十三話、大立ち回り
〔闇鴉のアジト〕
「ほーら、お前達!このお嬢ちゃんの相手をしてやんな!」
他に控えていたザラキの直属の部下が合図と共に現れると一斉に襲いかかって来た。
「多い…でも今の私なら行ける!」
アリシアは十人はいる敵を見ても走る速度は緩めず果敢に挑んで行く。
「くっ!お嬢様!」
チェルシーは加勢に向かいたいが敵の数が多くて突破出来ないことを歯痒く思う。
しかし同時に今のアリシアの魔力の高まりを感じており今の彼女ならあの数にも負けないそう思った。
「はぁ!」
アリシアは目の前にまで迫った一人目の顎を狙って剣を振り上げて一撃で意識を奪うと二人目はコメットボムを直撃させて倒す。
「おらぁ!!」
続けての三人目が突きを放って来たが掻い潜って避け真上に飛ぶと彼を踏み台にしつつコメットボムを背中に設置して炸裂させた。
「!?」
四人目は一瞬にして目の前まで来たアリシアに成す術なく倒され五人目と六人目は回転斬りで纏めて倒す。
「ちぃ…アレが十二歳なのが信じられないわ…」
ザラキはそう言いながら残り四人と共に迫るが。
アリシアはそれを見るとミーティアで加速して四人を纏めて倒しザラキと再び一対一の状態に戻す。
「やっぱり私がやるしかないみたいねぇ!」
ザラキは風の弾丸を連続で飛ばして来る。
アリシアはそれをミーティアで全て避け天井を蹴ると勢いを付けて彼女の顔を剣でぶん殴った。
「捕まえたぁ!」
しかしザラキは被弾するのは織り込み済みでアリシアの腕を掴むと持ち上げて地面に叩き付けた。
二回三回と叩き付けるがアリシアは四回目に移ろうと振り上げた勢いを使って彼女の腹を蹴り飛ばし地面に着地する。
「…」
(効いてるはずなのに倒れない、あの薬…なんなの?)
普通なら倒れても良いはずだがザラキは倒れず狂気的な笑みを浮かべている。
「あっはぁ!!」
そして笑いながらアリシアに向けて迫って来た。
「はぁ!」
アリシアは彼女と正面から打ち合い鍔迫り合いになると押し切り五回連続して突きを当て彼女の体勢が大きく崩れた所を狙ってフルスイングの斬撃を胴体に思いっきり当てた。
その攻撃を受けたザラキは吹っ飛ぶと地面を転がり倒れる。
「はぁはぁ…」
ここでアリシアは魔力の高まりがなくなっていくのを感じる。
時間切れだ。
「まだまだだねぇ!」
しかしザラキは立ち上がった。
彼女は剣を捨ててアリシアに殴りかかって来る。
「…!」
時間切れを認識しているアリシアは今の状態でまともに近接戦をしても勝てないと思うと魔法の準備をする。
「究極階梯魔法第十一章、メサイアブレイク!」
魔力で作られたハンマーを振るい敵を押し潰す技。
それがメサイアブレイクだ。
アリシアはザラキの上にそれを召喚すると振るう。
「!!」
ザラキは受け止めようとしたが敵わず押し潰された。
「お嬢様!」
「ようやく抜けれたにゃ!」
同時に仲間達がやって来る。
「…」
アリシア達は明らかに薬の影響で暴走していたザラキを確認するが。
流石に今の攻撃で気絶しているようだ。
アリシアはそれを見てホッと胸に手を当てた。
「勝ちみたいね」
周囲を見渡すと戦闘はほぼ終わっており数分するとアジト内にいた全構成員が倒されサーストン領兵達によって拘束されて行く。
彼等はこれから他のアジトや本部の場所を聞き出すために取り調べが行われる事になる。
「よくやったなアリシア、幹部の確保は十分に大きな功績だ」
アレスは幹部を倒して見せたアリシアの肩を嬉しそうに叩く。
娘が強くなりしっかりと活躍してくれたのが嬉しいのだ。
「さて、戦闘で疲れている所悪いが、他のアジトの場所に繋がる資料を探したい、手伝ってくれ」
「分かったわ、みんな行くわよ」
「はい、アリシア様」
戦闘を終えたアリシア達はアジト内から情報を得るために動き始めた。
〔ザラキの部屋〕
アリシアはザラキの部屋を仲間と共に調べていた。
「見てくださいアリシア様」
「これは…」
早速セレティアが計画書を見つける。
そこには今日令嬢を人質として攫うと言うものであった。
「何か見つけたか?」
「お父様これ!かなり不味くてよ!」
アリシアは母と共に入って来た父に計画書を見せる。
「ちぃ…こちらの襲撃に合わせて動いてこちらが動きにくくなる人質を手に入れようと言う魂胆か…」
アレスはこの令嬢が攫われるとこれからの作戦が行いにくくなると思う。
何故ならこちらが動けば殺すと言われればかなり動きが制限されるからだ。
「テレシア、ここの始末はお前に任せる、良いな?」
「任せてあなた、アリシアちゃんをお願いね?」
「任せろ」
アレスは妻との会話を終えると娘達の前に立つ。
「計画書に書いてある令嬢をこれより救出に向かう、続けての戦闘となるが、行けるか?お前達」
無理ならアレスは一人で行くつもりだ。
闇鴉との戦いを楽にするためにも。
「問題ないわ!行ける!」
問題ないと言うアリシアの言葉にチェルシー達も頷く。
「よし決まりだな、それでは俺に掴まれ、近くまで転移するぞ」
「うん!」
アリシア達はアレスの転移により計画書に書かれている地点の近くに向かって行った。
「間に合えば良いのだけど…」
テレシアはどうにか間に合って欲しいと思いながらこのアジトでの後始末を開始した。




