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魔王の刺客  作者: oga
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vsヘビ

両断されたニャンクミの体は粉々になり消滅した。

ニャンクミは異世界から連れてこられた魔法使いで、ここの生徒と同じように実体を持たない。


自分のテストの答案を処分しようと、散らばった紙を調べた始めた所で、さっき助けてくれた関西弁の男に腕を引かれた。


「もうじき生徒が来るで! はよ逃げんと」


「答案を何とかしないと!」


「平気や。 あの小テストはニャンクミの独断でやったことや。 採点されることなく処分されるやろ。 あと俺、灰色ルシファーって言う名前やねん、よろしくな」


唐突に自己紹介。

しかも、灰色ルシファー……

変わった名前だ、と思ったのもつかの間、すぐに他の生徒が廊下に集まって来た。


「すげえ音したな」


「何だったんだろ……」


ガリは空いてる教室に身を隠し、しばらくして脱出した。





一方、職員室の教師たちは、ニャンクミが死んだことで大騒ぎになっていた。

傍らに落ちていた杖から、ニャンクミが何者かにやられたことが発覚したのである。


もしかしたらこの学園の中に魔王の手のものが侵入できる抜け穴があるのではないか?

そんな仮説を立てているさなか、机でこのことを考察する教師がいた。

名を「ヘビ」

追跡、尋問のプロである。


(ニャンクミは魔王の手の者に殺されたのか?)


腕を組み、独り言をぶつぶつ言っている。


(だがクレーターに違和感アリだな。 ニャンクミにしては威力が低い。 相手が生徒で手加減したのか、それとも敵が作ったものなのか…… だが魔王の手のものが紛れ込んでいたらすぐに分かるし、今まで侵入を許したことなどなかった。 となると、生徒が犯人の可能性か……)


しかし、ニャンクミにタイマンで勝てる生徒などいるはずがない。

もしニャンクミがやられるとしたら、不意を突かれた場合だ。


(生徒が犯人なら、最低でも2人は関わっている?)


一人が囮で、一人がニャンクミをやったという考えだ。


(確かニャンクミが教室を出て、三日月狩って生徒が腹痛でトイレに行った数分後に事が起こった。 そう話してた生徒がいたらしい。 クサイぞ……)


ヘビは、現場に落ちていた答案を調べ始めた。

三日月狩の答案を探し、見つけた。


「……!」


ヘビはすぐさま教室を飛び出した。





ガリとルシファーは下校途中であった。

この学園の周りには、ショッピングモールや住宅街がある。

ルシファーは住宅街に住んでいるので、ガリとは別々の帰り道だが、途中までは一緒だ。


「俺は魔王の側近になる予定やったんよ。 けどなぜかここに転移してきた」


ことの次第をガリに歩きながら説明していた。


「魔王のもんがこっちに来ることはできんけど、メールのやりとりはできるんよ。 それで俺も自分がそっち側って知ったし、今回お前のフォローも頼むって言われた」


「フォローって?」


「お前を卒業させて、異世界に転移すりゃ、勇者陣営のスパイとして潜り込めるやろ?」


「……」


正直、ガリは魔王のスパイとして今後生きていきたいなどとは思っていなかった。


(すげえ面倒だ……)


「お前絶対乗り気ちゃうやろ? でもな、魔王の側近はそういう適正のあるやつがなるんやで」


「俺にそんなものが?」


その適正は気になるな、と質問をしようとしたところで、ルシファーが「静かに!」 と言った。


「……おい、つけられてるやんけ。 しかも、あのウザったいおっさんに」


「誰?」


「ヘビって教師や。 なんかに感づいたんちゃうんか? ここは2手に別れて、あいつをまかなあかんな」


しかし、相手はヘビである。

そうそう簡単にまけないことは、ルシファーが一番良く分かっていた。


「もし俺の方に来たら、しらばっくれてしまい。 お前の方に行ったら…… もう諦めるしかない。 戦うんや」


戦うと言っても、ガリには魔力がなく、恐らく教師相手では太刀打ちできない。

戦うには、ニャンクミの時みたいに魔力が必要だ。


「俺に手がある。 それまで何とか持ちこたえるんや」


2人は別れ道に差し掛かったところで、それぞれ違う道を行った。

ヘビはためらわずにガリの方に向かった。

それをチラと確認する。


(やるしかないのか……)





ルシファーが向かったのは、生物の担任の飼っているドラゴンの小屋であった。

学園の中で魔力を所有するもの。

音楽のエルフと、ドラゴン。

できるだけ自分の力を見せたくなかったルシファーは、ドラゴンのもとに向かった。





ガリは何とかヘビをまこうと走り出した。

10分間走り続けたが、結局まくことはできなかった。

そしてとうとう捕まった。


「何で逃げる?」


「……」


「お前がニャンクミをやったのか?」


「ち、違います!」


ヘビはニヤリ、とした。


「嘘だな。 お前の体温や息遣いが俺には分かる。 お前がやったんだろ?」


どんどん相手との距離が縮まる。

ガリは息苦しくなり、動けなくなってしまった。

その時、携帯が鳴った。


「プルルル……」


ガリは慌ててそれに出た。

数秒後、ガリの口元が歪んだ。


「先生、ごめんなさい」


そう言って手から剣を取り出すと、ヘビの脳天に斬撃を食らわせた。










ダークサイドに引っ張られそーですね

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