第17鳴:エアの決意
「す、すまない・・・一つだけ私で叶うことがあれば願いをきいてやろう!」
「・・・・。」
「なんでもいいぞぉ・・・。」
僕は、しめたっと目を光らせ、・・・ちょっとHなことでもいいよねぇ。。。
「お、お、お、お、・・」
「お?」
「・・・・・・おやつがほしい。」
「うむ、いいぞ。これで借り貸しなしだ。」
アイリスさん・・・その願いは僕じゃなく・・・エアなんですけど・・・。
顔隠してるから見えてないんですか?
声でわかるでしょう~。
もう一度カムバック!
僕をお外に出そう計画から2日が過ぎました。
あれから紗枝はこりずに僕を誘ってきます。
遊園地に行こう、買い物に行こう、動物園に行こう、水族館に行こう、駄菓子屋に行こう、などなど。
僕は断じて全部断りましたよぉ。ちょっと迷ったのもあったけど。
・・・・・で僕は、今いつものごとく自分の部屋にいます。
で、黒電話の受話器を握って・・・・
隣には、ういちゃんがいます・・・。
この子、いつも冷静で何考えてるのかわからないんだよなぁ~。
ってなんで僕の部屋に遊びにきてるのかもわからない・・・。
「ねえ、お兄さん?」
「なんだね、ういちゃん。」
「今、電話の相手は、どういった状況なんでしょうか。」
「ええっとね・・・。確か・・・。」
「や、やばいんだよぉ~神様!!助けてくださいよぉ~!!嫁と愛人が戦ってるんだよぉ~!」
「・・・・・・・・・・・修羅場。」
「そうですか。・・・・どちらからも刺されればいいと思います。」
「僕もそう思う。」
「そ、そんなぁ~神様~助けてくださいよぉ~、一人を選ぶなんて俺にはできないんだぁ。」
「じゃあ・・・どうしてそうなったの?」
「ええっと・・・・俺は結婚してて、・・・愛人作ったんです。」
「「そんなの知ってるわ!」」
「ええ~!!」
「どうして愛人作ったか聞いたんだ!」
「そりゃあ~、美人がいたら声かけて、あわよくば・・・。」
「・・・・埋めるといいと思います。」
「・・・・じゃあお大事に。」
「そ、そんな神様ぁあああああああああああああ。」
僕は受話器を黒電話に戻し、ふぅ~と溜息をつく。
「お兄さん、ナイスです。」
「ういちゃん・・・。」
ういちゃんと僕はお互いに、いい笑顔で親指を立てた。
ういちゃん笑うと可愛いじゃん。
いつもその笑顔を向けてくれたら、もう僕イチコロかも。
そういうと僕の部屋の前をエアがお菓子を持って歩いていた。
もぐもぐっと・・・相変わらず頬に貯めまくりです・・・突きたいです。
そして、こちらに気づき、部屋に入ってくる。
「なあ、エア。・・・・・ダイエットをしてみないか?」
「・・・・・・・・・・ダイエット?・・・・うまい?」
「ああ、これくらいな。」
「食べ物じゃないですから。ちゃんと説明して下さい。エアちゃん勘違いしてますよ。」
僕は、エアにダイエットは両手で小さい○を描いてみた。
エアは、それを口に頬張る仕草をする。
それ、空気ですから・・・美味しそうに食べてます。無表情ですが・・。
頬に入っていたビスケットのかけららしきものが、床に散らばっていきます。
ういちゃん・・・掃除してくれないかな・・・。
「エアちゃん、ダイエット必要ないでしょ。物凄く細いじゃない。」
「・・・いや、油断はいかんよぉ~ういちゃん。エアこっちに・・・。」
僕はエアをこっちに呼び寄せ、エアは手をペンギンのようにしながら歩いてくる。
本当に可愛いっす。
エアは僕の50cm手前で立ち止まり、僕はエアのほっぺを引っ張る。
面白いように伸びるし、プニプニです。
「ほらほら。これはやばいっしょ。」
「・・・・・・・・・。」
僕はエアのほっぺを伸ばしたり引っ込めたりしながら、ういちゃんに説明する。
エアは無表情のまま、じぃっと僕を見つめている。
そんなに見つけちゃいや~んと言いたい。
「はぁ~・・・元々のような気もしますけど・・・。で、どんなダイエットをお勧めしますか?」
「そうだなぁ~、・・・・・・エア、とりあえず1ヶ月おやつ禁止から始めようか?」
「・・・・・・・・・お、おやつ、やばい。」
「簡単ですけど、まあ間食を減らすのはダイエットの基本ですね。お兄さんも一緒にするべきだと思います。」
「え?・・・ういちゃん・・・なんで?」
「ダイエットは周りの協力があると成功率上がるもんなんですよ。統計学的に。」
「・・・・い、いや、協力はするけど・・・。ほらぁ~僕ダイエットいるような体してないし・・・。食べないと栄養失調で倒れちゃうし~。」
僕はそんないいわけをしていると、ういちゃんに横腹をつかまれて、伸ばされます・・・。
「エアちゃんのほっぺより伸びますよぉ~、お・に・い・さ・ん」
すみません、ういさん・・・・顔が笑ってませんから。
「・・・・・・・・・・・ダイエットするといい?」
「そうですねぇ~、いいこともありますよ。」
「・・・・・・・・・・・ボンキュボンになる?」
「あ、そ・・・」
「なるぞ!!もぅ~、アイリスなんて目じゃないくらいにドドーンと。」
「・・・・・・・・・・・やる。」
エアは、両手を握り、上下に揺すっている。・・・・相変わらず無表情ですが。
ういちゃんは、お兄さんもやるんですからねっといって帰っていった。
さあ、明日から頑張るか。
え!?今日から???え、エアはおやつさっき食べてたし・・・
エアはエア?僕は僕って・・・・えええええ~
ういちゃんはあの後、駄菓子屋でアイスを買って帰ったとか。
「私はまだ大丈夫だから。」