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サンプル・ヒーロー  作者: ヨモギノコ
第 1 章 体験版編
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5,魔法 前編


 もう1つの水晶玉、魔法玉に手を置くとスキル玉と同じ不愉快な感覚の後、同じ様な画面が出てきた。

画面と左上端のサトウの文字はスキルの時と同じだけど、その下には基礎魔法と創作魔法の2文字だけ。


「やはり、私達の知らない分類の魔法がありますか」

「『創作魔法』ってのですか?」

「はい」


画面を見ていた魔女が呟く。

スキルの方の説明には魔法が作れるとは書かれていなかった。

だけど、あのアプリには『新しく魔法を作る』と言う項目があったのを思い出す。

なら、俺は新しく魔法を作れる魔法を覚えている可能性が高い。


「この世界の魔法は4つに分かれています。」


先ずは、基礎魔法。

その種族もしくは個人が産まれながら覚えている魔法であり、どんな人間でも最低1つは覚えている魔法だ。

発動には、それぞれ個人で異なる魔法陣を自分と相性の良い杖や手袋、指輪などの道具を使って何処かに描く必要があるらしい。

魔法陣は世界に同じ物が無い、唯一無二の図形で出来ていて、身分証明にもなるそうだ。

ついでに言うと基礎魔法は、就く職業を選ぶ基準の1つにもなるらしい。


次に追加魔法。

これは基礎魔法を単純な魔法陣にした、魔法学の才能がある人が勉学や修行をする事で覚える魔法だ。

基本的にそれぞれの基礎魔法と相性の良いものしか覚えられないらしい。

この魔法を覚えた者を魔法使い、覚えようとしている者を魔法使い見習いと言うそうだ。

地下室で見た、雨雲の魔法も追加魔法の1つらしい。


そして、何十人もの魔法使いが集まって行う大掛かりな魔法が儀式魔法。

俺を召喚した魔法もこの1つらしい。


最後に道具魔法。

マナを溜めた石や植物などの自然物や、魔物のある一部を加工した道具を使う魔法だそうだ。

そして、この魔法に使う道具を魔法道具といい、魔法陣を描く必要も無く得意な属性や魔法学の才能に関係なく誰でも使える。

所謂、マジックアイテムの事だな。

使い捨てが基本で半永久的に使える物はとても高価。


「使える回数や使える期間によって値段が変わります。

中には国一つ買える値段がつく物もあり、この部屋を照らしている魔法もこの道具魔法によって行われています。

勿論、最高級の物を使用しています」


そう言って魔女が指差した真上を見ると立派なシャンデリアが垂れ下がっていた。

蝋燭を使っているのかと思っていたけど、魔法だったのか。


「この世界は呪文では無く魔法陣を書いて魔法を発動させるんですか?」

「呪文と言うのはありません。

サトウの世界の創作物では魔法陣は使われないのですか?」

「魔法陣を使う設定の話は確かにありますが、俺が知る限りだと呪文の方が多いです。

だから、『創作魔法』がスキルと同じ様に俺の思い込みで作られている物なら、呪文で発動する魔法だと思います」

「なるほど。

もしその考えが当たっているのであれば、実に興味深いです」


上手く取り入れたら魔法陣を書く間の無防備な状態の解決策になるかもしれない。

と、ボソボソ呟く魔女。


だけど小説や漫画だと長い呪文を詠唱している間は無防備になる設定の物もある。

それ故に仲間に守って貰ったり、相手の攻撃を避けつつ唱えたり。

結界を張ってから呪文を唱え始めたり、と解決策はその作品毎に考えられている。

逆に仲間がいない、もしくは嫌われていたり、結界を張れる魔法を覚えていなかったり、2つの事を同時に出来なかったり。

そう言うやられ役、引き立て役の魔法使いキャラも居る。

そういうのを見ていると呪文タイプも魔方陣タイプも発動するまでに無防備になると思うんだ。

と言っても俺には関係な・・・・・・くも無いか。


「試しに覚えている魔法で魔物を倒して来い」


って1人で中ボスモンスターみたいなのと戦わされるかもしれない。

忘れるな、俺はサンプルとして召喚されたんだ。

魔女達からしたら、どんなにスキルや元の世界の衣服が凄くても、まともに戦える種族かどうか分かっていないんだ。

戦わないと言う選択しは・・・・・・・・・

・・・・・・・・・多分ないな。

俺には最初から拒否権なんてないだろう。

狩猟も戦争も経験が無い俺にモンスターとの戦闘なんて出来るのか?

