解放感あふれる家
「もう、夕方か・・・」と鈴鹿。
セロ達はベルのタクシーに乗った。
「何食ってるの?美味しそう!」
「ん?」ベルは5本のフランスパンを買っていた。
「頂戴!」
「駄目だよ!俺が買ったんだから・・・」
「鹿引いた事、動物愛護団体に通報されたい?」と星羅。
「うう~」
「頂くね。」フランスパンを全部取って、皆に配った。
「なかなか、酷いね・・・」と鈴鹿。
「そうかな?」
「ろくな客じゃねえ・・・」と半泣きのベル。
「着いた!」静達は車から降りた。
「料金は往復で1500円に・・・」
「マリモ不動さんに付けておいて。」と鈴鹿。
「分かりました・・・」タクシーは去った。
「いいの?」と星羅。
「騙したのはあっちなんだから、これぐらいいいでしょ。」
「それもそうね。」
「ホントにボロい家だね。」と静。
「ここで生活するのね・・・はあ・・・」鈴鹿はため息をした。
「でも、公園で寝るよりはマシでしょ?」
「ん?なんか来てる!」静は来た道の反対の道路を指さした。
「なにあれ!?」星羅は目の所はサングラスを被っていて、緑色の芋虫の形に、車輪がついている車が来た。
「アゲハ幼虫の車だ!」静は叫んだ。
車が止まり、サングラスの右が開いた。
「珍しいな。ここに住む気か?」サングラスに短髪の若い男が前窓からかを顔を出した。
「何この車!」と鈴鹿。
「いいだろ!特別に作ってもらったんだ!」
「凄い!乗せて!」静は飛び跳ねた。
「はは、悪いがこの様に先客がいるんでね!」男の隣は、虫が入った虫籠で埋め尽くされていた。
「残念・・・所で何をしていたの?」
「俺たちは様々な生物を集めていたぜ!お近づきの印に・・・」
「?」静の手元にビニール袋に大量に詰めた、羽が縮んでいて動かないカブトムシを渡された。
「うっ!?気持ち悪い・・・」鈴鹿はは口を手に当てた。
「カブトムシさんだ!でも、死んでる?」
「カブトムシの炒め物だ!食ってみろ!うまいぞ。」
「・・・は?」
「食ってみろって。」
「・・・セロさんあげる。」静はセロに渡した。
「ありがとう。」迷いなく頭をかみ切って口の中に入れた。
「おお!食べてくれた!」男は喜んだ。
「う・・・」鈴鹿は口を押えながら草むらに向かった。
「うう・・・駄目だ・・・吐くも名が無い・・・」
「どうした!大丈夫か!?」セロは口の中をくちゃくちゃさせながら駆けつけた。
「・・・あんたのせいよ!!」セロの襟を掴みかかって睨んだ。
「え!?俺が何かしたのか?」
「当たり前でしょ!レディの前で虫をくちゃくちゃ食ってたら気分悪くなるに決まっているわ!!」
「す、すまない・・・」圧倒されながら言った。
「他にどんなどんな虫飼っているの!?」静は目を輝かせながら運転手に聞いた。
「凄い興味津々だね。何処高校?」
「帝央高に入学する予定。」
「俺らの高校か!内に来いよ!一緒に虫理料理を極めようぜ!」
「そこまで興味ないからいいよ。」
「あ・・・そ、そうか・・・所で食べてくれないか?」
「見た目で0点、食べる気にもなれないよ」
「くっ!どいつもこいつも!見た目が悪いだの、気持ち悪いだの・・・肝心なのは味だろ!見た目がよくても不味かったらダメだろ!」
「そういう問題じゃ・・・」と星羅。
「もういい!じゃあな!」運転手は車を発進して去った。
「じゃあね!」手を振った。
「本当においしんだが・・・」
「それ、お前の味覚がおかしいだけだから!」
「まだやってたんだ・・・」星羅はつぶやいた。
「二人ともなんか言ってやって!セロの味覚はイカれてるって!」
「本当においしいの?」
「サバイバルでよくお世話になったし・・・俺的にはおいしい。」
「・・・」星羅はカブトムシを掴むと、口の中に放り入れた。
「嘘でしょ・・・」鈴鹿は引いた。
「ペッ!」頭を吐き出した。
「頭は食えないし、まあ美味と言えば美味しいかな?」
「ええ!?味覚狂ってる・・・」
「どんな味?」静は聞いた。
「食ったら分かるよ。」カブトムシを静かの顔に近づけた。
「ん・・・うっ!」口を抑えて顔を背けた。
「臭い~!」
「確かに土臭いね。」
「耳鼻科行った方がいいんじゃないの?ん~喉が辛い・・・」
