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サンプル・ヒーロー  作者: ヨモギノコ
第 2 章 コンティニュー編
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51,付け加えられた仕掛け 後編


「と言うことでジェイクさん。

そこ等辺実際どうなんですか?」

「そこは気にしなくていいと思うよ?

多分、この壁の仕掛けは60年前にアルゴさんのお父さんが付け加えたものだと思うからね」

「鍛冶師さんのお父さんが?ここにも?」

「うん。

この仕掛けのある壁、上手く隠してるけど他の壁や柱、上の像と違ってかなり新しいんだ。

多分、作られてから100年も経ってないんじゃないかな?

それに、このアンジュ大陸文字が使われ出したのは大体1000年前からなんだ。

3000年前ならまだこのアンジュ大陸文字は存在していないよ」


だから、鍛冶師の爺さんのお父さんが後からこの仕掛けを付け加えた。

マシロが最初に違和感を感じたのもそれが理由。

とジェイクさんは考えたみたいだ。


「だったら3000年前に生きていた人物から答えを見つける事自体、間違っていませんか?

60年前有名だった人物から見つけないと」

「そこは3000年前の有名人で間違いないと思うよ。

ここまで隠してるなら、この仕掛けもコラル・リーフが作った物だと思わせたい訳でしょ?

なら答えもコラル・リーフが考えそうなものにするはずだよ」

「いや、そう言う考え自体が罠の可能性もありますよね?」


仕掛けがあるって事は、一定の人。

この場合『レジスタンス』の人達以外に開けられたくないから仕掛けを追加したと考えられる。

今回の場合はゾンビ毒の事件のせいでちゃんと引継ぎが出来てなかったからこんな要らない苦労をしてるけど、本来なら全部の仕掛けの答えが『レジスタンス』内の担当の誰かに伝えられていたはずだ。


それを考えると、『答えは3000年前の人』って思い込ませる事自体が1つの罠になるんじゃないか?

本当は別の時代の人の名前が答えなのに、『3000年前の人』って思い込みで中々答えを出せない。

そういう事も起こせると思う。


いや、それ以前に像の製作者と仕掛けの製作者が別なら、上の像が関係あるかどうかも怪しいな。

ジェイクさんの言う通り鍛冶師の爺さんのお父さんがこの仕掛けを作ったのなら、仕掛けのヒントがこの部屋以外の。

例えば『レジスタンス』のアジト内の何処かの部屋の中に隠されてる可能性もあるんだ。

上の像をヒントに考える事自体間違ってるかもしれない。


「そもそも、ジェイクの考えは合っているのかな?

私は何か違う気がする・・・・・・」

「違うって、鍛冶師さんのお父さんが仕掛けを付け加えったって事?」

「うん。

今よりももっと仲の悪かった昔のローズ国の人間が、ここまでシッカリしたアンジュ大陸語を知ってたのも気になるし、さっきのコンさんの話聞いてから何かモヤモヤしてるの。

こう・・・思い出せそうで思い出せない感じ?」


ジェイクさんの考えに確信がある様な力強さを含んで違うと言うマシロ。

紺之助兄さんの話って言うと、使われていた言葉や文字が違うって話だろうか?


「とりあえず、鍛冶師さんに聞いてみたらどうでしょうか?」

「それもそうだね。

アルくーん!!ちょっと通信鏡貸してー!?」


まぁ確かに、ステアちゃんの言う通りだ。

鍛冶師の爺さんに聞けば、間違いなく鍛冶師の爺さんのお父さんがアンジュ大陸語を知っていたかどうか分かるだろうし、そうじゃなくても残された鍛冶師の爺さんのお父さんの資料に何か書かれてるかもしれない。

ここで俺達だけであーだこーだ言うよりは確実に何か分かるはずだ。

ただ、近道のエレベーターが使えない今、直接聞きに行くにはかなり時間が掛かってしまう。

だからジェイクさんも、まだ鍛冶師の爺さんがキユさんと一緒の部屋に居る可能性にかけて、アルさんの通信鏡を借りに行ったんだ。


「・・・何か時間かかりそうだし、ジェイクさんが戻ってくるまで他の可能性を考えようか」

「そうだね」


1人アルさんの元に行ったジェイクさん。

無事通信鏡を借りれたみたいだけど、何かかなり話し込んでる感じだ。

あの様子だと直ぐには帰ってこないだろう。

その間ただボーっと待っているのも時間が勿体無いし、鍛冶師の爺さんのお父さんが仕掛けを付け加えた以外の可能性も考えようか。


「壁自体も気になるけど、やっぱり1番気になるのは使われてる文字の事なんだよね」

「それは、ここにアンジュ大陸国の言葉が書かれていたから?」

「うーん・・・それだけじゃない、かな?

