第2鳴:アイリスと初仕事
エアとアイリスが初カラミします。
「そこで待ってなさいよぉ!」
怒った女の人の声が受話器から聞こえた。。。
「おかけになった電話番号は現在使われて・・・。」
僕は、いきなり怒声を放つ女の人に拘りたくなくて、つい・・・
「エア!!いるんでしょ!」
エアはその女性の怒声でビクっとなったが、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・にゃあ。」
電話番号使用されていないって案内しているのに・・・喋るなよ。ばれるじゃん。
その時、僕の部屋の扉が思いっきり開かれ、紗枝の後頭部に直撃した。
高等部の高等部に、、、ププププ。
紗枝が痛そうに僕を睨んでいる。 ぼ、僕じゃないよ~僕のせいじゃないからこっち睨まないで。
「エアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
紗枝の後頭部を襲った180cmくらいある女性は、部屋に入るなり、エアを抱きしめた。
その光景は、行方不明になった娘を探し当てた母親のようであった。
ちょっとなぜかじぃ~んとする。おっぱ、、、いや、お胸もなかなかあるみたいで、エアの顔をうめこんでますよぉ~。
「おまえええええええええええ、私の電話勝手に売っただろ!」
「・・・・ちょ、ちょっと・・・・・まつ、、、うぅぅぅ バキバキ」
エアは、その女性にさば折をされているみたいで、うめき声をあげている。
ちょっと痛そうだが、あれはあれで・・・・。エアの後ろに並んだら僕もしてもらえないかな。
・・・・初めての人と拘るのは嫌だけど・・・・。
「ちょっといきなりきて、なにしてんのよ。」
紗枝はエアをさば折している女性の腕を掴んだ。
そこで、エアを抱きしめている力が緩み、エアは力なく地面に倒れる。
「なんだ、お前は。」
「私は、ここの家のもんよぉぉ!あんた、不法侵入者でうったえるわよ。」
「む、そ、それはすまない。エアの行動に我を見失ってしまった。」
僕は、順番待ちをしていたのだが、紗枝にどうやらさえぎられてしまったようだ。
その女性はすまなさそうな顔を紗枝にしている。
紗枝・・・・・、その人きっと女神様だから。エアの知り合いの時点で。きっとそうだから。
エアに対しても強気だったのに。・・・女子高生って本当に怖いもの知らずなんだな。。。。
「私の名前は、アイリス。地球では33番地区を管理している。この家のこの部屋より北側は私の管理地域にあたる。」
「・・・・・・・・・・・死ぬかと思った。」
「エアァァァァァァァァァ、私の部屋にあった黒電話をこいつに売っただろ!」
黒電話???え、これ、アイリスさんのですか。。。
「・・・・・・・・・・・・・・・・証拠は。」
「お前が私の部屋に居候していて、私が仕事から家に帰ったら黒電話とお前がいなかった。・・・そして、
黒電話とお前がここにいる。これが何よりの証拠だろう。」
エアの発言にお怒りなのか、アイリスさん拳をプルプル振舞わせております。
まあ黒だろ。。。僕もエアが犯人だと80%ほど思う。20%は友達割引です。
「・・・・・こ、これは私の。」
「お前、確か今月の給料使い果たしたとか言ってなかったか?・・・黒電話ほしいけど金がないとか。私のずぅっと借りて使ってたくせにぃ。」
エアさん・・・・もう、喋らないほうがいいと思う。この状況は、もう土下座しかないよぉ~
そのない胸を地面に擦り付けてこするしかないよぉ~。
「そこの君ぃ!」
アイリスは僕を威圧するかのような・・・いや、あれは殺意ですな。
なんでしょう。きっと返せっていうんだろうな。嫌ですよ、俺、9万円も払ったんだから・・・。
「あれは私のだから返してくれないか?」
「い、いや~、お、俺9万円で落札したから。もう俺のですから。 まあ、・・・お金返してくれるなら考えますけど・・・。」
「そ、そうか。中々の大金だな。君もエアの被害者みたいだし・・・。」
アイリスは考え込む。あれ?けっこう強気だったのに急に・・・。こ、これはエッ○なお願いしたら聞いてくれそうな気がする。。。で、でも、それをいう勇気は僕にはありません。
「エア、彼に9万円返してくれないか?」
アイリスはエアに顔を向け、そうつぶやいた瞬間、エアは目をそらした。
「お、お前ぇ、ま、まさか・・・・も、もう使ったのか?・・な、なあ9万円だぞ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・v」
エアはアイリスに目線を合わさないまま、ピースサインを作った。
使っちゃったんだね、9万円。。。
アイリスはエアの背後に回りこみ、胴に手を回し、
ドォォーン!
