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サンプル・ヒーロー  作者: ヨモギノコ
第2章 マリブサーフ列島国編
504/508

272,ページを捲る前に 後編


 コラル・リーフの謎の協力者で恐らく重要人物だろうアイシロー。

幽霊の様に曖昧でほぼ透明なその存在の輪郭が少しハッキリする位色が帯びて後回しにした、ルグ達が気にしてるだろうもう1つの疑問を口にする。

いや、懇願、って言った方が正しいか。


「なら、代わりに1つ。

俺を本物の『緑の勇者』だと思ったんですよね?

なのに俺達の仲間のジェイクさんは違うって言うんですか?」

「彼だけじゃない。

『カラドリウスの医者』候補の彼に関しても、まだ、ね」

「理由を聞いても?

その技術と知識、能力を見ればクエイさんとジェイクさん以上に『カラドリウスの医者』と『悪魔の考古学者』の役割に適任な人達は居ないと思いますが」

「良く言うよ。

理由は君達自身が良く分かっているだろう?」


改まって口にした疑問の形をした俺の懇願に、困った様に微笑みながらそう返すチャドさん。

どうにかクエイさんとジェイクさんも『本物』として認めてくれないかと言葉を投げかけていた俺はそのチャドさんの言葉に思わず口を噤んでしまった。


あぁ、そうか。

チャドさんは気づいているんだな。

俺達が態と伝わってるだろう『緑の勇者』一行に合わせて来た事に。


カラドリウスの医者(クエイさん)悪魔の考古学者(ジェイクさん)が一緒に居るのは必要に駆られた完全なる偶然だけど、人数を揃えてきた手前チャドさんにはそう思われなかったんだろう。

極力スムーズにフェニックスの苔を手に入れる為に態と適当な知り合いのカラドリウスと悪魔に来て貰った。

ニャニャさんと初めて会った時俺達3人しか居なかった事も相まってチャドさん視点だとまだその可能性を捨てきれない様だ。

もしかして石橋を叩き過ぎた?


「確かに彼等は『カラドリウスの医者』と『悪魔の考古学者』として申し分ない知識を持っているだろう。

それはあの試練で良く分かった」

「なら・・・・・・

いや、もしかして予言で伝わる容姿や性別と違うから決めあぐねてるんですか?」


逆さまの蝙蝠像の方は分からないけど、確かにあの小鳥の像は本来の色的に成人したカラドリウスの女性がモデルだと言われていた。

つまりコラル・リーフの世界の『緑の勇者』一行の『カラドリウスの医者』は女医さんだったって言う訳で、そう言う性別が違う事が理由で確信を得られていないのかもしれない。

女性の『佐藤 貴美』じゃなく同姓同名の男の俺が『緑の勇者』として認められたんだからそんな馬鹿げた理由な訳ないとは思う。

思うけど、試しに聞いたらチャドさんに頷かれてしまった。


「コラル様によると『緑の勇者』が現れる時代に完全な『蘇生薬』を作り出せるのはスキルや魔法の事を顧みても医療知識を持ったカラドリウスしかいないそうなんだ。

ただ、カラドリウスと言う種族は男女で能力に大きな差が出てしまうらしいんだ。

どうしても身体能力で優れてる分、男性の方が女性よりも『蘇生薬』製作で重要なスキルや魔法の面で劣ってしまう。

だから確かにそれも彼を本物の『カラドリウスの医者』として認めかねる理由の1つではあるんだ」

「え、そうなんですか?」

「はぁあ!?馬鹿か!?そんな訳あるか!!」

「そ、そこまで怒らなくても・・・・・・」

「怒ってない、呆れてるだけだ。

おい、死人モドキ。

そこの時代遅れ野郎に言っておけ。

化石同然の3000年前の情報で物事決めんな。

現代じゃそんな差ないも同然だ。

そんな事で無駄に時間食わそうとするなってな!」


紺之助兄さんと一緒に蘇生薬を『ミドリの手』で作りだそうとした時絞り出す様に零した『ギリギリ』って言葉と、ルグが聞いた愚痴の事、そしてマシロの翻訳を聞いてクエイさんが一瞬浮かべたどこか諦めにも似た悲しそうで悔しそうな顔。

ウィンさんやクエイさんのお婆さん個人が男女関係なく天才的な医者の才能を持っていたのは確かだろうけど、その事からチャドさんの言う通りどうしても埋めれない男女差は本当にあるんだろうって事が分かってしまう。


後で失礼にならない範囲で聞いた所、カラドリウスの女性の方がオーガンや喉元の魔元素を取り込む器官が大きく生まれやすく、それに伴って『病食』のスキルとかも男性よりも強くなる傾向があるらしい。

確かにウィンさんの方が人間の姿の時にしているオレンジ色のネックレスも、元の姿に戻った時の喉元のオレンジ色の部分も、クエイさんや初めてクエイさんの故郷に行った時に襲ってきたカラドリウスの男性達より大きかった気がする。


でもそこまでハッキリ分かる位大きさが違ったか?

言われて見れば確かにそうかもなぁ。

って思う位で、そこまで違いは無かった様に思うけど・・・


なんにしても食べ物の種類や質が良くなってたり、タバコの形をした優秀な媒体があったりする現代だと、呆れ切ったクエイさんの言う通りその多少の差なんて無いも同然らしい。

そう頭では理解していてもあんな顔を浮かべてしまう位気にしてしまうのはクエイさん個人の根深いコンプレックスが原因なんだろう。

その事は迂闊に踏み込めないから1番信頼し合ってるザラさんにお任せするとして。


そもそもそれをチャドさんに言うのは酷じゃないかな?

クエイさんと一緒に行動してると忘れそうになるけど世間一般では今もカラドリウスは伝説上の生き物な訳だし。

自分達が隠れて暮らしていた以上、カラドリウスの情報が3000年前から変わってないのも仕方ないと思うんだ。

その情報元がここまで熱心に信仰してるコラル・リーフの言葉なら尚更その認識を変えるのは難しいと思うけど・・・


そう正直に言ったらクエイさんに怒られそうだから大人しく言われた事をチャドさんに伝える。

俺の様に自動で翻訳してくれるスキルを持っていた訳じゃない様で、流石に怒りのまま放たれた外国の方言までは分からなかったらしい。

不思議そうな顔でクエイさんを見つめていたチャドさんは俺が伝えた言葉を聞いて納得した様に頷いてくれた。


「この後『緑の勇者』殿が正真正銘本物の『カラドリウスの医者』と『悪魔の考古学者』に出会う可能性が捨てきれない以上、そう言われても貴方達をまだ認める事は出来ない。

特に『悪魔の考古学者』候補である貴方の事は。

コラル様やアイシロー殿、祖先の思いを裏切らない為にも慎重に見極めなければならないんだ」


そうい言ってチャドさんは頑なに首を横に振る。

長年勘違いしていた聖女キビ達の様な事が今度こそ本当に起きるかもしれない。

そう言う思いも多分あるんだろう。

チャドさん達長一族にとって最重要な事だからこそどうしても慎重になってしまうらしい。

俺も人の事言えないけど、その慎重さは何時かさっきの俺の様に石橋を叩き過ぎて壊してしまうんじゃないかと思う程だ。

アイシローの事があるにしてもそれ程慎重に見極めなければいけない『悪魔の考古学者』の役割って一体・・・・・・


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