何はともあれ、覚えている魔法を見なくちゃ始まらないな。

一応周りをさり気無く見ると、


『早くしろ』


と言うおっさんの無言の圧力を感じ、急いで2つの項目に意識を集中させた。



基礎魔法



クリエイト・・・


日本文化の結晶のような魔法。

正確なイメージほど威力も完成度も高い。

用途によって2つの魔方陣が存在する。


1、イメージしたものを具現化させる。


イメージしたまま魔方陣や魔方陣を刺繍した袋等にイメージしながら手を入れると取り出せる。

ただしイメージが悪いと似たようなものが出て来る。

又、生き物を作り出すときは内臓や細胞が生きて動いている姿を鮮明にイメージしないと人形が出てくる。



2、特定の条件が揃った場合まったく新しい魔法を作れる。


スマートファオンアプリ『教えて!キビ君』内の『魔法を作る』の項目を使うことで出来る。



ミドリの手・・・


植物の種や苗を作り出し一瞬で育てる。

スマートフォンアプリ『教えて!キビ君』内の『植物』から選択することで作り出せる。

慣れれば育つ速度やどこまで育てるか操作できる。

佐藤家限定魔法。





創作魔法



ファイヤーボール・・・


卓球球サイズの火の玉を出す。焚き火に便利



アイスボール・・・


卓球球サイズの氷の玉を出す。

溶かして飲めば生水による食中毒の心配が無い



サンダーボール・・・


卓球球サイズの雷の玉を出す。

ピリッと痺れて肩凝りには気持ちいい



ヒール・・・


切り傷・擦り傷程度の怪我を治す。

止血も出来るが殺菌効果は無い



スモールシールド・・・


小さな結界を作る。

弱い攻撃から守ってくれる



フライ・・・


箒や杖等に飛行能力をつける。

慣れないと暴走し命が危険



プチレイン・・・


小さな雨雲を作る。

花壇の水遣りに便利



プチアースウェーブ・・・


少し地面が盛り上がる。

畑を耕すのに楽



プチライト・・・


卓球球サイズの太陽を作り出して、暗い所を照らしたり目晦ましになったり物を乾燥させたり意外と便利



プチヴァイラス・・・


菌の活動を促進させる。

発酵や腐敗を促す効果があるが制御できない。

病気を悪化させる。

スマートフォンアプリ『教えて!キビ君』を使えば発酵食品が作れる



アタッチマジック・・・


武器や道具に覚えている魔法を付属させる



予想通り、俺は新しく魔法を作る魔法を覚えていた。

だけど、作った魔法は俺の想像力が乏しいからなのか、ゲームで初期から覚えている魔法か日常生活に便利な魔法が殆どだ。


「・・・・・・・・名前と内容が少し違うだけで追加魔法にあるものと殆ど同じですね。

ですが、『クリエイト』、『フライ』、『アタッチマジック』はこの世界に無い魔法です」

「そうなんですか?」

「えぇ。例えば『クリエイト』。

魔法には在りませんが魔族の中には『クリエイト』の1つ目。

想像したものを具現させる事が出来るものが居ます。

ですが、まったく新しい魔法を作り出せたものは未だにいません」

「ルチア様でもまだ見つけられていない。

それ程新しい魔法の創造は不可能に近いんだ。

それなのに~」


歯軋りしながら親を殺された様な目で助手に睨まれた。

そう言われても、国民性と言うか独自に進化した文化によるものだから俺が覚えたくて覚えた訳じゃないって。

気にしても限りが無いから無視だな。


「じゃあ、『フライ』や『アタッチマジク』の方は似た様なものは無いんですか?

良く創作物で空飛ぶ箒や炎の魔法が使える剣ってのが出てくるんです」

「魔法やスキル、飛行能力が付属された道具や武器自体はあります。

ですがそれは、素材に元々付属されていたり製作する段階でスキルにより付属されます。

既に完成された物に後々別の魔法を付属させる魔法は存在していません」

「なら、もし俺が『アタッチマジック』や『フライ』の魔法を掛けた道具や武器を持っていたら違和感ありますか?」

「ある。

魔法が付属された道具や武器は素材も作れる方も希少で王家の家宝になる位だ。

お前の様な農民が持っていれば盗賊のカモにされるだけだ」


プライドの高そうな貴族や商人にも強奪されそうだ。

それか低コストで希少な武器を作れる武器工場として死ぬまで何処かに閉じ込められてずーと魔法を掛け続けるか。

現にあの商人のおっさんがギラギラした目でこっちを見ていて怖い。

何かと使えそうな魔法だけど、場合によっては身を滅ぼす危険な魔法だ。


「確認の為に一応聞きますが、『創造魔法』はサトウの世界の創作物で在りがちでない物はありますか?」

「はい、ありますね。

『ファイヤーボール』、『アイスボール』、『プチサンダー』、『ヒール』は前言ったある媒体を使った創作物で最初から覚えている事が多いです。


防具として出てくる場合が多いと思いますが、『スモールシールド』も最初から覚えている作品もあります。


後『フライ』。

魔女や魔法使いは箒や杖、絨毯もそうだな。

昔からある創作物の影響でそういう物で空を飛ぶイメージが強いですね」


因みに俺の場合、小説が原作の大人気映画に影響されていると思う。


「ですが、それ以下の魔法は珍しい。

と言うよりも俺が知ってる創作物で、これらの魔法は出てきていません。

元に成った作品を元々知らないのに作られた魔法なんですよね」

「・・・・『クリエイト』の説明に正確なイメージほど威力も完成度も高いと書かれていました。

もしかしたら、サトウの想像力が乏しかった。

又は魔法の存在を信じていなかった為に弱体化した可能性はありませんか?」

「弱体化ですか?う~ん・・・・・・・」


俺が知ってなきゃ魔法は作られないはずだ。

俺は元に成った魔法や技を知っているはずなんだ。

若しくは俺が覚えていないくらい大昔に見て印象に残り過ぎて無意識に覚えているか。

やった事があるゲームや読んだ事があるラノベや漫画、見た事があるアニメや映画を出来るだけ思い出していく。

名前が似ていたり効果が似ていたり・・・・・・


「・・・・・・・・特に心当たりはないですね。

でも、偶に『創造魔法』にある魔法が使えたら便利だなぁ、と思う事はありますよ?」


『プチレイン』とか『プチアースウェーブ』とかは父さんの手伝いの時あったら便利だろ。

雨の日の洗濯物を乾かすのに便利な『プチライト』に、味噌やパンを簡単に手早く作れる『プチヴァイラス』。

『アタッチマジック』は・・・・・・・・・

本当、何で作ったんだろう?

『アタッチマジック』だけは本当の本当に理由が分からない。


「う~ん、そうですか・・・・」


そう言いつつも魔女達の顔は気持ち悪いくらいニヤニヤしていた。

あー絶対やばい事考えているぞ、こいつ等。


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