純粋なセロ
「ごちそうさま!あまり美味しくなかった!」静は笑顔で言った。
「まあ、虫食うよりは遥かにまし。」
「日がすっかり暮れたね・・・」星羅は周りを見ながら言った。
「不気味・・・」鈴鹿は家の背景にある真っ暗な森を見た。
「風呂入りたい!」と静。
「そうね・・・汗でベトベトだし・・・」と星羅。
「でも五右衛門風呂は虫の死骸とか積もってたりして汚かったよ。」と鈴鹿。
「前の主が住んでいた頃からずっと放置していたんだろう・・・」とセロ。
「改めて思うけど、酷いね・・・」星羅はため息をしながら言った。
「この汚らしいクズ業者に制裁を!!」鈴鹿は拳を作った。
「温泉無いの?」静はセロに聞いた。
「・・・無いな・・・恐ろしいほど何も無いな・・・」地図は自治会の屋敷と家が10件ほど遠くにあるだけだった。
「シャワーはある?」星羅は鈴鹿に聞いた。
「ホースならあったよ。」
「今日はそれで我慢するしかないね。」
「着替えは?」静は聞いた。
「あ・・・」
「一日ぐらい同じの着ても大丈夫だろ。」とセロ。
「セロみたいな不潔野郎は平気かもしれないけど、女性は服を変えなければ気が済まないの!特に下着は!」
「そ、そうか・・・」
「家に服無いの?」
「物色してみたけど、カビが生えていたり、穴が空いていたりして、服と言える品物は無かった。」と星羅。
「ハア~同じ下着を着るのか・・・」
「そうだ!服を全部洗濯して、全裸で寝るのは?明日には乾いていると思うし!」静は指を立てて提案した。
「いい案だね!明日には全員風邪ひいているだろうね!」と星羅。
「もう、風呂入らなくていいや。それより、眠たい・・・ファ~」鈴鹿はあくびをした。
「私もいいや・・・脱いだ下着を履きたくないし。」と星羅。
「そうね・・・明日、最低限、必ずやること決まったね!」と鈴鹿。
「何?」と静。
「服買って、風呂が入れるように掃除しないと・・・」
「それと帝央高校に行って、手続きを済ませないとね。」と星羅。
「そうだね・・・魔法学校て何をするんだろう?」
「さあ、ほうきに乗って、浮遊する魔法とか?」と静。
「それよりも、転送魔法に詳しい人を探さないと。」
「学校だったら情報も得られそうだし、出来れば一か月以内に戻りたいし・・・」
「ここに来る前に、『私も異世界に行きたい!』て言ってたけど?」と静。
「そうだけど・・・こんな昼間っからドンパチが起きる物騒なのは望んでいないし、私が望んでいたのは中世風でモンスターとか魔王が居る世界の事よ!」
「フーン。そうなんだ。」
「ましても、序盤から一千万払えなかったら、売春をやらされるなんて・・・ハア~日本が名残惜しい・・・」
「所で、俺はどうすればいいんだ?」とセロ。
「ああ・・・そうね。」
「流石に高校に入るのは無理だから、明日、とりあえずハローワークに行きましょ。」と星羅。
「お仕事こんにちわ?」
「え?」
「訳したのね。」と静。
「どういう意味だ?」
「働き口を探すところよ。」
「そう言う事か・・・」
「ふあ~眠くなってきた・・・」静は大あくびをした。
「もう、寝よっか。疲れたし。」星羅は、ランタンから蝋燭を出して、焚火で火を付けて戻した。
「行こうか。」
「焚火は?」と静。
「消すか・・・」セロは社会の窓を開けた。
「ストップ!ストップ!今度は何をする気なの!?」と鈴鹿。
「これで火を消すつもりだが?」
「女性の前で?」
「そ、そうだった・・・」
「なるほど、私たちは男に見えるという意味ね。」と星羅。
「ち、違う・・・いつもそうしてきたから・・・」
「もお・・・近くに水があるんだからそれで消したらいいじゃん・・・」と鈴鹿。
「すまなかった・・・」水瓶があるところにむかった。
火を消した後、セロ達は家に上がった。
「疲れた!」静は畳の上に転がった。
「やっと、落ち着けれる。」星羅は座り込んだ。
「!?」静は突然、目を見開いて立った。
「どうしたの?」鈴鹿は聞いた。
「せ、背中に何かついていない?」
「背中?あ・・・」
「まあ・・・どんまい。」と星羅。
「・・・」静は服を脱いで確認した。
「うわ~」服に、潰れて汁が出ている幼虫がへばりついていた。
「最悪・・・うう・・・」
「・・・セロさん。」星羅はセロの方を向いた。
「・・・」
「凝視しすぎ。」
「は!」セロは静の下着姿から見える、豊富な胸に見惚れていた。
「はって、そんなに夢中だったの?」
「そ、そうだ・・・」顔を真っ赤にし、静の方を見ないようにしながら頷いた。
「素直だね・・・」
「そんなに刺激が強いかな?」ポケットティシュで拭きながら言った。
「男はみんな巨乳好き・・・けっ!」鈴鹿は唾を吐いた振りをした。
(下半身もビンビンなんだろう・・・え?)
