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サンプル・ヒーロー  作者: ヨモギノコ
第2章 チボリ国編
428/498

197,『真の宝はその先に』 11粒目


「と言う事で脱線タイムは終わり!!

恋バナ以外の質問、意見が無かったら先に進みましょう。

何かありますか?」

「人飼いスライムって言う奴についてはまだ殆ど聞いて無いわよ」

「そう、でしったけ?

・・・・・・そうでしたね。

取り合えず、まずは・・・・・・」

「スマホに載ってる情報見せて」

「はい」


自分で思っている以上に色々抜けていた様だ。

恋バナに巻き込まれる前までは覚えていたんだけどなぁ。

人飼いスライムの事や、あの分かれ道で戦った事、ちゃんと伝えなきゃって。

かなりウッカリしていた。

そう内心反省しつつアドノーさんの指示通りスマホの画面を見せる。



人飼いスライム・・・


動く鎧から進化したデュラハンの仲間の魔族。

ロウクシー砂漠と呼ばれていたチボリ国南西の地下で女王を中心とした独自の社会を築いており、体の色の系統によって生まれた時からある程度の役割や身分が決まっている。

主食でもある砂鉄やコイン虫が分泌する液体性の金属を摂取する事で鉱石系の硬いスライム体の周りに金属製の体を作り出す。

産まれた時や子供の時はスライム体しか存在してないが、大人になると金属体を生やすようになる。

金属体は役割や身分によって種類が異なる。

高い身分や重要な役割を担う人飼いスライム程、金属体の質が良い。

金属体は人飼いスライムの体の1部であるが、魔法で操った角の様な物で、一種の搭乗型ゴーレムの様な物。

その為、痛覚などの神経や感覚は繋がっていない。

金属体は頻繁に順次生え変わり、そのさい捨てられ地上に出た体がチボリ国の金属産業の大半を担っている。

主な産業は主食の1つであるコイン虫と、コイン虫の主だったエサであるマンイーターの飼育。

マンイーターの繁殖の為に時たま地上や花園から人を連れ去る。



「魔族?人飼いスライムって魔族なの?

でも、キビ君、あの襲ってきた人飼いスライムの言葉分からなかったよね?」

「うん。何も言ってなかった」

「あの人飼いスライム、かなり無口だったのかな?」

「多分、違うかな?

恐らくだけど、クライン達ディスカバリー山脈で出会ったデュラハンと同じ」

「あぁ!そっちかー」


魔族って書かれてるのに、俺はあの人飼いスライムの言葉が分からなかった。

その事にマシロは心底不思議そうに首を傾げる。

そんなマシロに、俺は少し前の事を思い出しつつ答えた。

後で調べて分かった事だけど、『山脈デュラハン』って名前のクライン達も現代の分類上は魔族になる様だ。

俺がクライン達に出会って、ジェイクさん経由であのデュラハン達の事を教えて貰ったからだろう。


途中で更新が入った山脈デュラハンのページにはハッキリと彼等が魔族だと書かれていた。


その事はディスカバリー山脈を降りる前にルグ達にちゃんと伝えてある。

そして、今の『言語通訳・翻訳』のスキルのランク、って言うかバージョン?

って言えば良いのかな?

そう言うのが魔族分類のスライムの言葉に対応して無いって事も。


コラル・リーフが『キビ君』像を造った当時か、仕掛けの壁を作った人が暗躍してた約1000年前か。

そこ等辺の時代に魔族。

つまり人類の1種族として認識されていなくて対応して無いか、スライム達が使う人とは違う『声』に対応していないかで、今の時代基準で魔族()と分類されてもその言葉が分からないんだ。


分かる様になるには多分、あのズラッと並んだ一覧の中からそれに対応する奴を選んで、壊れかけの『キビ君』像を使って、また無駄に長い時間待って。

そうやって態々やる必要が有るかどうか分からないスマホのアップデートをしなくちゃいけない。

と言う様な話をした事を無事思い出したんだろう。

だからマシロも納得した様に頷いたんだ。


「どう言う事?」

「えっと、まず、ですね?

俺がこっちの人達の言葉が分かるのは、この専用道具であるスマホのお陰なんです。

俺個人のスキルじゃない」

「うん、それで?」

「それで今このスマホに入ってる『言語通訳・翻訳』のスキルは初期状態なんです。

ですから、このスマホに入ってるスキルの大本が作られた時代に魔族として認識されてなかったってのも理由の1つだと思うんですけど、魔族分類のスライムとか・・・

えーと、俺達人間の様に『音』を使って会話してない種族の言葉は翻訳出来ないんです」


ジェイクさんの話から推察するに、スライム達はテレパシーの様な物で会話してるそうだ。

俺達の様に口から出る音で会話してるんじゃなく、スライム達が独自に持ってる器官?

