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サンプル・ヒーロー  作者: ヨモギノコ
第 1 章 体験版編
24/498

23,ルグの異世界講座 4時限目


 マリブサーフ列島国。

穏やかな『ラズール海』を挟んだカンパリ大陸の東にある、海に囲まれた島の集まるリゾート地だ。

多種多様で豊富な魚が泳ぐ海での漁業と、絵や音楽の芸術が盛んで、年に何度も祭りが開かれる賑やかで華やかな美しい国。


各国の王族や貴族は最低1つ、別荘をこの国に建てると言われている。

採れたての魚は勿論の事、鮮やかな珊瑚や貝殻を加工した装飾品やジュエルワームの仲間のルクワームの出した肌触りのいい糸を使った服が名産品。

色んな祭りが開催されているけど、毎朝朝市で起きる魚を買いに来た料理人達の仁なき戦いはある意味名物らしい。


「名前が決まって国が所有している島は7つ」


北から順に国民の多くが住まう『ノアノア島』、


数多くの洞窟が存在し冒険者に人気な『アルバ島』、


首都がある島『マリブサーフ島』、


活火山が有名な『レッドバー島』、


列島最大の広さを誇るリゾート島『サザンピーチ島』、


漁業の要『ロレット島』、


カジノで有名な『マリブパイン島』。


「その周りに100を超える小島があって、島の中には個人が所有している島もあるんだ。

島ごとに違う自然の多様な景観と、暖かい熱帯性気候、豊富な海浜のお陰で観光客や学者に大人気!」

「へぇ、何かハワイみたいな所だな。

暖かい気温とか、観光客に大人気って所とか」


行った事無いけど、ハワイのイメージとマリブサーフ列島国はそっくりだ。


「サトウの世界にもマリブサーフ列島国みたいな所があるんだ。

サトウの世界の方も、奇麗な海は暖かくて泳ぎやすくて、採れたての魚が美味しいしのか?」

「さぁ?

俺が居た世界にはテレビって言う滑らかに動く絵や、今起きている事でも、過去に起きた事でも、遠くで起きた事でも映す道具があって、家に居ながら世界中の色んな事が分かるんだ。

後はインターネットて言う、このスマホやパソコンって言う道具を使う事で、何処に居ても世界中の人達と繋がって情報交換が出来るって言えば良いのか?

それで調べたり。

テレビやインターネットの情報や読んだ本だと海水浴や観光に来る人が毎年沢山居るらしい。

でも、実際行った事ないから詳しい事は分かんないや」

「そうなんだ」


マリブサーフ列島国はとても良い所だぞ~。

とルグは言う。

残念な事に俺はこの国から出られない。

行ってみたいと思うけど、マリブサーフ列島国に行く事は一生無いと思う。


「カンパリ大陸の北にはキール氷河って所があるんだ。

氷の塊が浮かんでとっても冷たい『ロワ氷海』に囲まれた氷と吹雪の白銀の島。

この島から無音石や氷木みたいな魔法道具の素材が採掘されてくる事もあるし、魔物や魔族も住んでるけど、国として独立していないし、どの国の領地でも無いから詳しい説明は省くな。

次は~・・・・・・ここ!!」


俺の首元で揺れる魔法道具屋のお兄さんから頂いた無音石やこの厨房の隅に置かれた氷木箱の素材、氷木が採れる島、キール氷河。

その説明をさっくり終わらせたルグが次に指差したのは、


「奇麗な緑色の海、『エメラルド海洋』に囲まれた島国、ヒヅル国。

首都のデイズより港町のカメリアの方が有名だな」


カンパリ大陸の南西にある登録上俺の出身国になっている国だ。

ギルドで住民登録してくれた職員さんが言っていたように、ヒヅル国は最近まで鎖国していた。

その為独自の文化を持つ島国。


ルグの話を聞くと、江戸時代みたいな感じらしい。

昔の日本に似ていてもそこは異世界!

魔法を使う侍や漫画の忍術を使う忍者、ゲームの様な人間離れした武将が極々普通に居る。


「島の殆どが緑豊かで、険しい山々と湖、数多くの川で出来ている。

狭くて凸凹した感じだから、オレ達他国民から見ると人が住みにくい土地だと思うんだよな~。

それに地震も多いし」

「そうか?

