第41鳴:冒険者となる
僕は、異世界に転移してから、ムーさんと共にホームレス生活を送る。
朝早く起き、ムーさん直伝の筋トレ(ラジオ体操)と街内部のパトロール(ゴミ捨て場巡り)、
昼は恒例の殴られ屋、
夕方は各お店を回り残飯を貰う生活を1ヶ月も行い、僕の体は以前のひ弱な肉体とおさらばしていた。
殴られ屋ではある程度の攻撃も避けることができるようになった上に、防御力もあがったおかげか前ほどのダメージを負うことも少なくなっていた。
「ふむぅ~、なかなかいい体つきになったわい。」
「そ、そうですか・・。」
「よし、おぬしよ。そろそろ、行くとするかのぉ~。」
「・・・どこへ?・・・ゴミステーションは朝行きましたが・・・。」
「フフフ、いいところじゃ。」
ムーさんは、そういうと足早に路地裏に消えていく。僕も急いでムーさんを追いかける。
あいかわらず速いな。
一体何者なんだ、あの人は。
「ここじゃあ。」
「ここって・・・・・どうみても・・・。」
ムーさんが僕を案内した場所はどう見ても冒険者ギルドだった。
「冒険者ギルド?」
「そうじゃ、今日からおぬしには冒険者になってもらう。」
「はい?」
「折角鍛えた筋肉・・・使って何ぼじゃろう。」
「はぁ~。」
ムーさんが冒険者ギルドのドアを押し開けると、そこにはいかつい男達がおり、一斉にこちらを見る。
「おいおい、なんだ。ホームレスが来ていい場所じゃないぞ、おっさん帰りな。」
「あ、こいつら殴られ屋だ。ここで開催する気か?」
ムーさんはいかつい男達の問いを無視するかのように、受付に足を運ぶ。
僕も視線はいかつい男達を見ながら、ムーさんの後を追う。
「ひさしいのぉ~、ジュンちゃん。あいかわらず、彼氏はおらんのか?」
「・・・まだ生きてたんですか、ムーさん。早く死ね、おいぼれ。」
「おいおい、厳しいのぉ~。」
「ムーさんのせいで私の悪評が冒険者ギルドを回りに回ってるんですよ。どうしてくれるんですか、私の将来!」
「こいつが取ってくれる。」
ムーさんは僕を指差し、僕は顔を赤くし、照れる。
「論外。私の許容範囲は12歳までよ。」
「・・・・だから彼氏おらんのかぁ・・。」
「はん?!」
僕は聞こえない小声で言ったつもりなのに、ジュンという女の人はしっかりと聞いて睨んできた。
「ところで何かよう?」
「こいつを冒険者として登録したいのじゃ。」
「じゃあこれとこれにサインして、ここに適当に拇印押してくれたらいいから。」
「て、適当・・・。」
「詳しく説明しても誰も聞いてないし、冒険者は人の入れ替わりが激しいから、これくらいで十分よ。」
「そうですか。」
僕はぶっつけ仕事をしているのではないかと思いながら、ジュンが用意した書類にサインと拇印を押す。
「これでいいよ、はい、冒険者カード。」
僕はジュンから受け取った冒険者カードを確認する。
冒険者ランクはEと・・・。レベルは・・・ええっと・・・5か。
「ところでジュンちゃん、今依頼はどんなのがあるんじゃろう?」
「ええっと・・・ゴブリンゴブリンゴブリン・・・・ゴブリンゴブリン・・・・。」
ゴブリンばっかりです。ゴブリンの恐怖に皆震えてるに違いありません。僕じゃなくゴブリンスレイヤーを呼んで下さいと思っていたら、
「遺跡に住みついたゴーレムの駆除・・・。」
「それがいいかのぉ~。」
「え、ゴーレム?」
「ムーさん、この子にはゴーレムは倒せないと思うんだけど・・・。」
「いや、それがいいのじゃ。」
「まあ、死んでも私を恨まなければそれでも構わないけど・・・。」
いや、構ってよぉ!!最初はもうぉ~、薬草拾いやゴブリンから始めましょうよ。
「おぬしには・・・これが一番じゃ。」
ムーさんは僕の同意無しに、勝手に僕の名前を使って依頼にサインを入れていく。
依頼失敗は・・・銀貨100枚・・・。
高すぎますけど・・・俺、服と剣この前買って、お金ありませんけど!
「・・・友、冒険者になった。」
「ふむ、いいことだ。体を鍛えることは。」
「お兄さん~、遊びに来ましたよ。」
綾は友の部屋に入り、エアとアイリスと目が合い、ベットで寝そべっている友を見る。
「お・・・お兄さん・・・死んでるの?」
「臨死体験中・・・。」
「え?」