「もういい・・・地理会えず家に入ろう、風呂も入りたい。」
「そうだな・・・」セロ達は坂を上り敷地に入った。
「広い!池がある!あそこは何だろう?」静は目を輝かせながら右庭に行った。
「ほっておくと危険だし、何があるのか探検しに行ってくる。」鈴鹿は静に向かった。
「分かった。別行動だね。」
「・・・」セロはガラス戸の鍵穴に鍵を通した。
「あ、あれ?開かない?」セロは何回回しても開かなかった。
「貸してみて・・・あれ?壊れてる?」
10分後・・・
「あ!開いた!」星羅は言った。
「どうやったんだ?」
「押して回す。」
「そう言う鍵があるのか・・・」
「はあ・・・鍵にこれほど苦労したのは初めて・・・」土やほこりで開けにくい玄関を開けた。
「ピョピョピョ!」
「・・・」二人が真っ先に目に映ったのは、天井にツバメの巣から、落ちている大量の糞だった。
「・・・こっから入ってきたのね。」光が差し込んでいる大きな穴の開いた壁を見た。
その他には、空き瓶やコップなどが置いてあった。
膝ぐらいの高さの廊下を上がり、襖を開け、畳のある部屋に入った。
「私は前に行くから、セロさんは左の部屋に行って。
その奥には、机と暖炉がある部屋と右庭に続く掃き出しサッシがあった。
「ブーン!」
「・・・え!?」庭の縁側の先に、黄色と黒の塊がうごめいている物があった。
「ブーン!」
「蜜蜂だ!」目の前に、黄色と黒のしましま模様で小さくて首に茶色い毛皮をしている蜂が鈴鹿の目の前に来た。
「はあ、はあ、はあ~」星羅は急いで戻って、サッシを閉めた。
「心底、帰りたい・・・」
セロは襖を開けると、二階に通じる木でできた階段があった。
きしむ音を立てながら上った。
「おう・・・」二階は汚い大量の雑誌や漫画が足場が無いほど積み上げられていた。
「・・・」無言で引き返し、奥の襖を開けた。
黄ばんだ絨毯や炬燵とテレビがある部屋と中庭に通じるサッシと奥の部屋に汚い台所が見えた。
(雑草の量が酷いな・・・)中庭は草が伸びて何も見えなかった。
「ミヤー!」5匹の猫が炬燵から出てきて、台所に逃げた。
台所に行った。
「!?」蛇口を捻ると赤い液体が出て来た。
(なんだこれは!?)液体に手を付けて、匂った。
「錆か・・・」呟くと、透明な液体が出て来た。
(炊飯器と冷蔵庫は無し、コンロは手入れが必要そうだな・・・)
(ここに入れるのか・・・)ブレーカーの下に、魔電器を差し込む、四角いくぼみがあった。
「水瓶が繋がってる!」静は庇の下に横に並んでいる水の入った大きな器を見て感動した。
「水瓶ていうんだ・・・その奥は?」鈴鹿は奥のガラス戸を開けた。
白色のタイルに、木の蓋がかぶせてある釜戸と丸い木の板があった。
「おお!五右衛門風呂!」静は感動しながら蓋を開けると、白い塊が釜戸の底にあった
「初めて見た・・・ん?うわ、シロアリの死骸が・・・」
「とういうことは・・・」静は外を出て反対に回り込むと、焚庇の下に焚口があった。
「うん・・・あそこで薪を補充するのね。」小屋の隣に薪が積んであった。
「この小屋は?」鈴鹿は板を外してドアを開けた。
「飼育小屋か・・・」中は藁が敷いていて、水飲み場があった。
「こっちの道は・・・あ!イノシシさん!」静は小屋の右の道に長い角が生えているイノシシが歩いている所を発見した。
「でか!テレビとは全然違っ、静!」鈴鹿は静がイノシシに突然向かって行った。
「危ない!!」
イノシシは森に向かって逃げた。
「逃げた!待って!」追いかけた。
(逃げてくれてよかった・・・)鈴鹿は安心しながら静を追いかけた。
「痛!」静は森の中で木の根っこに転んだ。
「普段遅いのに、こういう時は早いんだから・・・大丈夫?」
「ん・・・あ、キノコがポコポコ生えてる!」転んだ目の前に、白くいキノコが沢山生えていた。
「え?あ、キノピオ(全然違うけど・・・)」
「食えるかな?」
「たぶん無理と思う。」
「大丈夫、派手な色は毒で地味な色は食べれるから!」
「今時こんな迷信、信じている人がいるんだ・・・」
「沢山あるし、皆で焼いて食おうよ!」静はキノコをもぎ取った。
「そういえばセロは軍人だし、詳しんじゃないのかな?」
「そうだね、とりあえず、取れるだけ取って行こう!」