俺の故郷の国もヒズル国みたいな所だけど、住み難いって思わないけどなぁ」


江戸時代っぽいヒヅル国からしたら、日本は経済が成長して街や道路がちゃんと整備されていると思う。

そう言うのもあるけど、日本はやっぱり山が沢山有って、地震だって毎年大なり小なり起きている。

日本の歴史の中で地震が原因で大きな被害にあった地域だって幾つもあった。

それでも俺は日本が住みにくいとは思わない。

そう言う土地柄故の住まないと分からない良さってのがある。

だから、ヒヅル国の人達もその島に住んでいるんだ。

多分、きっと。


「そう言えば、サトウって髪や目、肌の色や顔立ちがヒヅル国人に似てるよな。

少しだけ彫りが浅いのを除けばそっくりだ!」

「そうなのか?」

「うん!」


ルグは大きく何度も頷いた。

魔女が俺をヒヅル国出身にしたのもそこ等辺が理由なんだろうな。


「サトウがヒヅル国に行けば絶対気に入るぞ~。

他の国じゃ考えられない位水が新鮮で清らかで澄んでて美味いんだ!

それと必要な養分が他国の何十倍ある土地だから野菜を育てるのに最適。

火山活動が活発でその性質の土壌が多い土地だから、自然が豊かになって多くの温泉が湧き出てるんだ。

ずっと住むのは考えるけど、少しの間暮らすには最適な国かな」


唯一、ルグの故郷がある『アンジュ大陸国』と平等な貿易をして、魔族と人間が協力し合う国。

その為ルグ達、アンジュ大陸国民はローズ国やチボリ国、マリブサーフ列島国に行くのに必ず1度、ヒヅル国に寄らないといけないらしい。

アンジュ大陸国からヒヅル国以外に直接行く事は国同士の中の悪さや条約、海の性質。

そう言う色々な理由で出来ないらしい。


だからルグも故郷からローズ国に来る時、船の関係で少しの間ヒヅル国に留まっていたそうだ。

温泉や料理、観光をたっぷり楽しんだその時の事を思い出し、ルグは嬉しそうに尻尾を揺らした。


「ヒヅル国は季節がきハッキリ四つに分かれてて、国民は季節毎の料理やお祭りを行って、それぞれの季節を楽しんでいる。

この季節の変化のお陰で面積の広さに比べて、生息している動植物が多いんだ。

だからかな?

世界最大の薬学、医療の国で、殆どの未知の病気はこの国が対処法を見つけてきた」


四季がはっきり分かれてるって所とか、面積に比べ動植物が多い所とか、本当日本に似てるな。


「その延長なのか、土地柄なのか、農業が1番盛んなんだ。

だけど、周りが海だから漁業も行う。

だから、ヒズル国の主食の米って言う白い植物と山菜と野菜、採れたての新鮮な魚を使った天丼はすっっっっごく美味いんだ!!

付け合せの漬物って言うしょっぱくて、でも少し甘いコリコリした野菜も美味しい!!

それと~」


よっぽど気に入ってるのか、ルグは興奮気味に身振り手振りを使って言う。

この街の様子でこの世界の殆どの国がパンが主食だと俺は思い込んでいた。

だから、ルグも米よりパンの方が良いだろうと、ルグに合せて極力米を使わない様にしようと思っていたんだけどな。

でも、今のルグの様子から普通に『ミドリの手』で出した米を使っても大丈夫そうだ。


我が家で米を作っている関係で俺自身、パンより米にあう料理の方がレパートリーが多い。

明日の朝は買い物に行かず、『ミドリの手』で米と野菜を出して御握りと浅漬けと味噌汁を作ればいいよな。


「名産は山菜と漬物、マグマ鳥の温泉卵。

それと、国民には人気が無いとんでもなく苦いけど健康にとっても良いお茶、黒茶葉のお茶だな」


黒茶葉はとてつもなく苦いけど、健康に関する事なら何でもござれな葉っぱだ。

ヒヅル国の棚田で栽培されており、一部の健康を気にしている方には人気らしい。

一昔前は、不老長寿の妙薬とされていたらしいんだけと、そこまでの効果は無いそうだ。


マグマ鳥は火山口付近で巣を作る3m近くある鳥。

恐ろしく鈍感で餌をとるか1日1回温泉かマグマに入る以外基本動かない。

毎朝思いっ切り鳴かないと病気になる程ストレスが溜まるそうだ。

そんなマグマ鳥の卵は場所が場所だけに命懸で採りに行かないといけないし、その上養殖が出来ない。

サイズは人間の赤ん坊くらいあって、1個の卵の中に黄身が平均30も入っているらしい。

ルグの話を聞く限りだと、温泉街の色物お土産しか思い浮かばないぞ。


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