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サンプル・ヒーロー  作者: ヨモギノコ
第2章 チボリ国編
433/498

202,『真の宝はその先に』 16粒目


「お


「キビ君!!フワフワ草!!」


・・・まず何処に飛ばせばいい?

それとも此処で焚く?」

「アッチからアッチまで全部!

特に真ん中のあそこは重点的にお願い!!」

「了解。『フライ』!

『アタッチマジック』、『ファイヤーボール』!!」


また、人飼いスライムやコイン虫と一緒にマンイーターが現れたんだな。

広さとしてはウォルノワ・レコードの動物像の部屋の半分より少し広い位だろうか?

あの最初の分岐部屋を広く、更に分かれ道を増やした様な『箱庭遺跡』への入口がある部屋の手前で固まっていたピコンさん達。

『教えて!キビ君』に乗っていた本来のマンイーターの姿の写真を見て、話を聞いて多少の覚悟と耐性、対処法が分かっていたからか。

前の時よりはましだけどまたピコンさんとアドノーさんは蹲ってるし、自前の光の剣とアドノーさんの銃を両手に構えたマシロは威嚇する様に部屋の奥を睨んでいる。

そんなマシロに、


「お待たせしました。大丈夫ですか?」


の最初の1音を言い終わる前にはフワフワの草を出す様言われていた。

念の為に走りながらも少しフワフワの草を『ミドリの手』で出していたけど、ちょっと足りないかもな。


マシロが指さしたのはほぼ向かいの緑化ランプが無い3つの通路。

その内真ん中の道には他の道と同じく、俺の目では認識出来ないけど大目にフワフワの草の煙を入れないといけない位魔物達が沢山居るみたいだ。

取り敢えず、その真ん中の道にまず事前に出していたフワフワの草全部を打ち出して燃やす。


「・・・・・・取り敢えずぅ・・・これでぇ・・・」

「大丈夫、なはず・・・・・・うん、大丈夫」

「よしッ!エド!!もうこっち来て大丈夫だぞ!」

「分かった!!」


言われた通路全部に燃やしたフワフワの草を打ち入れてから、前の部屋と同じくフワフワの草と土壁で一時的に蓋をする。

それを終わらせてマシロと一緒に辺りを注意深く見回すけど、今の所部屋の中に隠れた魔物が居る様子も無いし、作り出した壁を壊そうとする音も聞こえない。

これなら通路で待つルグ達を呼んでも大丈夫そうだ。

そう思って少し離れている元来た通路に居るルグに叫ぶ様に声を掛けたら、ピコンさん達の方がまだ大丈夫じゃ無かったんだろう。

分かったと言いつつルグ達は中々中に入ってこなかった。


「ピコンさんとアドノーさん、大丈夫かな?」

「多分、大丈夫だよ。

エド君がお薬飲ませていたし、さっきは人飼いスライムがマンイーターを運んでたんだ。

だから『魅了』の魔法、そこまで使って無かったのかも?

それに、マンイーターの姿殆ど見てないし、声だって聞いて無いもの」

「人飼いスライムが運んでたんだ・・・・・・」

「うん。

そこの3つの通路から出てきて、向こうの通路に向かって」


今回は逃げ出して野生化したと思われるマンイーターじゃなく、人飼いスライムが飼育してたマンイーターを同じく飼育してるコイン虫の所に運んでる最中に運悪く出くわしてしまったらしい。


あの襲ってきた赤い宝石の人飼いスライム達は兵士とか狩人とか。

そう言う侵入者と戦ったり獲物を狩る役職の人飼いスライムだった様で、先程マシロ達が出会った青い宝石の人飼いスライム達はマンイーターを運ぶ事を優先してか、全く襲ってこなかったらしい。

そんな青い宝石の人飼いスライムに運ばれるマンイーターも初めて見たマンイーターよりも大人しくて、だからマシロ達は比較的無事だった。

でも何時赤い宝石の人飼いスライム達が青い宝石の人飼いスライム達に呼ばれてくるか分からないから、少し焦っていたんだ。


と言うマシロ。

やっぱりあの時のマンイーターは野生化して飢えた個体だったんだな。

今回マシロ達が出会った魔物達が比較的安全だったのは本当に良かったんだけど、問題が1つ。

その青い宝石の人飼いスライム達が進んで行った通路って言うのが、緑化ランプが続いてる道と平行に、かなり近い場所で続いてるって事なんだよなぁ。

どっかでこの2つの道、繋がってたりしないよな?


