堕天使と登校
僕は原田勇也、十四歳。顔は童顔だけど女の子に間違われた事はない普通の中学生。
あと、お約束の眼鏡はかけてない普通の中学生。
でも、今は違う。いつもの中学校へと続く道を歩いていると色々なところから男達の熱い視線を感じる。これはきっとあれだ恋する男達の目線だ。
ここで一つ話しておきたい事があります。僕は決してホモではないこと、これはみんなに一番にわかって欲しいことだよ?
「勇也君、元気ないね?そんなことだと男たちに貞操を奪われちゃうぞ♪」
そして、この可愛くウインクをして恐ろしいことを言う女の子は、僕が男達に熱い視線を浴びる事の原因となった。(駄目な)堕天使ユイナちゃんです。
しかも僕の学校の制服を着ています。
えっ?なんでこんな事になってるかって?
では朝のことをお話しましょう……
【回想はじめ】
僕はユイナちゃんからの言葉に耳を疑った
「えっと、今[同性から恋愛対象として好かれてしまう矢]って聞こえたんだけど……」
「うん、そうだよ?」
ユイナちゃんは平然に言いました、僕は微かな殺意を覚えたがこれは閉まっておこう。
なぜなら彼女の方が強いからである、もうどうしようもない力関係が決まりつつあるなかで僕は言いました。
「あのさ、それって治るよね?」
「治ることは治るけど効果が消えるのは一ヶ月後なんだ」
ユイナちゃんは元気よく答えます。僕はそれでもくじけません。だって男の子なんだもん
「じゃあ護衛っていうのは?」
「私が勇也君を男の子から守るために決まってるじゃん♪」
ユイナちゃんは親指を立て元気に答えます。そんなユイナちゃんを見て、僕は一つの疑問を感じました。
「僕が学校にいる時の護衛はどうするの?」
「私も学校に行くよ?」
「でもユイナちゃんうちの学校の生徒じゃ……」
「うん、だから勇也君と同じ学校に転入するんだ♪」
僕は頭を抱えた……
【回想終わり】
それじゃあ、話をもどします。
「でもその人達から守ってくれるのがユイナちゃんの仕事でしょ?」
「勇也君はこんなか弱い女の子に自分を守らせる気なの?」
ユイナちゃんは目を潤ませて僕に言います。しかし、僕は騙されません。だって後ろに隠した目薬を見たから
「まあ、か弱いって事にしておくけどユイナちゃんは僕達人間と違ってなんか不思議な力を持っているんじゃないの?」
「私、堕天使だから空を飛ぶことと弓矢しか使えないよ?」
「飛ぶことと弓矢ねぇ……ってそんなんで護衛が勤まるの!?」
僕は焦りました、いくらユイナちゃんが怪力とはいえ大勢の男がきたらいくらユイナちゃんでも僕をかばう事はできないと思ったからです。
しかし、ユイナちゃんは笑顔で答えます。
「大丈夫だよ、そんな時はこの[違法改造天使弓矢ノブナガ]があるから♪」
「違法改造ってまさかユイナちゃんが堕天使になった原因て……」
「うん、ノブナガが原因なんだ」
ユイナちゃんは少し照れながら答えます。
「じゃあ、神さまに堕天使になってから僕の護衛をしろって言ったの?」
「そうだよ、神さまって酷いよね。でもこの護衛任務が終わったら天使に戻してくれるんだ♪」
彼女はひとごとのように(確にひとごとだけど)答えます。
この日、僕は神さまをこんなに呪った日はありません………