捕まえたんだ・・・をゴブリンの口元に放り込む。
ゴブリンは久しぶりの食事なのか生肉のまま、無我夢中でかぶりついていた。
その間にゴレンダーは、ゴブリンの話を僕達にしてくれた。
「そうか。おぬしの話は真じゃったみたいじゃのぉ。」
「そうでしょ。」
「で、おぬしはこいつ等をどうしたいのじゃ?」
「え・・・・。」
「その辺はオイラが話をつけたのだ。・・・友について一緒に冒険者になると。」
「ええええええええええええええ。」
冒険者ギルドの受付嬢の前に僕とムーさんとゴレンダーと一匹のゴブリンがいた。
「・・・・・トントン。」
受付嬢が無言で目を閉じた状態で、鉛筆を机に何度もトントンとしていた。
「あ、あのぉ~、あ、新しい仲間が・・・。」
「はあ!?」
受付嬢が凄い形相で僕を睨んでくる。
「女の天敵を連れてきて、よく言うわねえ!」
「こ、このゴブリンは人間を襲うことをやめてまして・・・。」
「それで連れてきたと?」
ヤンキーのような声を出し、僕を威圧してくる。
「だ、大丈夫じゃ。ジュンちゃん。この者もワシがテイム・・・。」
「何考えてるんじゃああ~、このくそじじいいい!」
ジュン(受付嬢)の右ストレート(鉛筆付き)が、ムーさんの頬に食い込み、近くのテーブルまで飛ばされる。
「ゴブゴブ。」
「あのぉ~、これっといってるのだ。」
ゴブリンが受付嬢に恐る恐る宝石が付いたネックレスを渡す。
そのネックレスはここの寄る前にムーさんが購入したものだった。
それをジュンさんが受け取り、目を輝かせながら、見つめていた。
「これもらっていいの?」
「ゴブゴブ。」
「どうぞっといってるのだ。」
「よぉ~し、冒険者として登録すること許しちゃう。ほいほいっと。」
・・・・・・そんなのでいいのか・・・魔物だぞ。
僕達はそのまま、ムーさんをゴレンダーが抱きかかえ、冒険者ギルドを出ようとすると。
「ゴブリン!!死ねエエエエエエ。」
一人の冒険者男が、ゴブリンに向かって、剣を真上から斬りつけてきた。お腹一杯になったゴブリンはそれを避け、剣の腹に手刀を放ち、剣を叩き折る。
冒険者ギルド内からおお~と歓声があがり、さきほどのジュンちゃんは目を輝かせていた。
「ば、ばかな・・・・。これなんぼしたとおもってるんだよぉ~」
僕は急いで、その場から逃げ、ゴレンダー達も走って僕の後に着いてきた。
「剣べんしょうしろーーー。」
数日後、冒険者ギルドに戻ると、剣を折られた男が酒に飲まれていた。
「やってられるかよぉ~ふはははあ。」
「お客さん、お金あるんでしょうね・・・。」
「はあ!?そんなものあるか~はははは。」
「・・・・・。」
ギルドの飲み屋の店員が、打ち下ろした左拳をそのよっぱいの顔面にあて、テーブルを叩き割る。
「なめんじゃないわよ。」
・・・・・怖いっすね、この世界。
というかなぜ冒険者ギルドに酒場がくっついてるんだ。




