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魔王の刺客  作者: oga
7/9

vsキツネ 前編

夜中、ガリが開通させた穴で待っていると、一人乗りの宇宙船がやって来た。

その中から現れたのは、魔王の手下であった。


「三日月狩様ですね。 魔王様の命でこちらにまいりました、キツネです」


キツネは魔王の手下というイメージと違い、礼儀正しかった。

特徴としては、頭からツノが生えていて、切れ長の目をしている。


「ああ、早速明日から俺と組んで教師たちを始末していく」


ガリの考えでは、放課後単独行動をしている教師を見つけて、一人ずつ倒していくつもりだ。


「今日はうちに止まって、明日の放課後まで待機だ」


「分かりました」






ガリは全く授業の内容が頭に入ってこなかった。


(いよいよだ)


この日の放課後から、自分の仕掛ける教師狩りが始まる。

そのことで頭が一杯だった。

タカスギが黒板にチョークで問題を書き写していく。


ガラガラ……


誰かが教室に入って来た。


「ん?」


タカスギが扉の方に目をやる。

見たこともない男が立っていて、こちらに近づいてくる。


「……なっ!」


タカスギは何かに気が付き、思わずチョークを落とした。

現れた男は手から剣を取り出し、素早くタカスギの胸に突き立てた。


「ぐっ…… 逃げろ……」


ドサリ、と仰向けに倒れ、タカスギの体は崩れてなくなった。


「う、うわああああああああああっ」


教室内に上がる悲鳴。

ガリ自身も何が起こったのか分からなかった。

目の前にいるのはキツネだ。


(どういうことだ!? 話が違うぞ)


キツネが剣を拾い上げる。

そして、今度はこちらに向き直った。


(まさか…… やめろっ!)


すぐにキツネがここの生徒まで手にかけようとしていたのが分かった。

ガリは立ち上がって能力で鎖を取り出した。

それを相手の足元を狙って投げつけた。


ガキン!


しかし、剣に絡め取られる。


「みんな逃げろ!」


ガリが叫ぶと、生徒はみな一斉に駆け出した。

一瞬、佐藤サヤカと目が合った。


「……」


佐藤が自分のことをどう思ったかは分からないが、手から武器を取り出すという能力がバレてしまった。

これで色々なことに説明がつき、自分はもうここにはいられなくなるな、そうガリは思った。


膠着状態。

鎖が剣に巻き付いたことで、相手も行動できない。


(この状況、俺も攻撃できないが、相手もできない。 クラスのみんなが逃げる時間を作れる)


しかし、相手は待ってはくれない。

剣をこちらに向けて投げつけてきたのだ。


グサリ、と肩口に剣が刺さり、そのまま横転した。


「ぐあっ」


「三日月狩、なぜ邪魔をした?」


「話と…… 違うっ」


「どんな手を使っても結果は同じだ。 そして、この学園の生徒まで始末できればなお良しだろう。 お前はそこで寝ていろ」


そう言い残して、キツネは廊下に出て行った。






ガリの仰向けのまま、諦めかけていた。


(まさか、こんなことになるとは)


罪のない生徒の未来まで奪うことになってしまった。

ただ教師が嫌いってだけだったのに。

何でこんなことになってしまったのか。


(とことんダサい)


過去の自分も、今の自分も、何をしてもうまくいかない。

テストだって、ちょっと勉強すればどうにかなったハズだ。

それをしてこなかった自分が悪い。

それを八つ当たりのように教師に当たるとは……

悪いのは全て自分だったのだ。


佐藤サヤカは魔法学が好きで、そのために学校に来ていると言っていた。

自分にも何か好きになれるものがあれば……


(俺のせいだ、俺が何とかしないと……)


ガリは肩口に刺さっている剣をわしづかみにして、引き抜こうとした。


「ぐあああああああっ」


肩口に触れただけでも激痛が走ったが、それでも力を入れた。

剣は抜け、どうにか起き上がれた。


「くそ、急いで追いかけないと」















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