第20鳴:二代目
「おにぃ~おにぃ~。」
紗枝は、布団の中で枕を抱きかかえ、ゴロゴロしている。
「・・・・・・・・・・・・。」
エアは隣から呪文のように聞こえる声で寝ることができなく、暗い天井を見つめている。
「・・・・・・・・・・・・・・誰ですか。」
「いやぁ~、エア嬢ちゃんに呼ばれたんだが。」
今、僕の目の前・・・いえ、僕の部屋の中に見知らぬ男がおります。180くらいで坂本竜馬のごとく髪を上で結んで、着物っぽい服を着て、ゲタをはいてって!
部屋にゲタで入ってくるな!!
「げ、げた!」
「ああ、ゲタだが、ただのゲタじゃないんだなぁ~これが!おめえさん、こいつのよさがわかるのか?」
い、いや~あんた何言ってるんですか。ゲタ脱げっていってるだけですけど。
なんですか?万越えのゲタですか?伝説の木を材料にしたゲタですか?
などと思っていたら、俺の部屋にエアが入ってきた。
「・・・・・あ。」
エアは、その竜馬もどきを見て、手をぽんと叩いた。・・・・呼んだこと忘れてたな。
「エア嬢ちゃん~、きてやったぜ! 忙しいんだからほいほい呼ばれても困るんだが。せっかくのお得意様だからな。」
「・・・・・・・・うむ。感謝。」
「で、嬢ちゃん、この何もイメージを残しそうにない男は、お前のこれか?」
この竜馬もどきは、右手の小指を立てる。
「・・・・・・・・・もうすぐ、これになる。」
エアは、右手の親指を立てて、答える。
え?恋人を通り越して父親ですか?・・・・え?え?ってか恋人でもないし。
いや、恋人ならあれこれしていいのでは・・・。
俺は、エアの方をきらーんとした目で見る。
エアはその目を見て、胸を隠す。
隠す胸ないでしょう。
「まあ、冗談はさておいて。まず自己紹介だな。俺様はダテだ。これでも男神だ、よろしくな。」
「あ、僕は、荒井友です。神様。」
ダテと僕は握手をする。
「・・・・・・・・ダテ、鍛冶屋。」
「鍛冶屋????武器作ってるんですか?」
「あ、昔は武器も作っていたけど~今はこいつ達だ。」
そういうとダテは、黒電話を指差した。
もしかして・・・・この人は・・・・・・・神の・・・
「神の小道具を作っているんですか!?」
僕は少しテーションがあがり、声が高くなったような気がする。
握っていた手を両手で包み込み、話し掛ける。
「俺様はそんな趣味はないぞ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・二代目。」
「ああ、俺様は神の道具、小道具の鍛冶屋二代目だ。」
「二代目?」
「ああ~俺様達はなかなか死ぬことはないからな。先代(師匠)がくたばらねえのって。」
「・・・・・・師匠と仲が悪い。」
「だって先代の造るものって言ったら性能はいまいちの癖に名前にこだわりすぎなんだよ、俺みたいに見てスマートだって思え、性能がいい方がいいだろう。」
その後、三人で話していてわかったことがある。
まず、神の道具と神の小道具と2種類があるらしい。神の道具は消費する神力が大きいがその能力もピカイチらしい。神の小道具は消費する神力が弱いので、エアのような弱い天界人に人気だとか。
そして、先代と二代目で作るものも違うという話。先代のは『写し人形』など古典的な名前の物が多く、二代目は『乙女の中身は見えそうで見えないワンピース』などふざけた名前の物が多いらしい、そして、二代目のほうが性能がいいとのこと。値段はそんなに変わらずに・・・。
でエアは、その二代目のお得意様らしい。
給料のほとんどをその二代目の神の小道具を買ってるとか・・・・。
二代目の話だと、天界の中でも神の小道具の1、2位の保有者らしい。
そ、そんなに僕には使ってくれてませんが・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・使う暇がない。」
いつの間にか、エアは眼鏡『心よんじゃうよ』を装備していた。
「嬢ちゃん、今日はあれをついに持ってきた。」
「おお~。」
ダテはごそごそと背中に背負っていたバックから・・・・くまのぬいぐるみを出した。
な、なんだ・・・あれは・・・・ただのくまのぬいぐるみだろう。
エアがそんなの装備したら・・・・可愛すぎるだろう。
「・・・・・・・・・モテききた。」
「あ、嬢ちゃん。こいつは『どこまでも聞きますよ』といって、相手が言ってることを録音できるクマなんだ。もちろん追尾システムもついてる。ちょっと部屋においておくだけで、内緒話を盗聴できる優れものだ。」
「・・・・・む、ナイス。」
いやいや、そんな危ないもの売らないでエアちゃんに売りつけないで下さい。あなたがエアを監視したいのでしょう。そんなのお兄ちゃんが許しませんよ。
「5万円になる。」
「はい。」
ダテが金額をいうと共に、エアは素早くワンピースから5万円を取り出し・・・・・って、
「エア、返済金は?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「その5万円をもらおうじゃないか。」
「よっと、あんちゃんごめんよぉ~。こいつもらわないと次の実験ができないんだわ、これが。」
そういうとエアの手から5万円を抜き取るダテ。そして、エアの手に50cmくらいのクマのぬいぐるみを乗せる。
「ちょ、ちょっと待て!」
僕はダテに飛び掛ろうとするが、ダテは黒電話に触り、部屋から消えていった。
変わりにがちゃっとアイリスが部屋に入ってきて、僕の頭はアイリスの胸の谷間に・・・。
ついでにぐりぐりしておきます。
「こ、このド変態が!!」
アイリスの鉄拳が僕の骸骨、いえ、顎の骨をへし折りました。
「なに!アイリスまた買っただとぉ~。」
「・・・・・・・大丈夫。今月の使っただけ。」
「神の給料もらってすぐ使う奴がどこにおる!」
「・・・・・・・・・・ここ。」
アイリスの拳骨がエアの頭に降り注いだのはいうまでもない。




