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サンプル・ヒーロー  作者: ヨモギノコ
第 2 章 コンティニュー編
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116,思考の海へ


 まず、あの世界には根本的ルールの違う異世界人にしか集められない、『オーブ』と言う凄いアイテムが6つ。

いや、俺のスマホ内の『キビ君』の周りに回ってるアレが本物の『水のオーブ』だとするなら、あの動物像の部屋の『キビ君』の像。

あの『キビ君』の像が背負っていた10本の蓮の様な花の像が『オーブ』を表してる可能性が高い。

つまりあの世界には、10種類の『オーブ』。

と言うよりも、結晶が出来る位魔元素が溜まるスポットが10ヶ所存在してるって事だよな?


今伝わっている『オーブ』が全部現存する各国に1つずつ存在する事を考えると、伝わっていない4つは恐らくジャックター国以外のアンジュ大陸国に1つずつあるはず。


まぁ、その詳し場所は伝わって無いから分からないし、何か知ってそうな5代目勇者のモデルの1人である風山 紅太郎も、その後も何度も起きた魔法を使った大戦争の影響か。

あの世界の地形が『召喚』された当時と大分変ってる事を考えると、正確な位置は分からないだろう。


まぁ、そもそも偽勇者ダイス達もその4つの『オーブ』の事は知らないだろうし、ナト達を追いかけるのにさして重要じゃ無いからその事は置いといて。


その『オーブ』を全部集めると作り出せる『夜空の実』を集めさせる為に、俺やナト達は『召喚』された。

恐らく、何度もそれ関係で実験した結果、


強大な敵(魔王)と戦う為の勇者として『召喚』した』


と言う理由を提示すれば、ある程度自我を残さないといけない異世界人を都合よく動かす事が出来たんだろう。

こういう場合の『正義』って名は使い勝手が良す過ぎて、だからナト達は徹底的にユマさん達が悪だと魔女達に教え込まれていたんだ。


そしてなぜルグ達魔族が『悪役』に選ばれたのか。


元々『魔族』と呼ばれていた白悪魔達の悪影響と言うか、負の遺産?

現在魔族と呼ばれている人達の祖先に、白悪魔達に創られ手先。

いや、『兵器』として利用されていたキメラ達がいた事が、まず最初の始まりだと思う。


そして、白悪魔達の呪縛からキメラの子孫である魔族達が逃れた今も。

勇者ダイスが白悪魔達を殆ど絶滅させた今でもそれが続いているのは、略称され(魔族)た新し()い分類名(魔物)的に、白悪魔達(旧魔族)の悪事を関係ない魔族達がやったと勘違いされてる。

って事が1つ。

その他には、ウンディーネ達のやらかしとか、素材目的で魔族が人間に襲われていた時代があった事とか。

そう言う事から始まる復讐の連鎖とかで魔族と人間の仲が最底辺まで行ってしまったってのも1つの理由だろう。


後は、根深い宗教的な理由って言うのか、魔女や偽勇者ダイス達の個人的な恨み。

もあるだろうけど、でもそれはやっぱりどれも1番の理由じゃ無い、と思う。


俺が思うに多分、『表面上の見た目が違う』事が1番の理由何じゃないかな?

あの世界の悪魔に『中身』が似ているらしい四郎さん達と同じく、クエイさん曰く俺達この世界の人間の内臓や骨の位置や数、構造なんかの『中身』は、あの世界の鬼に非常に近いらしい。

いや、近くて当然なんだけどな?


木場さん達曰くあの世界の鬼は、人体実験の影響で姿が変わってしまい、この世界に帰ってこれなかった。

木場さん達の同級生(俺達の世界の人間)の子孫の可能性が非常に高いそうだ。


元々鬼達が暮らしていたヒヅル国の山も、木場さん達が出会ったその同級生達がヒッソリと暮らすと決めた場所らしいし。

そう言う訳で俺達の世界の人間はあの世界にとって、内臓(オーガン)が足りない奇形の『魔族』と言える存在である。

だけど、パッと見はあの世界の人間だ。


中身は『魔族』でも、見た目は『人間』。


その上、この世界はあの世界の様に人種が多種じゃない。

これはかなり利用できる事なんじゃ無いだろうか?



