(前編)驚異の熊 第一グランド
「着いた・・・は!?」静は息をのんだ。
「あ、朝の!」と星羅。
三メートルぐらいの大きさの熊の前に朝演説をしていたおじさんが立っていた。
「何をしている!熊と目を合わせれるな!」セロは怒鳴った。
「だまれ!あんたらが環境を破壊するからこうして、人里に降りて食べ物を探す事態になっているんだ!」熊に近づいた。
「馬鹿!近づくな!!」
「可哀そうに・・・お腹が空いているんだろ?美味しい木の実をお食べ・・・」木の実を差し出した。
熊は突然、爪を振った。
「うああああ!!」腕が切飛んで行った。そして、熊は覆いかぶさった。
「い、痛い!!助けて!!」腹部を噛みついた。
「ぐわわわあああ、あああああ!!!」絶叫が響いたが、だんだん小さくなっていった。
「逃げるぞ!」セロは呼びかけた。
「ああ・・・」静は座り込み、震えていた。
「・・・」鈴鹿は熊が血が滴る内臓を食べている姿に吐き気がした。
「逃げるぞ!」セロは静の腕を引っ張った。
「・・・」体が動かなかった。
熊は食事を止め、突然何かを投ばしてきた。
「くっ!?」セロはとっさに腕を出した。
腕に当たった瞬間、血が飛び散り、服や皮膚に付着した。
「ヒッ!」鈴鹿は地面に臓器が腕からズレ落ちていくのを見た。
そのとき、自動車が走る音が聞こえた。
「グルルルル・・・」熊はそっちを向いた。
「くらえ!」猟友会と書かれたバンが止まり、一人の狩人が降りた瞬間、スプレー缶を出した。
白い霧が熊にめがけて勢いよく発生した。
(催涙ガスか!)セロは一瞬で分かった。
「な!?」
熊は瞬時に、霧がかからないように後ろに下がった。
「くそ!避けやがった!」男は熊に向かった。
熊は石を拾い投げた。
「!?」石は男に命中し、頭が割れ血が噴き出しながら倒れた。
「くそ!捕獲は不可能か!」狩人達は熊の嗅覚や目に向けて猟銃を発砲した。
熊は瞬時に太い右腕で顔を隠し、腕にめり込んだ。
「ば、馬鹿!?どうなっているんだ!?」狩人たちは驚いた。
「グルルルル・・・」熊は顔を隠しままま、二足歩行で猛スピードで向かってきた。
「逃げろ!!」狩人たちはバラバラに散らばった。
「ぐわわわわ!!」熊は逃げている狩人の背中を爪で引き裂いた。
「くらえ!」熊に向かってスプレー缶を噴射した瞬間、熊は男の腕を切り飛ばした。
「あああ!?」自分の腕が無くなっていることに気が付いた時、熊は狩人の顔を殴り飛ばした。
「くそ!冗談じゃねえ!」二人の狩人が車に乗った。
「話が違う!増援を要求する!」助手席に座っている狩人が無線機で連絡した。
「よし!エンジンがかかった!他の三人が囮になっている間に・・・」
「!?」目の前に猟銃を掴んだ熊が立っていた。
「ヒッいいいい!!」車を動かそうとした瞬間、熊は猟銃をハンマーの様に振り落とし、フロントガラスを粉々にした。
「うわ!?」運転席の男は熊に顔を掴まれた。
「あがっ!」骨が砕けていく音がし、スイカの様に砕けた。
「くっそおおおおお!!」震える手でポケットからマグナムを取り出して連射した。
「ああ・・・」弾が切れた。
「ガウ・・・」銃弾は腕で止まり、少し出血した程度だった。
「い、いやだ・・・助けっ」顔を握りつぶされた。
「思ったより最悪だ!逃げるぞ!」セロは後ろに引いた。
「・・・」静は気絶していた。
「どうした!早く逃げるぞ!」
(人が・・・殺されていく・・・)鈴鹿は体が震えていた。
「くっ!」鈴鹿は前に出た。
「ああ・・・」熊に追い詰められた狩人は縮こまっていた。
「グルルル・・・」爪を振ろうとした瞬間、熊の頭に石が当たった。
「?」ゆっくり振り向くと、鈴鹿は立っていた。
「こい!化け物!!私が相手よ!」(火の魔法で熊を燃やせば・・・)
「何やっているんだ!?」セロは怒鳴った。
「・・・」熊は狩人の膝を足で潰すと、ゆっくり体を向け、石を拾い投げた。
「え?」思った瞬間、セロに体を右に押された。
セロは瞬時に、鈴鹿の体を体で押して石を避けた。
鈴鹿は右側の川に落ちた。
「ハア、ハア・・・」石はセロの顔をかすめた。
「グルルルル・・・」
セロは熊が笑っているように見えた。
「ここは?」静は目が覚めた。
「く、熊さんが!」
「立て!」星羅は言った。
(逃げるのは不可能だ・・・武器は無い、目か鼻を破壊すれば勝ち目があるかもしれない・・・だが相手はヒグマ種そして異常に知能も高い・・・)セロはゆっくり向かってくる熊と見合っていた。
「ガウ!?」後頭部に何かが刺さった。
手で取ると、麻酔と書かれた注射器があった。
振り向くと、自動車に隠れている狩人の存在が嗅覚で分かった。
「ガルルルルル!」そこに向かった。
「今だ!逃げろ!」セロ達は走り始めた。
「グルルルル・・・」熊は狩人の首を切り倒した後、セロ達を追った。
「は、早い!!」星羅は向かってくる熊を見て言った。
セロ達は少し先に納屋があるのを発見した。
「あそこに避難するぞ!」
「きゃ!」静は激しく転んだ。
「静!」星羅は振り向いた。
熊は下舐めずりをしながら向かってきた。
瞬時に、セロは倒れている静の前に出た。
(やるしかない!)拳に鹿を運んでいたときの様に魔力を込めた。
「ガウ!」鋭い牙が並ぶ口を大きく開けて飛びかかってきた。
(今だ!)熊の鼻に向けて拳を突いた。
瞬時に熊は腕で防いだ。
「!?」
「ガウ!」セロを押し倒した。
「きゃ!」静の上に倒れた。
熊はセロの顔に噛みついた。
「・・・!?」セロは目を開けると、熊の顔が目の前にあった。
「ガウ!?」
(何が起きたんだ!?噛まれているはずが、噛まれていない!?)セロは驚いた。
「ま、間に合った・・・!」静は苦しそうに言った。
目の前にセロが出た瞬間に静は、絶対シールドの事を思い出した。
(よく分からないが、反撃を!)
「ガウ!!」何回も噛みついた。
(くそ!熊に腕を押さえつけられて動かせない!)
「痛い痛い痛い!!!」熊とセロの体重で静は苦しんでいた。
(まずい!このままだと静が!)静の肋骨が折れたのが背中で感じた。
(くそ!)必死に腕を動かしたが、びくともしなかった。




