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サンプル・ヒーロー  作者: ヨモギノコ
第 1.5 章 勇者編
180/498

40,オオカミ少年と黒い騎士 1人目


「これで、最後だ!」


オオカミの群れが隠れてるって言う、サマースノー村近くの森。

そこに入って直ぐ、この見た目が完全にチワワなオオカミの群れが襲ってきた。

オオカミの群れを倒し続けて、ついに最後の1匹がギャンと鳴いて倒れる。

倒れたオオカミの近くには、同じように俺達が倒したオオカミの山。

こうやって見ると、かなりの数を倒していたみたいだ。

森に入ってそんなに経ってないのに、群れを全滅させられたから、小さな群れだと思っていたから驚いた。

簡単に終わったのは1匹1匹が弱くて、そこまで大変じゃなかったからかな?


「まぁ、こんなもんかな?」

「はい。大きな群れを倒せましたので、十分数は減らせたかと」

「じゃあ、このオオカミの死体どうにかして帰るか」


数が多いことを除けば、普通の冒険者達が苦戦するのが分からない位、思っていたより弱かった。

なにより1番予想外だったのは、オオカミが魔物じゃなくてただの動物だって事。

最初はオオカミを絶滅させるつもりで来ていたけど、魔物じゃないのに絶滅させちゃ、食物連鎖とかそう言うのに悪い影響が出るからな。

村近くに居る増えすぎたオオカミをある程度減らせたところで、俺達は倒したオオカミの死体を片付けて帰る事にした。


「『キャンセル』、『フレイム』。

・・・・・・うん、森にも引火してないし、大丈夫だな。

終わったぞ」

「お疲れ様です、勇者様」

「お疲れー。さて、サマースノー村に帰るか」


田中がオオカミの死体を燃やし尽くして、森に被害が出ていない事を確認して。

そこまでしっかりやった後、俺達はサマースノー村に帰る事にした。


「と、その前に・・・

キャラ、ネイ、そっちは大丈夫か?」

「問題ないよ、勇者君」

「大丈夫!水晶、まだ来て無いよ!」


スマホを取り出し、村に残っているキャラとネイに電話する。

スマホの画面に映るキャラとネイ、それと2人の後ろに映る出た時と変わらないサマースノー村。

まだ魔法使い集団は来てないみたいだ。


「なら良かった。

ルチア、シャル達の方から何か連絡来たか?」

「いいえ、まだ来ていません。念の為に確認します」

「あぁ、そうだ。城の方はさっき確認した。

城の方にも新しい被害報告は着てないみたいだ」

「なら、今日はまだ何処も被害にあってないんだな」


サマースノー村は無事だったけど、また他の村が被害にあってるかもしれない。

それは田中も考えてたようで、すでに城に居る兵士に確認し終わっていた。

その田中の話だと、今日被害にあった村はまだないらしい。

ルチアが確認してくれて、シャル達がいるジェム村も今のところ無事だって事も分かった。

なら今日の分の水晶化はこれからだって事だよな。


「今日は魔法使い集団が、水晶化を休む日だといいんだけどな」

「気持ちは分からなくも無いけど、流石にそれは無いだろ」

「だよなー。はぁ・・・」


そりゃそうだ。

今までノンストップで水晶化を進めていた魔法使い集団が、今日だけ休む何って事ありえない。

それが分かっていて、ついため息が出る。


「とりあえず、キャラ。

こっち終わったから、直ぐ戻るって村長達に言っておいてくれ」

「分かったよ。

ちゃんと、気をつけて戻ってきてくれよ?」

「分かってるって。

キャラとネイも、どんな小さな事でもいいから、何かあったら直ぐ連絡しろよ?」

「勿論。何度も言わなくても分かってるって。

水晶化だけじゃなく、魔物や魔族が


「おい!誰だ、お前等!!

この村に何の用だ!?