他にも何か引っかかる気がする・・・・・・」


やけにアンジュ大陸文字の事を気にするマシロ。

紺之助兄さんの時代によって使われていた文字が違うって言うのにも反応していたいし、やっぱり文字自体に何かあるのかな?


「そう言えば、使われてる文字はアンジュ大陸文字全部じゃなかったんだよな?

それにも何か意味があるの?」

「意味・・・・・・」


難易度を低くする為なのか、ゲーム上のこういう問題ならヒントの代わりにシリンダー毎に使われてる文字が限定されている。

この仕掛けのシリンダーの文字が少ないのもそれと同じなのだろうか?


いや、この仕掛けに関しては多分違う。

それなら1つのシリンダーに100文字近く使わないだろうし、シリンダー毎に違う文字を使うはずだ。


それならどんな理由がある?

マシロが紺之助兄さんの言葉を気にしていた事もちゃんと入れてよく考えろ。


「・・・・・・もしかして、昔はあのシリンダーに書かれた文字しか無かったって事ない?」

「え?それは・・・えーと・・・分からない、かな。

けど、うん。

確かに大昔は今よりも文字の数が少なかったはずだよ」


でもそれなら、この違和感にも納得できる。

と、言葉通り納得した態度で何度も頷くマシロ。

でも、俺の予想通りシリンダーに書かれてる文字が昔のアンジュ大陸文字全部かどうかは、マシロは分からないみたいだ。

それはジェイクさんが戻ってくるまで分からないって事か。


「もし、これが大昔のアンジュ大陸語なら、最後の『 ― 』は別の読方も出来たはずだよ」

「別の読み方?『は』とか『へ』みたいな感じか?」

「えっと。

キビ君の世界の文字は聞き取れないから、同じかどうか分からないけど・・・

別の読み方は『 ― 』。

『何とかの何とか』って意味の言葉だよ」


つまり、『と』や『が』みたいな助詞って事かな?

マシロの言い方的に多分、日本語で言えば『の』に近い意味の言葉になるんだと思う。


「これが『 ― 』って読むんだとすると、多分・・・

『何とかの』仕掛けの答え、って事になるんだと思う。

『何とか』に入るのは、多分上の像の事かな?」

「えっと、つまり。

バルログ像の答えの7文字って事?

シリンダーの7文字の後ろに、その助詞の文字が来てるのに?

『答えの7文字のバルログ像』じゃなくて、『バルログ像の答えの7文字』なの?」

「そうだよ。

キビ君達の世界の文法がどんな感じか分からないけど、アンジュ大陸語はこう書くんだよ」

「それは昔から変わらず?」

「うん。

何100年も前の文字でも、流石にそこは変わらないと思うよ」


何か変わってるな。

いや、ルグやマシロ達アンジュ大陸国民からしたら、それが普通なんだろうけど。

やっぱり異世界の文法だからか、かなり違和感を感じる。


「ちょっと待ってください。

その変わった読み方してたのって何100年も前なんですよね?

100年も経ってないって言う壁の状態と矛盾しませんか?」

「あ、そっか。

確かにこの仕掛けの壁、そんなに出来てから経ってないってジェイクが言ってたね。

じゃあ、この考えは間違ってるのか・・・

この考えだったら、最後に『 ― 』が付く8文字の言葉考えるより沢山の言葉が出てくるのに・・・」


ステアちゃんの指摘に肩を落とすマシロ。

確かに最後の文字が助詞って説の方が答えの案の幅が広がるだろう。

でも、ジェイクさんが言った仕掛けの壁の年代と一致しない。

普通に考えたら、実際に作られた時間と劣化具合は一致するだろう。

でもこの世界には時間結晶があるからな。

現に時間結晶が混ぜ込まれた蛇の像は、実際に作られた時間に比べ1000年にも満たない劣化具合しか起きてない。

その事を考えると、この仕掛けの壁の中にも時間結晶が混ぜ込まれてる可能性はあるよな?


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