人は自分と違うモノを排除しようとする生き物だ。



ナト達と同じく魔女に操られた各領主達とか、マナ教信者とバチバチやってるだけの、まだ比較的無害な極々一般の下っ端英勇宗信者達とか。

そう言う『利用されてる』人達は居るだろうけど、取り敢えず偽勇者ダイス側の味方と言うか協力者?

そう言う人達が『人間』である以上、『勇者』を騙す為に『魔族』を『悪役』にするのは理に適っている、と言えると思う。

だからこそ、俺達の世界や俺達の世界に似た世界から『勇者』にされる人間が『召喚』されやすい。


いや、『勇者』に選ばれやすいんだと思う。


あの世界の人間に見た目だけは近くて、異世界物の物語が多く、その物語に対する憧れがある分『勇者』として動かし(騙し)やすい。


そしてもう1つ。

いや、この理由があったからこそ、全てを知る偽勇者ダイス一味は『人間』を『利用』してるのかも知れないんだけど。

敵側として重要なのは、


『あの世界の魔法と根本的に相性が悪く、道具魔法しか使えない』


って事だ。


『オーブ』も『夜空の実』も有限な物質であるらしく、もし『オーブ』を集めても魔法と相性が良い。

道具を介さなくても魔法を使える異世界人に集めさせると、『夜空の実』を完成させる前に体内に取り込んだ『オーブ』を消費してしまうらしい。

その分俺達はスマホやポケベルに『オーブ』が入り込むから勝手に『オーブ』を消費する心配も無いし、入った『オーブ』の使い方が分からない以上『夜空の実』が完成するまで『オーブ』を取り出す事も基本不可能。


そう考えると俺達系列の世界は本当に都合が良いんだ。


そう言う事を6代目かコラル・リーフの代までに各種の実験の元確定させ、8代目、勇者ダイス、そして今回のナト達と似た世界から異世界人を『召喚』した。

8代目も似た世界出身だって思ったのは、ジェイクさんが教えてくれたその8代目が伝えったって言う技術からの推測だ。


海水を煮詰めた塩の製造法とか、

銀による毒の判断とか、

マヨネーズの作りとか、

刺し身とか。


色々あの世界に伝えたのが8代目。

ただし8代目はどこまでも純粋で、色々真っ直ぐな人だったんだろう。

当時のあの世界の人達に促されるまま、そう言う8代目をおだてて都合よく動かす為の、『『召喚』者達にとって色々都合が良い』技術を、あの世界と本当に相性が良いかどうかちゃんと調べず無暗矢鱈に伝えた。

その為、用済みになった8代目がいなくなった後各地でその技術を使った結果。


相性の悪さや中途半端な知識故の技術不足から、食中毒とかで大勢の死者が出てしまったそうだ。


分かりやすいのは俺も体験した手作りマヨネーズかな?

菌に強い塩や酢が入ってるから、水分の多い野菜何かと和えない限り、普通マヨネーズそのものは腐らないはずだ。

けど、俺が作ったマヨネーズはカラフルなカビが生えた。

それがあの世界でも大規模に起きて、町1つが食中毒で滅んだらしい。

その理由は、まぁ・・・

瞬時に3つ位思いつく程には色々あるけど、取り敢えずあの世界の微生物は強い!!

と言う事が1番の理由だと思う。

普通なら腐らない物も腐らせられるし、キノコ(子実体)は歩くし、人間にも平然と寄生して苗床にするし。

兎に角あの世界の微生物は最強クラスの生命体なんだ!!


