表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の刺客  作者: oga
3/9

vsニャンクミ

さすがにやばい、そう思いガリは寮に戻って教科書を開いた。


「こうなったら、単語だけでも!」


ノートにガリガリ書き写していく。

三日月、三日月、三日月……

5分後……


「よっ」


ひのきの棒を頭の上に乗せてバランスを取る、という遊びに夢中になっていた。





試験当日。

用紙が順番に前から配られる。

教室は紙のこすれる音だけが響き、生徒全員に用紙が行き渡った。


「開始にゃ」


バッ!


生徒が一気に用紙を表に返す。

まず名前を書き、そのまま下の欄へ!





第一問。

次の単語を魔法語に直せ。


(1) 三日月

(2) 灰色

(3) 猫





「楽勝じゃんか!」


教室で誰かが叫んだ。

周りが安堵する中、一人だけ凍り付くものがいた。


(……)


30分後、テストは終了。

ガリは白紙を見られないよう、後ろから回って来た用紙の一番下に自分の用紙を隠し、前に渡した。

全ての用紙を回収し、ニャンクミが言い放った。


「あれだけ煽ったんだから、まさか勉強してない者はいにゃいと思うけど。 もしこれで赤点だったものは見込みなし! 魔物として一生を過ごすといいにゃ」


そんな宣言とは裏腹に、教室内はお祝いムードだった。


「くっそー…… 教科書20回も読み直してきたのにアレだけかよ…… 時間めちゃめちゃ余ったし」


「まあいいじゃん。 卒業まで全員生存できそうじゃない?」





ガリは腹痛を装い、廊下に出た。


(あの答案を見られる前に何とかしないと……)


ニャンクミの後をこっそりつける。

タイミングを見計らって自分の答案だけでも抜き取れれば、テストのやり直しという目がある。


次の角を曲がれば職員室。

答案を見られたらジエンド。


「こうなったら……」


ガリは手のひらから棒を取り出した。

そして、ゆっくり背後から近づき、後頭部を殴打すべく振りかぶった。


ブオン……


棒は空を切った。

ニャンクミは機敏な動きで棒をかわし、こちらに向き直った。


「一体どういうつもりにゃっ!」


「……」


こうなったらわずかな期待にかけるしかない。


「……追試ってありますか?」


だが、ニャンクミはまるで人を見下すかのような目でガリを見た。


「あの程度の試験ができないやつはクズにゃ。 負け犬にゃ。 人生の敗者にゃ」


(……)


ガリは腹の底が煮えくり返るほどの怒りを覚えた。


(どこに行っても教師は同じこと言いやがる)


ニャンクミはガリの答案を見て失笑した。


「全然できてにゃい。 笑えるにゃ」


「うおおおおおおおっ」


ブオン!


しかし、また空を切った。


「どうせ魔物になるなら、ここで死んでも同じことにゃ」


そう言うと、ニャンクミは杖を取り出し、魔法の詠唱を行った。


「究極魔法、アルマゲドン!」


ドオオオオオオオン!!


廊下に轟音がとどろき、地面に直径5メーターほどの穴が開いた。


「あれ? 威力が弱いにゃ」






ガリの目の前に、見知らぬ男が立っていた。

どうやらニャンクミの魔法から守ってくれたらしい。

煙で視界が覆われている隙に、教室に隠れるよう促された。


「てか、あんた誰? 外人?」


黒人ハーフのような男である。 

しかし、話し方はバリバリの関西弁であった。


「そんなんええねん。 今はアイツを何とかせな」


この男の言うように、今はそちらが最優先であった。


「これ、つけてーや」


そう言って渡されたのは腕時計だった。


「魔法道具っつーアイテムや。 魔力の受け渡しができんねん」


ガリが腕時計をつけ、魔力を貰う。

すると、持っていたひのきの棒が、巨大な鎌に姿を変えた。


「それで、あいつを真っ二つにしてやったらええ」


「……殺すのか?」


「どうせ霊体やろ? 生身の人間ちゃうで」


「……」


ガリは意を決し、教室を飛び出した。

背後から突然現れたガリに反応できず、ニャンクミはあっさり両断された。








この関西弁あってんのか?w

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