誰としゃべってるんだ!!?」


キャラ達に戻る事を伝えていると、少し遠くの方から若い男の怒鳴り声が入ってきた。

サマースノー村の人達や元々オオカミ退治を請け負っていた冒険者達なら、俺達が来た事を知ってるはず。

その事を知らないなら、この怒鳴っている男は俺達の後に村に来た奴って事になる。

俺達の後に、サマースノー村が出した別の依頼を受けた冒険者とかなら良い。

でもキャラ達に向かって、こんなにも敵意むきだしにした声を出してるんだ。

ただの冒険者だとは全く思えない。


「おい、キャラ!ネイ!!大丈夫か!?

何があった!!?」

「・・・お前、この子達の仲間か?」

「っ!誰だ!キャラとネイはどうした!?」


ただ事じゃないと思って、スマホでキャラ達に声を掛けながら村に向かって走り出す。

何度か声を掛けてようやく出たのは、怒鳴り声の男。

どうしてキャラでもネイでも無く、この男が出るんだよ!

キャラ達に何をしたんだ!!?


「その様子だと、お前も無事だった奴なんだな」

「無事?何がだよ?」

「何がって、気づいてない訳じゃないだろ?

・・・まぁ、いいか。僕はこの村の住人だよ」

「え?お前、サマースノー村の奴なのか?」


怒鳴り声の男はサマースノー村の奴だった。

なら、何で俺達が来た時居なかったんだ。

あの時村長は、村の奴は全員村の何処かに居るって言ってた。

勇者である俺達が村に来たんだ。

小さな村だからその話は直ぐに広まって、ほとんどの奴が俺達を見に来ていた。

だから、怒鳴り声の男も村に居たなら、俺達の事は伝わっているはず。

もしかして、他の村人から嫌われてる奴なのか?


「そうだよ。

僕は間違いなく、この村の一員だ。

お前等が何者で、何の目的で、何時この村に来たかは知らないけど、その事をお前等に疑われるいわれはないな」

「いや、でも。

俺達が来た時、村長は村の奴は全員居るって言ってたぞ?」

「はぁ?

今の親父さんが、そんな事言える訳無いだろ?

何言ってるんだ、お前。

本当、おかしいぞ?大丈夫か?」


何かおかしい奴扱いされた上、心配までされた。

俺達からしたら、この男の方がおかしな奴だ。

意味の分からない変な事ばっか言って。

マジでキャラ達は大丈夫なんだよな。

このおかしな男に変なことされてないと良いんだけど。


「僕は数日前からアーサーベルで調べ物していて、今戻って来たところなんだ。

ラムを、皆を元に戻す為の調べ物」

「元に戻すって、水晶化の事か?」

「何だそれ。

僕が言ってるのは、そのー、水晶化?ってヤツじゃなくて、


「勇者様!!

兎に角、村に戻る事を優先させましょう!」


怒鳴り声の男としゃべるのに夢中になっていて、いつの間にか俺の足は止まっていた。

その事に気づいたらしいルチアが声を掛けてくる。

確かにルチアの言うとおりだ。

スマホの画面じゃ小さすぎて、わからない事が多すぎる。

キャラ達が無事かどうかも、スマホよりも小さな通信鏡の画面に映らなきゃ分からないし。

確かにスマホと通信鏡を通して言い合うより、直接会って話した方がいいな。


「おい、お前!!

いいか、もう直ぐ村に着くから、逃げずに待ってろよ!!」

「逃げるって何だよ。

どうして僕が逃げないといけないんだ?」

「兎に角、そこで待ってれば良いんだって!!」

「何だそれ?

どうして僕が、良く分からないおかしなお前に命令されないといけないんだ?

意味が分からない。

僕がお前の言う事聞く必要って、何処にも無いだろ?」

「あぁ、もう!!いいから、待ってろっ!!」

「・・・・・・・・・はぁ。

あー、はいはい。分かった分かった。

待ってればいいんだろ?

僕だってまだ用事があるんだ。

来る気なら、早くしてくれよ」

「直ぐに着くって言ってるだろうがッ!!!」


俺に聞かせる様にわざとデカイため息をついてから、適当に返事をする怒鳴り声の男。

俺は最後まで人を馬鹿にしたムカつく態度の男に、イライラしながらそう言ってスマホを切る。

とりあえず、あの男は信用できない!


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