「と、取り敢えず。

今は扉を開ける事に集中しよう!」

「まぁ、そうですね」


回復して漸く集まって来れたピコンさん達にその考えを伝えたら、嫌そうに顔を顰めたピコンさんがそう慌てる様に話題を変えた。

まぁ、そうだよな。


今回緑化ランプが続いてる道は2ヶ所。


青い宝石の人飼いスライム達が進んだ道の隣の緑化ランプの道が北の方に伸びていて、もう1つは西の方。

現在位置から見てアリーアの旧王都はまだ西の方にあるから、北の方の道から大分離れた場所にある西の方の道の先にウォルノワ・レコードがあるはず。

だから多分、北の方の道の先には『風の実』か、最終トラップとしてもう1つ『風のオーブ』があるとかだと思う。

だから最悪北の道に進む必要はない訳で、サッサと『箱庭遺跡』の扉開いてナト達捕まえて、西の方の道進んで残りの依頼終わらせればいいって事だ。


と言う訳でピコンさんの言う通り、今は扉を掛ける事に意識を向けよう。

ただし此処1つに集中せず、人飼いスライム達が壁を壊そうとしてる音を聞き逃さない位には他の道にも意識を向けつつだけど。


「あー、えーと・・・何って言うか・・・・・・

ゴテゴテした扉ですね。

昔はこう言うのが主流だったんですか?」

「まさか!

当時の美的センスの真逆を行くデザインよ。

何より、こんな隠された場所にあるなら、権力の誇示や示威の為でも無いし、完全に唯のビー・アド・アリーアの好みね」

「そ、そうですか・・・」


アレは・・・ガーゴイル、の一種なのかな?

その『レジスタンス』アジトのエレベーターの部屋の偽扉位大きな扉の両隣には、サラサラと口から砂を吐くネコ科の動物っぽい顔の怪物の、これまた大きな彫刻がズラッと彫られてた。

そのネコ科っぽい怪物はこの世界のスフィンクスを模してるらしい。


狛犬の様に扉の手前の高い柱の上に置かれたゴリラの様な生き物はヴァルキューレだし、扉に所狭しと刻まれた化け物の顔達も全部『箱庭遺跡』に居る魔物達を模してるそうだ。


そして、殆ど長い年月の間に剥げて、崩れて、落ちてしまった様だけど、アドノーさん達の見立てではその全部が元々金や銀、宝石で有らん限り彩られていたらしい。

特に魔物達を模してる部分の装飾の気合の入り方は専門家でもドン引くレベル。


『箱庭遺跡』を作った王様は本当に中で飼っていたペット達が好きだったんだなぁ。

でも、流石にここまでされるとかなりくどい。

動物園の入口とかに有る動物が書かれた門やウエルカムボードでも、此処まで展示してる動物をプッシュしないだろうし、宝石とかも多用しないだろう。


コラル・リーフや鍛冶師の爺さんのお父さんが作った扉達の様に仕掛けが隠されてるなら兎も角、そう言うのも無いし、何か特別な意味がるデザインって訳でもない。

そしてアドノーさんの話が本当なら、思わず悪趣味と零す位7000年前の一般的な美的センスとも王族貴族的美的センスともかなりかけ離れているって事になる。

それにアドノーさんの言う通り此処は極僅かな関係者以外知らない裏門なんだから、権力とか王様の威厳とか。

そう言うのを示す為に豪華にしてるって線も無くなる訳で、本当に王様の好きなものを無作為に詰め込んだだけのデザインなんだ。

いや、こういう場所だからこそ、本当の意味で好きな様に出来たって事なのかもしれない。


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