オーガンの機能の1つなのかな?

クレマンさん達専門家じゃ無いから聞いても良く分からなかったけど、そう言う人間に無い器官から出るモノで会話してるそうだ。


そして遠い遠い祖先がスライムだった悪魔達の普段使わない脳の一部にも、その器官の名残があるらしい。


「多分ジェイクさんは、他の人よりその脳の1部が発達していて、だからスライムと会話出来るスキルを持っている」


と、クエイさんと、今回もこの世界に居る人に連絡しようとしたアルさんに付いて来た大助兄さんと紺之助兄さんが推理していた。

そう言う、ジェイクさんが居るなら俺のスマホを態々アップデートする必要ないよね。

で終わったその時の話を、何も知らない故に少し不機嫌になって首を傾げるアドノーさんに出来るだけ噛み砕いて伝える。


「なるほど、なるほど。

ならそのスマホのランク、上げればいいじゃない。

上げる為の道具は見つけてるんでしょ?」

「えーと・・・

確かに見つけてるには見つけてるんですけど・・・

その・・・」

「何?何か問題でもあったの?」

「はい。

俺達が見つけた時、その魔法道具、かなり壊れてたんです。

ギリギリ動いてる様な状態で・・・

それでその魔法道具も緑化ランプの様に各方面で価値がある物で、今の状態のまま無理にスマホをアップデートさせると完全に壊れてしまうんです」

「・・・・・・直す事は?」

「かなり腕の立つ職人さんを雇うお金と、オーダーメイドの高性能な分それに見合った高価値な修理用の魔法道具を買うお金が必要なんです。

だから簡単には、ちょっと・・・・・・」

「それに見つけた場所がローズ国だったから、ネイちゃん達に協力して貰っても今は直ぐには無理、かな?」


スマホのアップデートが出来るのがウォルノワ・レコードの所にある『キビ君』像とは言わず、それ専用の魔法道具を1度見つけてると言えば、そうアドノーさんが心底不思議そうに聞いて来た。

下手にアップデートすると俺の命が危ないんです!

とは口が裂けても言わない様にしつつもう1つの理由をそれと無く言えば、流石博物館関係者。

歴史的にもとっても価値があって、俺1人の為に壊せるような物じゃなく、コロナさん達王族の伝手が無ければ資金集めから始めて修理するまでに最短数十年。

と言う事をマシロと一緒に伝えたら、俺が基本初期状態で使ってる理由に納得してくれた。


「多分、ジェイクさんなら人飼いスライムの言葉も分かると思いますよ?

どうしても人飼いスライムの言葉が知りたいと言うのであれば、俺達の用事が終わった後にでもジェイクさんに依頼して頂ければと」

「そもそも、最初から貴方達のパーティー全員でアタシの依頼受けてくれてればそんな事する必要無かったんじゃない?

此処からでも『箱庭遺跡』行けるって分かった時点で合流してさ。

知り合い追いかけるだけなら態々表から入る必要ないでしょう?」

「そんな事したらキャラバン村で捕まえられる可能性が全く無くなるじゃないですか」

「実力差と仲間の権力使ってそいつ等が良い場所に泊まったせいで、結局面会謝絶されてこの2日間全く会えもしなかったのに?」

「可能性が0じゃ無かったので」


そうなんだよなぁ。

結局クエイさん達はキャラバン村の中でナト達に合えなかったんだよ。

キャラバン村が俺が思っていた以上に広いって事に加え、腐っても王族の一員である魔女が居るからか突き止めたナト達が止まってる場所のセキュリティが高く、必死の説得のかいもなく宿のスタッフに追い返されてしまったらしい。

あれ以上無理を通そうとすればクエイさん達自身が『箱庭遺跡』どころかキャラバン村出禁にされるからって、その場は諦めるしか無かったんだ。


本来はとっても良い事なんだってのは分かってる。

分かってるけど、今だけは真面目なスタッフさん達が憎い!!

頼むから今回だけは、少しだけで良いから、本当に不真面目になって!?

だらけていいから!

その分は出来るだけ俺達で穴埋めするから、思いっ切りサボって!!

そうクエイさん達からのその連絡を聞いて何度思った事か!!


と言う事で、結局クエイさん達は今、『箱庭遺跡』の中に居る訳だ。

そんな結果になってしまった事に、俺達全員が自分の依頼を受けてくれなかった事に未だ不満を募らせるアドノーさんが、チクチクと痛い言葉を投げかけてくる。

結局結果がそうでも、1%の可能性があるなら挑戦する以外選択肢が無いので、いい加減その事を引きずるのはやめて下さい、アドノーさん。


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