表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サンプル・ヒーロー  作者: ヨモギノコ
第2章 チボリ国編
427/498

196,『真の宝はその先に』 10粒目


「取り合えず、そのスマホに書かれてる内容が大体合っている事は分かったわ。

でも1つ、確実に間違ってる所がある!」

「え、何処ですか?

今後の為にも詳しくお願いします」


『財宝の巣』に入ってからの中で多分1番長い休憩を取って、全員どうにか最低限マンイーターショックから立ち直って。

チラホラ語った事をそうまとめるアドノーさん。

この短い間の出来事だけでアドノーさんは『教えて!キビ君』に書かれたマンイーターの内容の間違いに気づいたみたいだ。

確実に間違ってるって言うそのハッキリとした表情から、アドノーさんが相当自信を持って言ってる事が分かる。

そこまでハッキリ分かる間違いって何なんだろう?


「『好意を抱く相手の姿に見える』って部分よ!!

そこだけは間違いなく絶対間違ってるわ!!!」

「うん、うん。確かに間違ってるな。

実際にマンイーターの魔法に掛かっちまったオイラ達が言うんだ。

間違いないって!」

「えーと・・・それは・・・・・・」

「2人がそう思いたいだけじゃないの?」

「「断じて違うッ!!!」」


マンイーターの『魅了』の魔法に掛かると好きな人の幻覚を見る。

その部分が違うと、強く、強く、言うアドノーさん。

そんなアドノーさんの言葉にルグもこれでもかと力強く頷くし・・・・・・

マシロの言う通りその人が好きだと認めたくなくて2人が違うって言ってるだけの様な気がする。

2人が必死になればなる程そう思えてしまうけど、これ以上は2人のプライドの為に言わないでおこう。

そう思ってたらマシロと、アドノーさんの強い要望でリカーノさんと交代した館長さんは容赦が無かった。


「でも、ピコンさんはラムさん。

恋人の幻覚を見てたよ?

ラムさんの名前叫んで倒れたんだから、そう言う事でしょ?」

「た、確かにラムの姿に見えていたけど・・・」

「ならやっぱり好きな人に見えるんだよ。

アドノーさんだってリカーノさんの姿に見えてたんでしょ?」

「そうだなー。

リカーノの名前何度も呼んでたし、あそこまで必死にアイツと交代しろって言うならそう言う事だろう?」

「ちがぁああああう!!!!

アタシはリッカなんか好きじゃない!!!

断じてあんなナヨナヨした奴なんかに恋愛感情なんて抱いてないんだッ!!!」


マンイーターや人飼いスライムの襲撃で俺はそこまで周りを見る余裕が無かったから気づかなかったかけど。

ピコンさん、ルディさんの事言ってたんだ。

マシロやリカーノさんの話によると、


「ラム!?何で此処に!!?」


ってハッキリ叫んでいたらしい。

アドノーさんもリカーノさんの名前呼んでいたらしいし、それを聞いてリカーノさんもアドノーさんに声を掛けていたそうだ。

そこまでハッキリ叫んでいた3人の声が聞こえなかったなんて、俺、どれだけ余裕が無かったんだろう?

いや、まぁ、グロイ物を見て固まっていた所に急に、それも目の前に武器持った強そうな奴が現れたら仕方ないと言えば仕方ないんだけど・・・・・・

周りも仕方ないって思ってくれるかな?

そう思って軽く悩んでる俺を置いて、マシロ達は恋バナで盛り上がり始めていた。

いや、館長さんはそのニヤニヤした表情的にアドノーさんを揶揄ってるって言う方が正しいと思うけど。


後、リカーノさん。

マシロがアドノーさんの好きな人がリカーノさんだって言った瞬間、盛大に倒れましたよね?

画面に映ってないからどうなってるか分からないけど、あの大きな音と本気で心配してそうな職員さん達の遠い声からして怪我する勢いで倒れたんでしょう?

本当に大丈夫ですか?

それと全力でアドノーさんに拒否された事に関しても。

いや、アドノーさんのあの表情的に照れ隠しだと思うけど、画面を見てないリカーノさんにとってはショックだろうなぁ。

って思ったんだ。

本人達が自覚してるかどうか分からないけど、ここ数日一緒に行動していた限りそう言う意味でも悪い関係じゃ無さそうだったし。


「ま、まぁ。

エド達の言う通り必ずしも好きな人の幻覚が見えるとは限りませんしね。

『好きな人』って言うのは幻覚を見た人の認識。

個人個人で違う感覚的情報です。

たまたまマンイーターの情報を記録した人がピコンさんと同じ様に恋人が居た。

もしくは片思いの相手が居て、そこからそう記録された可能性もあります」

「そうか?

エス達の様子を見るにそうとは思えんが・・・」

「じゃあ、エド君。

エド君は誰の幻覚が見えたの?

エド君も好きな人の幻覚見たならそのキビ君の考えが間違ってるって事だよね?」

「さっきも言ったけど、恋愛感情的に好きな奴じゃなかった」

「エド君が気づいて無いだけかもしれないよ?

周りから見たらそう言う意味で好きだって気づいてるかもしれないし、具体的に誰か教えてよ!?」

「・・・・・・・・・黙秘する」

「まさか、ネイが好きなんて言わないよね?

そんな事言ったらオレ、エド君でも容赦しないよ!?」

「断じて違う!!でも、詳しい事は黙秘する!!!」

「ならユマ様か!!?」

「それも違う!!!

頼むから詳しく聞かないでくれぇええええ!!!」


流石にこれ以上この話を続けるのはアドノーさん達が可哀そうだ。

いや、正直言おう。

この状況が続いたら間違いなく現場の雰囲気が悪くなる。

恋バナに興味津々な年頃なマシロには申し訳ないけど、どうにかこの話を切り上げよう。

そう思ってそう言ったら、エドの方に飛び火した。

本当、もうやめて!!

