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サンプル・ヒーロー  作者: ヨモギノコ
第 1 章 体験版編
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32,迷子のお姫様 中編


「それにしても、サトウって意外と凄いよな。

普通ならSSランク以上の解析スキルか、強力な魔法道具が無いと見破れ無いユマの魔法を見破ったんだから」

「そう?

俺が魔法を見破ったのは、『状態保持S』ってスキルのお陰だと思うんだ。

ランクはSだし、スキルの効果も『一定の病気・精神魔法・呪術・毒が効かない』って物だし。

普通ならそんな強力な魔法を防げ無いよな。

何で俺、平気なんだ?」

「ううん、そんな事無いよ。

そのスキルは呪術も効かないんだよね?

なら当然、この魔法が効かないのも当たり前だよ」

「それって、どういう事?」


呪術ってのは魔法より凄い物なのか?

そう思って2人に聞くと、2人は、


「う~ん」


と唸りながら悩み始めた。

俺はそんな難しい事を聞いたんだろうか?

それとも、異世界の常識が無い奴に説明するのが難しいとか?


「何て言えば良いのかな~。

こう・・・・・・

魔法(現象)と呼ぶには異常な魔法、スキル(才能や技能)と呼ぶには異常なスキルの事、で良いのか?」

「うん。それで良いと思うよ、ルグ君。

例えば自分だけじゃなく他人の運命や幸運を操るスキルとか、儀式魔法をたった1人で出来る魔法とか、私の『生命創造』とか」


ユマさんの基礎魔法、『生命創造』は俺の持つ『クリエイト』の生き物限定版みたいな魔法だ。

イメージするだけで、進化論やら法則やらをガン無視して全く新しい未知の生物。

と言うか、細胞、酵素、DNAを持っていて刺激に反応すると言う生物の条件を満たさない、けどウイルスの様な『生きている』モノを作り出せる魔法らしい。

ジャックター国の王家が代々受け継いできた魔法であり、ユマさんが家庭科の授業で生物料理を作ったのもこの魔法を上手くコントロール出来なかったからだ。

確かに、魔法(現象)の域を超えている。

もう、神話の神様と同じじゃないか!!


「こう言う魔法の事を呪術と言いうんだ。

代々アンジュ大陸国の各国王がもつ基礎魔法や固有スキルも全て呪術に分類されているんだよ」

「うわぁ。

確かにそんな凄い技やスキルを持つ奴5人が治めてる国に攻め込むなんて無理に決まってる!!」

「だから、オレ達は平和なの。

唯この技やスキルを受け継いだってだけで、使わなくても周りの国は怖がって手が出せない。

各国の王様達はこの技がどんなに危険か良く分かってる。

最悪、生態系を崩すどころか、この世界を破滅させる。

だから、コントロール不足の事故なら兎も角、この技をそのまま使わない様に受け継いだ王家の魔族は、特殊な『制御』の魔方陣で威力を抑えてるんだ」


この事はここだけの秘密な?


と、ルグは真剣な表情で言った。

その魔法を持って産まれた奴は産まれてすぐ、胸と言うか心臓あたりに魔法陣を刻まれる。

この魔方陣は、その刻まれた奴が生きている間、24時間365日常に発動し続けるらしい。

勿論、ユマさんも刻まれている。

女の子に対して、見せてくれとは流石に言えないからどんな物か分からないけど。


この魔方陣のお陰で魔法やスキルの威力やランクが伝説からBまで下がるそうだ。

ユマさんが持つ『生命創造』なら『無生命創造』。

つまり道具や食器など、今俺が『クリエイト』で出せる位の物しか作り出せなくなるらしい。

本来ならその筈なのに、ユマさんは魔法陣を刻まれていながら、生命を作り出せてしまう程魔法の威力が強かった。


「今ある魔法の中で1番強い『制御』の魔法陣で押さえ込んで、やっと知識の無い。

1時間程度で空気中の魔元素に溶けてしまう生命を創造するまでになったんだ。

それと、ごめんなさい!!」

「え?何で行き成り謝ってるの、ユマさん?」

「先に謝っておきたくて。

私、まだこの技のコントロールが下手で・・・・・・

起きてる時は良いんだけど、寝ている時無意識に夢で見た変な生き物を作っちゃうの」


朝目が覚めたら部屋がカオス!

なんてのは日常茶飯事らしい。

こういう時、俺はなんて言えば良いんだ?


「え~と・・・

だ、誰でも上手くいかない事はあるって!!

だから気にしないで!な、ルグ?」

「そうそう!

慣れると結構面白し、見てて飽きないぜ!!」


あぁ、ルグは慣れる程経験してるんだな。

ルグがこんなにピンピンして、今此処にいるなら驚きはしてもたいした被害は無いんだろう。

魔族だから平気だったとか言うオチは考えない方向でっ!!


「だからそんな顔するなよ、ユマ!!」

「うん、ありがとう。

あ、え~と、話それちゃったね。

こう言う凄い魔法やスキルが効かないスキルだから、サトウ君は私が着てるこのコートの魔法、『ミスリーディング』が効かなかったんだ」


幻覚系の魔法はユマさん本人が使ってる訳じゃなく、コートのお陰だったのか。

それだと、何かあってコートを脱いだら直ぐバレるんじゃないのか?


そう思ってユマさんに聞くと、ユマさんも短時間だけど『ミスリーディング』と言う魔法が使えるらしい。

流石にずっと自分の力だけで魔法を使い続けるのは疲れるし、いざと言う時に疲労で他の技を使えないと困るから普段はコートに頼っているそうだ。


「もしかしたら、サトウとオレ達や街の住人じゃ見えているモノが違うかも知れないな。

呪術も無効化するって事は、殆どの魔法も無効化出来るって事だし」

「でも、『一定の』だぜ?

何処までが『一定』の範囲なのか分からないんだよなぁ。

今ので、ユマさんの着てるコートの魔法クラスの幻術系の魔法は無効化出来る事が分かったけど・・・」

「なら、SSSランクまでの魔法が無効化出来るって事なのかな?

それとも、ランクに関係なく『ミスリーディング』と同じ効果がある魔法全般を無効化出来る?」


う~ん。

実例が少な過ぎて判断出来ない。


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