バックドロップでエアを僕の部屋の床に沈めた。僕の脳内では試合終了のゴングが鳴っています。
「も、申し訳ない!!そ、その黒電話、私の仕事でも使っていて、」
「お金を払えないのに、物だけ回収してさようならってあんた、悪魔なの?」
「い、いや、私は女神だが・・・。」
弱味を見つけたのか強くアイリスに当たる紗枝。相手女神様だぞぉ~、もっと紳士に・・・。あれ?僕も敬語使ってないやぁ。アハハハハ。エアはのびてますな。。。ちょっと腰浮いているのが、なんとも可愛い。
助け舟でも出しますか~。女神様に貸しってのも・・・なんかこの先いいことありそうな気がするし。
「じゃ~あ、こうしませんか?エアが9万円を返しに来るまで、この部屋で黒電話を預かるというのは。」
「い、いや、それでは、私は仕事ができなく・・・。」
「その仕事というものをこの部屋でやってみてはどうでしょうか?」
「「えっ?」」
僕の提案に目を丸くしたアイリスと紗枝。・・・エアは、まあのびてますから。
「仕事はこの黒電話を使って、異世界の人と通信するのではないでしょうか?」
「ま、まあだいたいそうなんだが。」
「なら場所は僕の部屋でも天界でもどっちでも問題ないと思うのですよ。」
「神としての仕事を地上人に見せるわけにも・・・。」
「さきほど、エアが僕達の目の前で黒電話を使ってくれました。あれですよね。神託を起こすんですよね。」
「!?」
アイリスはのびているエアの尻を軽く叩き、目を覚まさせる。
綺麗な女の人同士がしていると、ちょっとSMの行為に見えるのは、気のせいだろうか。
「僕も異世界というものに興味がありそう・・・というか、あります。どうでしょう~。その間でしたら
僕の部屋を使っていただいてもぜんぜん問題ないです。」
強く言っておきながら、少ししまったと思ってしまった。一人エッ○の時間は外してほしい。・・・こ、こんなこと言えないけど・・・。
「くぅ・・・、これもエアのせいだがぁ、、、わ、わかった。その提案のもうじゃないか。」
「あの~お兄・・・、女の人を部屋に呼びたいだけじゃないよね。。。」
「そ、そんなわけ、ないですよぉ~・・・。」
紗枝は俺を睨んでくる。俺は冷や汗をかきながら、、ちょっとは可愛い女の人たちと触れ合いたいな~とはちょっと、ちょっとくらいしか思ってないから。
「ちょっと仕事ってのをやってみなさいよぉ」
「うむ。わかった。」
いや、紗枝さんあなた女神様に向かってなんて口きいてるんだぁ。やばすぎますぜ。
アイリスは黒電話の受話器を取り、耳元に近づける。
「ハアハアハアハアハア、こ、ここまでくれば大丈夫だぁ。」
「うむ。なにか困ってないか?」
「え、え、え、え、え、えええ。頭の中で女性の声が聞こえる・・・。」
「私の名前は女神アイリス。なにか困ってるだろ?言ってみろ。」
「あ、あ、あの~、俺はトム。い、今、彼女と一緒にゴブリンから逃げています。た、助けてください。」
「ゴブリンなんてやっつければいいだろう・・・。」
受話器の中の声は外に漏れ漏れ、まあいわゆるスピーカー状態。トムという男がアイリスに助けを求めていたが、アイリスの返答に俺達三人は、唖然とした。
「い、いや~倒せないから逃げてるんだろ。」
「ふむ。そうか。ならそう言ってくれ。」
「ドンドンドンドンドン。・・・や、やつら、もう扉の向こうまできています。どうか助けてください。」
「・・・・・・・・・・・・・彼女を囮に逃げる。」
「それぜんぜん論点ずれてるから。」
「まあ、私に任せなさい!!!この女神サエがあなたの悩みを解決してあげるわ!」
エアは僕のつっこみにしょぼんとし、紗枝は意気揚々と女神とか名乗ってるし・・・。だ、大丈夫かこの集団は。
「アイリス!異世界にいって、こいつら助けてきなさい!」
「無理だ。この部屋に来るのに、力を使いすぎて異世界に行く神力が足りない。」
「役立たずぅ!!」
駄目駄目だぁ、こいつら。よし、僕がぁ・・・。
「ぐふぅぅ、う、う、、、イ、イエアーアアアアアアァ、、ア、ア、ぁ!」
「トォォォォォォォォムゥゥゥゥゥゥゥ~・・・・・・」
なんか最悪な状況になってそうな気がします・・・・。どうしよ。そ、そうだ!
「エアぁ!・・・も、もしかしてゴブリンとも会話できないか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・できる。やってみる?」
「ああ、トムの近くにいるゴブリンの長っぽいのによろしくぅ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・まかせる。」
エアはそういうと、黒電話の番号をまわして・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・繋がった。」
「お、おい!そこのカッコいいゴブリン。」
「う、うん?なんだ?この声は??頭が喋ってる??」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・翻訳機能付。」
よくやったとエアに僕は、指を立て、エアも俺に指を立てた。
「そ、そこの人間達はお前たちに将来幸福をもたらす存在になる。今は手を出すな。」
「うん??男はえさに・・・女は苗床。もう決まってる。」
「そんなことをすれば、お前達は一週間以内に人間の騎士達に殲滅されるはずだ。」
「ム、か、返り討ちにしてやるぅ。」
ゴブリンの長が少しひるんだな。フフフ、畳み掛けてやる。
「お前の居場所はもう俺が掴んでいる。今すぐにでも送ってやろうか~。」
「く、くそぉ~、お、お前ら~もういい。にげるぞぉー!」
「え、長ぁ。苗床は連れていきたい。」
「い、今はおいていけぇ。逃げるぞぉ~人間の騎士がくるぞぉ!」
そこからプープーと音が受話器から聞こえる。通信がきれたようだ。
な、なんとかなったかな?と思ってエアに顔を向けたとき、エアは僕にピースサインをした。
「中々の手腕だったぞ。バシバシ」
「お兄~かっこ悪い。」
アイリス、背中痛いからそんなに入れて叩かないで。あれが最善の策だと信じたい。
「・・・・・・・・・・・・・・・・トム、いきてる。」
「え?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・あの後、彼女の回復魔法で生き延び、ごほごほ、た。」
「よかった・・。」
俺は深いため息とともに、受話器を元の位置に戻した。
チィーン
紗枝は、新たな強敵アイリスと向かい合う。
先制攻撃を受け、アイリスは地に伏せる。
豊かな胸は自分と同じか、い、いやそれ以上か。
紗枝はエアと共同戦線を取り、アイリスを無事撃破できるのだろうか