一応敬愛する勇者が伝えた技術だから、8代目派の英勇教の教会を中心に、頑張って最強微生物達と戦って安全な物を造ってるらしいけど。

その戦いのせいか、この世界に比べて兎に角コスパが悪い。

結果あの世界の『マヨネーズ』は1部の人間しか口に出来ない高級品なんだそうだ。


まぁ、つまり、何が言いたいかと言うと。

そう言う8代目が伝えた、色んな意味で有名な異世界の技術の諸々がこの世界の今の時代に非常に近いと言う事で。

そこから考えて8代目が、『俺達の世界の現在』に近い世界から『召喚』された可能性が高い、と思った訳だ。


と、大分脱線しちゃったけど、今重要なのはナト達の『オーブ』集めが既に失敗してる事が偽勇者ダイス達にバレたら、


あの世界は戦争によって『リセット』され、


1000年後また別の俺達の世界か、


俺達の世界に似た世界から誰かが『勇者』として『召喚』される。


って事だ。

だから、その前に絶対ナト達を連れ戻さないといけない。


戦争による技術の抹消。


これがある意味重要だったんだ。

自分達以外から『オーブ』や『夜空の実』の真実を隠す事でライバルを減らすと同時に、『技術の進歩』を抑え込む事で『いざって時異世界人に頼るしかない状況』を作り出す。


『夜空の実』を手に入れるには異世界人が必要。

でも『夜空の実』の事は出来るだけ隠したい。

ならどうやって異世界人を『召喚』する理由をでっち上げるか。

その答えが、『魔族って言う敵の存在』と『技術の進歩の抑圧』。



戦争を起こし不都合なモノを消し、


情報を操作し、


あの世界の人間が異世界人を頼る様に教育(操作)する。



そうやって『夜空の実』の真実を隠したまま、誰か。

今回の場合魔女達に俺達を『召喚』させたんだ。

そう考えると偽勇者ダイス達が教会って場所を利用してるのも理に適ってるよな?


それで、確率的に考えて偽勇者ダイス達は他の国でも『召喚』の儀式魔法を行わせたかったんだろうけど、それは大いに失敗した。

多分、Dr.ネイビーのあれこれで抑え込めていた技術革命が予想より早く起き、ローズ国以外上手く操られなくなったんだと思う。

偽勇者ダイスの思いに反し、あの世界の人達は自分達の力だけで歩き出した。


いや、もう抑え込むのが不可能になっただけだろう。


その歩みは、本来ならもっと早くに起きるはずの出来事だったんだ。

抑えられに抑えらたソレが溢れ出しただけ。

『夜空の実』の存在がただのおとぎ話としか伝わってない今、きっと遅かれ早かれこの時代内にあの世界は、


『人も魔族も手を取り合う『勇者(異世界人)』を必要としない世界』


に変わっていた。

それ程限界だったんだろう。

だからこそ、今回の『戦争(リセット)』は今まで以上の被害が出るハズ。

ここまで『夜空の実』関連の真実が知れ渡ってしまった以上、偽勇者ダイス達は根元から『やり直そう』とするはずだ。

自分達が『夜空の実』を手に入れる為に必要なモノだけ残し、後は全部消去。

そうなる可能性が高い。


そんな残虐な事を考えているだろう、偽勇者ダイス。

つまりこの一連の事件の黒幕は誰かと言えば、まだ分からない。

候補として1番高いのは白悪魔の生き残りだと思うけど、確信に至る証拠が少ないんだよな。


ヤエさんの子供(クリーチャー)の事を考えると、2000年前。

ヤエさん達を利用していた、英勇教の何処かの宗派。

恐らく今英勇宗と呼ばれてる宗派やローズ国王族が白悪魔達とスブズブな関係。

とまではいかなくても、少なからず関わり合いがあったのは間違いないと思う。


でも今もそれが続いてるかどうか・・・・・・


その白悪魔達から得た情報を元に一部のローズ国の王族貴族、英勇宗信者がこの事件を起こしてる可能性もある。

今ここで黒幕を決めつける訳にはいかない。



・・・・・・・・・と、ここまで考えたは良い物の、この考え、どうやって皆に伝えよう。

筆談だけでこの情報量を伝えるのはほぼ不可能だぞ。

後でノートかなんかにまとめて渡すとかすれば良いんだろうけど、本当、声が出ないのが不便で仕方ない!!


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