本人が言いたくないって言ってるんだから、コロナさんもジンさんも館長さんから通信鏡奪ってまで追求しないでッ!!!


「ちょ、ちょっと!!

他にも話し合ったり伝えないといけない事あるし、何時仕掛けの扉が閉まるか分からないんだよ!?

本当、頼むから、この話はもう終わりにしよう!?」

「そうだ、そうだ!!

サトウの言う通り、サトウとマシロも好き奴の事言ってこの話はお終い!!」

「え!?」

「何言われようとコレは決定事項だからな!!」

「何で!?」


いや、本当何で俺達まで好きな人の事言わなきゃいけないんだよ!?

マジで意味が分からない!!

そう思って言う必要が無いって決定事項だと叫んだルグに反論したら、今まで見た事ない位の真顔で答えられた。


「そりゃあ、オイラ達だけ無理矢理暴露されたのに、一緒に居た2人だけ被害を被って無いなんって不公平だろう」

「それもそうね。

種族や血縁、スキルの関係で平気だったって言っても不公平なものは不公平よ!!

さぁ、貴方等もキリキリ吐け!!

さぁ、さぁ、さぁ!!!」

「そ、そんなぁ・・・・・・」


悪魔や鬼と関係があって、魅了系の魔法に強いスキルを持っている。

だから平気だったとか関係ない!

俺達も同じ羞恥心を味わえ!!

と迫って来るルグとアドノーさん。

わぁ・・・

間違いなく2人共怒ってるよ・・・・・・

その2人の気迫に後ずさる俺とマシロの体を怖い笑顔でガッチリ掴んでるって事は、ピコンさんもエド達の味方って事だし・・・・・・

こうなる前にこの話を切り上げたかった!!


「そう言えばサトウ君は地元に好きな人が居るんだっけ?

そう井戸端小母さん達に言ったって聞いてるよ」

「え・・・嘘・・・・・・

キビ君・・・好きな、人・・・居るの?」

「居ない居ない!」

「じゃあ、何で・・・・・・」

「えーと、俺の地元には『嘘も方便』って言葉が有ってね?

あの場を上手く切り抜ける為に言った事だから、実際に俺には好きな人は居ないんだ」

「そ、そっか・・・・・・」


そんなに俺が誰かを好きになるのが意外だったのか?

俺自身も言った事を忘れていた。

その位本当に今更蒸し返されたピコンさんからの余計な情報を聞いて、かなり目を見開いて信じられない物を見る様にそう呟くマシロ。

確かにお洒落に興味が無い俺が誰かを好きになっているとは思えないよな。

自分で言うのもなんだけど、好きになった人の為に努力してるとかそんな様子1mmも無いし。

でも、俺も一応思春期な男なんだぞ?

恋愛に興味がない訳じゃ・・・・・・

恋愛って言うか年相応にそう言う事に興味はあるって言うか・・・・・・

いや、それ以前にそもそも俺、マシロに『男』に見られてないのかも・・・・・・

マシロの中の俺は『無茶する病人』ってだけで、性別以前の問題・・・・・・

あ、そう考えたら流石に何か空しくなってきた。


「えーと。だから、その・・・

俺、皆さんの期待する様な答えは返せないと言いますか・・・

なのでそろそろ離して頂けると嬉しいなぁ。

と思っていたり・・・・・・」

「わ、私も!私も今、好きな人居ないよ!!」

「それも方便なんじゃないの?」

「2人共、言いたくないからってそれはナシだからな?」

「本当に方便とかじゃなく、恋愛感情って意味で好きな人は居ないんですってば!」


さっきの返答じゃルグもピコンさんもアドノーさんも、野次馬と化した画面の先の館長さん達も納得出来ない様だ。

ピコンさんには方便だって疑われるし、ルグには言いたくないからそう誤魔化してるって思われるし・・・

本当に居ないんだってば!!

本当にそろそろこの話終わられせて!!

本題に戻させて!!


「じゃあ、せめて好きなタイプ位は言いなさいよ。

特にサトウさん」

「何で俺!?」

「病気の後遺症って言ってもその無表情だと判断出来ないからよ。

マシロちゃんは分かりやすいけど」

「流石にそれは理不尽です!!」

「良いじゃない、そんな細かい事。

それで終わりにしてあげるから、サッサと吐いちゃってよ」


うぅ・・・

ニヤリって笑うアドノーさんがこの世界の人種の1つとしてじゃない鬼や悪魔に見える・・・・・・

細かくないよぉ・・・

俺の気持ち軽く扱わないでぇ・・・


そう嘆きたいけど、嘆いてもアドノーさん(悪魔)は俺達を開放してくれない。

呆れめてサッサと好きなタイプを言えば良いんだけど・・・・・・

俺が恋愛感情で好きになるタイプってどんな人だろう?

恋に恋するって言うのか・・・

年相応に可愛かったり、綺麗だったり、胸が大きい女の人に目を奪われる事はあるけど、恋人になりたいたいタイプって言われると・・・

よくよく考えたら真剣に考えた事無かったな。


「えーと・・・安心できる人?」

「マシロのに似てると思うけど・・・

多分、一緒に居ても苦痛にならない人、かな?」

「何で2人共自分の事なのにそんな曖昧なんだよ」

「「真剣に好きな人のタイプ、考えた事無かったから・・・」」


記憶喪失だからか、それとも今までそう言う事を考える必要が無かったのか。

マシロも自分の好きなタイプを把握仕切れてなかった様だ。

そんな重なった俺達の声に、質問して来たルグは複雑そうに顔を顰めるだけで何も言ってくれない。

何も言ってこないなら言ってこないで、この話はお終いで良いんだよな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