第16鳴:He we go
「ねえ、お兄ぃ~。買い物一緒にいかない?」
今日は日曜日で学校が休みなのか、紗枝が朝から出かけようと声をかけてくる。
「そ、そとぉ!?・・・・い、嫌だ。」
僕は外に出るという行為に対し、身震いする。
「お兄ぃ~、そろそろ出れるよ。だって、異世界だって普通に家の外に出てるでしょう。」
紗枝は、そういうと僕の手にしがみついて・・・って、胸に挟まれてますがなぁ・・・。
お兄ちゃん、困ります。
股間は勝手に膨れ上がります・・・・妹でも反応してしまうところが悲しいです、はい。
「異世界っていっても分身を使ってるから、本体が外に出てるわけじゃないから・・・。」
「一緒、一緒だよぉ~。ねえねえ~。」
「紗枝・・・・そんなに甘えてくるの久しぶりだよな・・・。なにかあるだろ。」
「なにもないわよぉ!」
紗枝はそういうと怒っておもいっきりドアを開け、僕の部屋を出て行った。
・・・・・ドア閉めてください・・。寒いです・・・いま二月ですから・・・部屋の暖気が逃げるから。
それから2時間後、また紗枝が部屋にやってきた。
服装はちょっと露出が多めの服になってます。お兄ちゃんに何を求めてるんだ・・・。
「ねえねえ~。今から駅前にいこうよぉ~。」
「え・・・・駅前って、・・・うぅ。」
僕は駅前と聞いた瞬間、あの記憶・・・加西に刺されて笑いかけられた事を思い出し、吐きそうになる。
そんなこと関係なしとばかりに紗枝は、僕を左右に揺する。
「今、駅前がリニューアルしててさ。新しいお店が増えたんだぁ。」
「・・・・そ、そうなんか・・・。」
「私のお気に入りのクレープ屋さんがあってね。 店員さんもとびっきり可愛いんだよ。」
「・・・・。」
紗枝は僕を外に連れ出そうと必死になっているのはわかるが・・・店員が可愛いのにはピクリと来たが、外に出る気にはならない・・・。
家の中にいる限り、僕は外の人に迷惑をかけないし・・・いや、僕が外の人に攻撃されずにすむからだ。
僕は今もまだ必死に説得しようとしている紗枝の頭に手を置く。
「もういいよ。・・・・大丈夫だから。」
「・・・・・。」
紗枝はそのままスクと立ち上がり、部屋を出て行った。
目に涙を貯めていたようにも見えたが・・・、僕には外にでる勇気がない・・・
紗枝の期待には応えられないだろう。
僕は紗枝を見送りながら、胸の鼓動を静めるように深呼吸をする。
その時、後ろから・・・・
「ドォーン!!」
「ぐぅっ、ごほごほ、な、なんだぁ?」
深呼吸をしようと息を思いっきり吸い込んだところを、背後からエアに強く押され、息が詰まる。
エアが、ありゃあっと首をかしげ、こちらを見ている。
「・・・・・・・・・・・・友、元気でた?」
エアはそういうと、僕の左手を取って、両手で包んでくれる。
暖かい・・・。僕は単純にエアの体温を感じる。
「・・・・・・出たら、外に行く。」
ぉぃ!紗枝との会話の内容は理解してなかったのかよぉ~。
「・・・・僕は、外に出れないんだよ、エア。」
「・・・・・・・・・そうなの?」
「・・・・情けないんだけど・・・外が怖いんだよ。」
「・・・・・・大丈夫。・・・・私も怖い。」
「え?・・・・エアも?」
エアの発言に はて?毎日パトロールといって外にいってなかったかなと思っていると・・・
「・・・・・・あのたい焼きさんが怖い。・・・・・・・・・匂いがお腹にくる。」
「た、たいやき?」
「・・・・・・パトロール中の・・・・・・・私を誘惑する。・・・・じゅる。」
エアは増えていく体重が怖いと言ってるのだろうと僕は感づく。
そして、エアの左肩に僕の右手を置き・・・・左手は握られたままなので・・・
「太るよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
エアは無言で立ち上がり、部屋を走って出て行った。
「・・・・・・・・・たいやき、次は僕のも買ってきてね。」
それから2時間後・・・・紗枝とアイリスとエアの三人で部屋に入ってきた。
「「「とりあえず、表にでろや!」」」
ど、どこのチンピラですか・・・。三人で僕の部位をそれぞれ掴みだす。紗枝は僕の左手、エアは僕の右手、アイリスは僕の胴体を。エア以外の胸当たってますから・・・。あ、エアのもちょっとは感じます。
って、それどころじゃない。どこ連れて行くんだ。
僕は三人の手により、階段を降りていき・・・・そして、玄関を開けられ・・・・
「や、やめろぉ」
僕は力を入れて、玄関から外にでないように踏ん張る。
エアは、それにより、右手にしがみ付きながら宙ぶらりんになる。
「お兄ぃぃぃぃぃ」
「ここまできて、逃げるとはなさけないぞぉ。」
「くぅううううう、きぃたぁくてきぃたぁんじゃあああああああ、ない!」
僕は気合を出し切り、二人を・・・・
飛ばせませんでした・・・飛ばし方教えて下さい。
あるゲームでは下上でボタンを押すと飛ばせたんですが・・・。
あ・・・・エアは飛んでました。そして、玄関のドアに当たり、頭を押さえてます。
「紗枝!!」
「アイリス、まかしてよぉ!」
「「ダブルゥキィックー!!」」
「うおおおおおおおお、うお、うお」
僕は紗枝とアイリスの跳び蹴りで玄関外に追い出される。
「そ・・・・そと・・・・・・・・うわあああああああああああああああああああああああ」
「いきなりどうした。あいつは、ドラキュラだったのか?」
「・・・・・・・・・・・違う。」
僕は無意識のうちに奇声を上げ、転げまわる。
「お兄ぃ・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「うむ。助けてやる。」
アイリスはそういうと、僕の首の後ろに手刀を放ち、気絶させる。
それから数十分後・・・僕は、自分の部屋のベットで目を覚ます。
「・・・・・・・・・そうか。・・・・・・駄目だったか。」
「・・・・・・・・・・もう少しで駄目だった。」
「・・・・・え?」
「・・・・・・・・・・後一歩で・・・・・。」
エアはそういうと、指を上に向け、上上っと指を縦に動かす・・・。
当たりを見渡すと、顔を両手で隠しながら、頬が赤い・・・・・アイリスさんがいました。
殺しかけたな・・・あのおっぱい脳筋が・・・。