第18鳴:エア変化
ダイエットは始まったばかり。
僕は・・・・そんなに長続きしたことありませんから!
「母さん、エアに毎日あげてる300円なんだけど。」
「あら?友。どうしたの?」
僕は今、リビングで朝ごはんを食べながら、母親と会話をしている。
紗枝は学校に遅刻ギリギリなのか大慌てでご飯をかきこんでいる。
エアは・・・、もうご飯を食べたのか、リビングで朝日を浴びて寝ている。
「これから1ヶ月の間、僕に渡してくれないかな?」
「え?エアちゃんのおこづかいを?」
「そ、そんなに心配そうな顔をしないで。これはエアのためなんだよ。」
「エアちゃんの?・・・・お金を手に入れるのは友なのに?」
「そ、そう。今から僕とエアは1ヶ月の間ダイエットで間食をやめようと・・。」
「ダイエット~!?友はともかく、エアちゃんどこにも脂肪ないじゃない。倒れちゃうわよ、ママ心配。」
ママって・・・・、いつからエアのママになったんですか。
ってか友はともかくって、僕も太ってないのに・・・ちょっとズボンの上にお肉が乗るだけですから。
「それで、無事成功したら、そのお金でエアに何かを上げようかと。」
「へぇ~、友が誰かにプレゼントを買うのって紗枝以外なかったのに。お母さん嬉しいわ。」
「ムグムグ、お兄ぃ、私も何か頂戴ね。」
何言ってるんですか、紗枝。あなたダイエットしないじゃん。
いや、ダイエットしたらその立派なお胸が萎んでしまうかもしれないし・・・・。
そうだ!そのお胸が成長したら買ってあげますよぉ~ワンサイズ大きいブラを!
そうこうして、昼前になりました・・・。
階段からドドドドドドドドドドドドドドドっという音がして、ドーンっと僕の部屋のドアが開きます。
エアがハアハアいいながら、下を向いています。
「ど、どうしたの?」
「・・・・・・・・・・・・・む、ムリ。」
「何が?」
「・・・・・・・・ムリムリムリムリ、ごほごほ、ム、ゴホ、ムリ。」
エアはムリを連呼しながら咳き込む。
僕はエアの背中をさすりながら、大丈夫かと問いかけた。
その時、エアがこっちを勢い振り向き、
「・・・・・・・・・・オヤツを要求!」
「・・・・一日もたってませんが・・・。」
エアの説明を聞くと、パトロール中にどうしてもたい焼きが食べたくなるらしい。
そして、そのたい焼きとジュースをセットに公園のベンチでふぅ~っと一息着くのが体に染み付いているとの事。
「ダメだよぉ~、お互いに決意したじゃないか。アイリスを超えるんじゃなかったのか。」
「ム・・・・・が、がんばるぅ~。」
エアはそういうと、フラフラになりながら、階段を降り、昼飯を食べに行く・・。
ダイエットを始めて、2日目になりました・・・。
今日の僕のサポーターは、真紀子と紗枝です。
そして、僕の部屋のドアを上げ、部屋に入らないエアに皆が注目しています。
エアは、僕に目を合わせると、フンといって横を向きます。
数秒後、また僕に目を合わせると、フンといって反対側を向きます。
あいかわらず、無表情ですが・・・。
「な、なにあれ可愛すぎじゃない!?」
「エアちゃん、可愛い~。」
真紀子と紗枝は、エアに抱きつき、あらゆるところを撫で回す。
ビッチ、どこ触ってる。
アイリスが見ていたら、きっとまぜろっとか言ってきそうだな・・・。
いなくて良かった、本当に。
そんなもみくちゃにされているエアは・・・。
「フ、フン~・・・」
また僕と目があって、上を向きました・・・。
首痛そうです・・・。
そして、三日目になりました・・・・。
「ガルルルル・・・・・・ガルルルル・・・・・。」
今日のサポーターは、アイリスと紗枝です。
・・・・で目の前には、昨日と立ち位置が一緒のエアちゃんが四つん這いでおります。
お尻を上にあげ、ガルルルルといっております・・・犬になったんでしょうか、威嚇してるのでしょうか。
「な、なんてことだ。誰だ、エアにおやつをあげなかったのは。」
「・・・え?・・・・おやつあげないと何かおこるの?」
「ああ、エアはおやつを3日食べないと・・・・・ああなる。」
アイリスは見たままのことを丁寧に説明してくれた。
見たらわかりますがなぁ。
「エアちゃん~。おちついて、ねぇ♪」
紗枝は無用心にエアの頭を撫でようとしたとき、がぶっとエアに甘がみされる。
「こ、こしょばいよぉ~だ、ダメ~しんじゃう~。」
紗枝は顔を赤くしながら、床でバタバタしている。大きな胸が揺れています・・・左、右、左、右。
アイリスはエアを止めようと近づいた時、
エアは紗枝の手を離し、アイリスの首元に噛み付く・・・・甘がみで。
「きゃあ♪・・・あ、そ、そんなとこ・・・や、やぁん♪」
アイリスさん色っぽいです・・・・。僕も近づいてよろしいでしょうか・・・。そうです、あなたにです。
俺はエア?・・・いや、アイリスに近づいたとき、
「ガルルルルル・・・」
エアに手を噛まれました・・・・もう噛み切るかのごとく・・・。
「い、いたたたたたたたた。え、エア~、離してくりぃ~。」
「ハアハア・・・エアは3日目、おやつを食べないと禁断症状でエアーモンキーになるんだ。」
こ、これモンキーじゃないですよね~、何その設定!
それから、紗枝はエアにバナナを上げると、元に戻ったエアは・・・。
「・・・・・・これでアイリス・・・・超えた。」
変わってませんから。これっぽっちも・・・・。
後、お金返しました・・・。
とっても喜んでたい焼き3つ買ってきてました。
「友にはあげない。」
「お兄ぃ~自業自得ね。」
「うむ。その腹では食す必要性がないな。」
「そ、そんなぁ~。」
美味しそうなたい焼きの匂いが部屋いっぱいを包んでいきます。
僕のお腹から・・・・鐘が鳴り響きます・・・。