「・・・立ってる?」
「!?」セロはとっさに下半身を両手で隠した。
(立ってたんだ・・・)
「図体は大きいのに、小さいねあそこ。」静は虫をくるんだティシュをポケットに入れた。
「それは、言わない約束!」と鈴鹿。
「・・・」セロの頭の中で、『小さいねあそこ』が響いた。
(な、何故だ・・・胸に来る気持ちは?あ、あれ?な、涙が・・・)セロは両手を畳に付け、涙を拭った。
「・・・だ、大丈夫よ、男はそこの大きさじゃなくて、心の器量だから・・・」星羅はセロに言った。
「どうしたの!?」静も駆け寄った。
「静ちゃんのせいよ・・・」鈴鹿は怒鳴った。
「え!なんで!?」
「それは・・・例えば、女性に対して、背が高いとか、関取とか貧乳て言われるようなものだから・・・」と星羅。
「?私、貧乳でもないし、背も小さいけど?」
「・・・こいつ、埋めていい?」切れ気味の星羅。
「まあまあ、落ち着いて・・・」と鈴鹿。
「俺は、大丈夫だ・・・」セロは立ち上がった。
「・・・よく分からないけど、ごめんなさい。」静は頭を下げて謝った。
「いや、大丈夫だ・・・ここの鍛錬をおこたわっていたのが悪いんだ・・・」
「鍛錬て・・・」と鈴鹿。
「明日から鍛えることにするよ。」
「・・・どうやって?」と静。
「え?・・・どうやったら鍛えれるんだ?」
「そこから!!?」と三人。
「?」
「自傷行為知らないの?」と静。
「自傷?自分を傷つける事か?」
「もういいです・・・」
「知っているのなら、教えてほしい!どうやったら鍛えれるんだ!?訓練でも誰も教えてくれなかった!」必死のセロ。
「知らなくても生きていけるから大丈夫。」と鈴鹿。
「しかし、これだと子供を作れないかもしれないし・・・」
「さすがにそれは知っているんだ。」と星羅。
「それから、コウノトリが来られなくなるし・・・」
「は?コウノトリ?」
「コウノトリが運ぶんだろ?」
「・・・面白い冗談ね。」
「え?違うのか?」
(こいつ、頭大丈夫か?)
「お前は子供か!」鈴鹿は怒鳴った。
「え!?」
「なるほどね・・・人類は実は鳥類だったんだね!」と星羅。
「・・・?」
「じゃあなんで、性行為をしたら、コウノトリが来るのかな?」
「それは・・・受精という信号をコウノトリがキャッチして・・・」
「もういいよ、話さなくて。こっちまで、頭がおかしくなりそう・・・」
「どっからその情報聞いたん・・・」鈴鹿は聞いた。
「友人だが・・・やはり嘘だったのか?」
「・・・うん、あってるよ。」と星羅。
「それはよかった・・・」セロは安心した。
(諦めた・・・)鈴鹿は思った。
「それから、コウノトリは?」と静。
「コウノトリは赤ちゃん製造工場から・・・」
「もういいよ!!それよりトイレは何処!?」鈴鹿はセロに聞いた。
「ああ・・・こっちだ。」セロと鈴鹿は炬燵がある部屋に向かった。
(ナイス、切り替え!)星羅と静も付いて行った。




