寝れない夜
「ああ、やっと寝れる!」鈴鹿達は右部屋で寝ることにした。
「布団は?」と静。
「無いけど、寒くないでしょ。」星羅は机を端に寄せながら言った。
「まあいっか!お休み!」静は横になった。
「ランタンどうする?」星羅は聞いた。
「蝋燭がなくなるから消した方がいいよ。」静は言った。
「そっか。」息で火を消し、机の上に置いた。
鈴鹿と星羅も横になった。セロは少し離れた所で横になった。
「・・・帰れるかな私達・・・?」星羅は鈴鹿に聞いた。
「どうだろう・・・異世界に来たことは嬉しいけど、こんな展開は望んでいなかった・・・」
「31日以内に一千万・・・普通に考えたら不可能・・・」
「そうだね、でもクロックが言ってた様に、帝央高校で優秀な成績を取れば簡単な事を言ってたね。」
「出来なかったら?」
「・・・ギャンブルをするしかないね。」
「更に借金が増えるけど。」
「どうせ、一カ月後には連れていかれるんだから、いくら借金しても同じでしょ。」
「そういう考えね・・・」
「もしくは、金融会社に金を借りるか・・・」
「それ、どんどんほかの業者から金を借りて、借金が膨らむ負のスパイラス形式・・・」
「・・・皆で飛ぶか?」
「何処に逃げる場所があったらの話だけどね。」
「はあ~死ぬしかないじゃん。」
「無理だったら、大人しく警察に告白するしかないね。」
「売春か刑務所暮らしか、研究所暮らしか・・・」
「その心は?」
「どちらにせよ、地獄・・・」
「はあ~」二人は同時にため息をはいた。
「お母さんは心配しているだろうな・・・」星羅は悲しそうに言った。
「・・・」
「先の事は考えない方がいいね・・・」
「うん、鬱になりそう・・・」
「まあ、とにかく、帰還か一千万を稼ぐかのどちらかね。」
「ハア~そうだね。」
「もう寝よう・・・」
「うん・・・お休み・・・」
「そういえば、静が言ってたチョーちゃんて何だったのかな?」
「もうどうでもいいでしょ・・・」と鈴鹿
「一緒に居たFBIのロバート・コロックはどうなったんだろうか?」とセロ。
「起きていたんだ・・・」
「さあ、地球でのんびりしているんじゃないん?」眠そうに言った。
「そう信じるか・・・」
「今度こそお休み・・・」
「よい、眠りを・・・」
寝静まった。
「・・・」セロは考え事をした。
(今更だが・・・女性三人と屋根の下で暮らすことになっているんだよな・・・こんなの初めてだ!しかも三人共、美女で可愛い・・・)三人の寝顔を上から見た
「・・・」友人の言葉を思い出した。
「女と親密になる手っ取り早い方法は、ベッドの上で語り合うことだ!」と。
(・・・どういう意味だ!?ベッドの上で話し合う・・・?)首を傾げた。
「うう・・・」と鈴鹿。
「!?」一瞬体が跳ね上がった。
「虫が・・・口の中に・・・」
(寝言か・・・所で俺は何に対して驚いたんだ!?そして、この安心感はなんだ!?俺は何を考えているんだ!?)
「・・・」(もう寝よう。俺は疲れているんだ・・・明日、三人に聞いてみよう。)元の位置に戻って目を瞑った。
数分後。
「ブーン」
「・・・」
「ブーン!」
「・・・」
「ブーン!!」
「ああ、もう!耳元で!!」鈴鹿は起き上がった。
「ハエが・・・!」星羅もイライラしながら起き上がった。
「な、なんだ!?」セロは怒鳴り声で起き上がった。
「・・・」静は寝ている。
「どこ行った!?」
「いた!死ね!!」鈴鹿は両手で叩いた。
「くそ!逃がしたって、これ蜂だ!」
「痒い!蚊も居る!」星羅は腕をかいた。
「ゴキブリが服の中に!!」セロは襟から侵入したゴキブリを出そうとして、立ち上がった。
「くそ!また失敗・・・」鈴鹿は後ずさりをしながら全体を見渡した。
「うわ!?」鈴鹿はつまずいて静の上に倒れた。
「痛い・・・何なの!?」起きた。
「虫が居る。手伝って!」
「虫ぐらい何なのよ!もお!」
「耳元でブーンブーンうるさいんだよ!」
「だからと言って、起こさなくてもいいじゃん!」
「何でこんな状況で起きないん!?」
「眠たいんだもん!寝かしてよ!」
「手伝ってよ!」
「嫌だ!寝るの!」
「うるさい!!もう嫌だ!こんな所!地獄だ!」星羅は怒鳴った。
数時間前、数キロ離れた一軒家。
「パパ!これ拾った!」三つ編みの幼い少女シュエルが何かを外から拾って来た。
「おお!何だねこれは?」歯型や泥が付いた汚いバックを娘が持っていた。
「なんだろう?」
「汚いから捨てておこうね。」母が言った。
「うん、分かった!」
「捨てておくから、風呂入ってもう寝なさい。」
「うん!」風呂に向かった。
「可愛い娘だ。」と父親。
「もう、玄関開けっ放し!」母親が玄関の戸を閉めに行った。
「ハハハ!俺似か!」
「きゃぁぁぁぁ!!」玄関から悲鳴が聞こえた。
「どうしたお前!?」
「♪」シュエルは体を洗い流した。
「お母さんの悲鳴!?」風呂の戸を開けた。
「お・・・かあ・・・さん?」最初は何が起きているのか混乱して認識出来なかった。しかし、少しづつ落ち着いていくと、何が起きているのかが整理が出来た。
そう、熊が自分の母親に覆いかぶさって、血が滴る内臓を食べている姿を・・・
「・・・」涙が垂れ、体が震え硬直して体が動かなくなった。
父親が奥の部屋からショットガンを持ってきた。
「こっちだ!」シュエルの腕を引っ張った瞬間、熊はシュエルの方を向いた。
「くそ!!」ショットガンで熊を連続で撃った。
命中はしたが、怯みもしなかった。
(効いてねえ!!)
「くそ!裏口から逃げるぞ!」呆然としているシュエルの手を握り、熊に背を向けた瞬間、熊は襲い掛かってきた。
「!?」背中を深く爪で抉られ、シュエルに覆いかぶさるように倒れた。
(せ、背中が・・・ぐっ!?)熊はそこを噛みついた。
「・・・」シュエルを熊に見つからないように、そのまま抱きしめた。
「絶対に・・・う、動くな・・・ぐふ!」大量に吐血した。
「・・・」シュエルは何が起きたのか分からなかった・・・ただ呆然とし、気が付かぬうちに意識を失っていた。
(熊が俺を食べている・・・痛みも感じなくなってきた。どうやらここで俺は死ぬようだ・・・せめて、人生最後の願いだ・・・娘を・・・た・す・け・て・・・)意識を失った。




