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第漆話


かつてこれほどまで早くテスト勉強を始めたことがあるだろうか。海人は過去の自分を思い返す。

韮山高校に入学して3年目。テスト勉強などテスト一週間前を切ってようやく慌てて始めるのが大抵のパターンだった。

自分がもう¨受験生¨だという自覚などさらさらない。夏休みに入ってからは必死になろうとは思っているが…

しかし今は6月初旬。1学期の期末試験は7月の第1週。この暑さはどう考えても6月じゃないだろうと突っ込みたくなるがまだ6月。しかも初め。

つまり期末試験までは1ヶ月もあるのだ。普段の海人ならまず有り得ない。部活も文化部だったこともあり既に引退しているが、部活をやっていたときも大した活動はしていなかったので、生活に特に変化はない。


しかし今の彼には明確な目標がある。ただ1教科、日本史だけではあるが学年1位を取る。目標というよりむしろ「使命」といってもいいかもしれない。自然とやる気に満ちていた。




韮高から歩いて約10分の所に彼の家はある。普通の一軒家、普通の4人家族。普通じゃないと言えば、その田舎っぷりだろうか。周りは見渡す限り田んぼしかない。おかげさまで夜は蛙の大合唱が眠りを妨げている。これは平和の証なのかもしれない。



「ただいま~」

誰にも聞こえないくらいの声で呟く。もちろん誰も応答するはずもない。両親が共働きだからでもあるが。


「とりあえず今回のテスト範囲の基本事項からだよな。1週間あれば一通り終わるかな?」


大まかな計画だけ立てて早速勉強に取りかかった。


「……1849年海防令発令、1954年日英和親条約締結……あぁ〜〜覚えることか多すぎる」


開始数分、早くも嫌気が差してきた。するとドアの開く音が。


ガチャ

「お兄ちゃ〜ん……あれっ?勉強してる、あのお兄ちゃんが…。頭どうかしちゃったの?高校に入ってからそんな姿見たことないよ。しかもついこないだテスト終わったばっかじゃないの?」


「あぁ、兄ちゃんは勉強に目覚めたんだぜ!」


「あ〜〜!!由香分かった〜。彼女が出来たからカッコつけてるんだ。頭いいとカッコ良く思われるもんね!」


思いがけないその言葉に海人は思わず吹き出してしまった。


「っっんんなわけねえだろ!!か、彼女なんかいねえよ」


「そんなに照れなくてもいいのに。お母さんには内緒にしといてあげるからっ」


「もう怒ったぞ!そんなことを言う口はこの口か?」

と妹の頬を軽くつまむ。すごく柔らかい。


「わわ〜、ほへんなはひ〜」

可愛らしい妹に免じてかいは手を離した。


「もうっ、痛いよお兄ちゃん。恥ずかしいのは分かったから…」


「まだこの口は分からないか!」


妹とのじゃれ合いは疲れるが、世間一般ではよくある「は、何?うざいんだけど」とか言わない(今は)ことは本当に嬉しい。


「ホントにいねえからな、彼女なんて。ホラ勉強に集中したいから出てって」


何とか妹の由香を部屋から追い出した。




海人の妹は小5になるが、まだ反抗期とかいうものはやって来ていない。高校生の海人に対して「お兄ちゃん、お兄ちゃん」とやたら寄ってくる。兄としてはとても嬉しい限りである。



(彼女…か。って何考えてんだ俺は)


海人の頬はほんのり赤く染まっていた。


そんなこんなで1週間、2週間と過ぎていった。







はじめまして。作者です。この度は当作を読んでいただき本当ににありがとうございます。

拙い文章で、しかも一話一話が短く申し訳ないと思っています。

ここで私情なのですが作者は現在、受験生でして国公立大学の二次試験が25日に始まります。本来なら勉強にいそしむべきところを今休憩時間を利用して推敲、投稿しておりますが、残り10日ということで少しペースが遅れると思います。25日まで一度もUP出来ないかもしれません。ここまで読んで下さった方々には本当に申し訳ないのですがその程どうかご理解お願いします。

今後ともお付き合いよろしくお願い致します。


作者

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