四話、ネーラ現る
〔サーストン家〕
アリシアが家で父を待っていると帰って来た。
「どうだった?お父様」
「許可が降りたよ、これから兵達に指令を出して来る」
記憶を覗く魔法は専門の魔法使い達がいるため彼等に任せる事となる。
これには五日ほどかかるため待つ事にはなるが通常の手続きよりはかなり早く闇鴉についての情報が手に入るだろう。
「そして関所の者達には既に指令を出して来た、とある馬車や人を全員調べろとな、これで我が領に入る闇鴉の構成員はかなり減る筈だ」
これ以上闇鴉を領内に入れないためにも闇鴉の問題が終わるまでは仕方のない措置と言えるだろう。
「それで良いと思うわ」
テレシアはアレスの対応は正しいと同意した。
「それじゃ行って来る」
家族への報告を終えたアレスは屋敷から出てサーストン領にある刑務所に向かって行った。
「アリシア?あなたはダメよ?」
コソコソ父について行こうとしているアリシアにテレシアは釘を刺す。
「だってうちの領の刑務所の中って見た事ないから見てみたいし…」
「だーめ、十二歳の子供が行く場所ではないわ」
もう少し大人になったら許可するが十二歳の子供と言う時点で行かせることは出来ないのだ。
「はぁい…」
母にダメだと言われたアリシアは渋々引き下がった。
〔王都グランセイス〕
アリシアはニャルカとチェルシーと共にグランセイスにやって来ていた。
まだ情報は出てこないためセレティアを加えて仕事に行くつもりなのだ。
「セレティア〜来たわよー」
セレティアの部屋にやって来ると彼女は本を読んでいた。
「あら?お仕事ですか?」
本を畳んだ彼女は首を傾げ仕事なのか?と聞いて来る。
「うん、何に行くのかはまだ決めてないけど行きましょ?」
「分かりました」
「早速ギルドに向けて出発!」
セレティアを加えた四人は王都の冒険者ギルドに向かう。
聖教会を出てギルドへの近道である路地裏を歩いているとアリシアとチェルシーとニャルカが武器に手を掛けた。
大分経験を積んで来たセレティアも気付いたようで杖を呼び出す。
「ふぅん?聖女様も大分戦闘慣れして来たのねぇ?」
セレティアの背後で声がした。
セレティアは即座に振り返りつつホーリーショットを放つが既に敵はいない。
「お久しぶりねぇ?アリシア」
「ネーラ!」
現れたのはネーラだ。
アリシアは彼女から以前よりも遥かに強い魔力を感じる。
「私は大分強化してもらってね?今日はその力を試しに来たの、お付き合い頂けるかしら!」
ネーラは漆黒の剣を呼び出すとアリシアに斬りかかって来る。
「っ!」
アリシアは確かにかなりの強化だと思う。
以前よりも剣を受け止めた時に腕に走る衝撃が強い。
「でも私だってアレシア様の教えを受けているの!」
ネーラは確かに力は増した。
しかし剣技は特に変わっていないためアレシアの教えにより技量が上がっているアリシアは力を増したネーラを圧倒する。
「ふふっ、画力で劣るのは分かっているわ!だからこそよ!身体能力で圧倒してあげる!」
全開を出したネーラは身体能力で無理矢理アリシアの剣技について行く。
「やるわね」
アリシアはネーラの動きに感心しつつならばとミーティアを発動させた。
「くぅ!?」
ミーティアを発動させていないアリシアについて行けたネーラであるがスピードと剣技を合わせたアリシアには再びついて行けず。
華麗な三連撃を喰らった後強烈な回し蹴りを受けて壁に激突する。
「チッ…ここまで強化してもこうなるのか…」
アリシアにまた負けたネーラは悔しそうに少女の顔を見る。
「ねぇ?思ったんだけどあなた達魔族ってもしかして闇鴉と繋がってるんじゃない?」
アリシアは人攫いの理由に一つ思い当たる事があった。
それは人間を生贄にしての魔王の復活だ。
「さぁ?何のことかしら?」
しかしネーラは答えず転移して逃げて行った。
「毎度毎度逃げ足が早いですね」
セレティアは逃げて行ったネーラを評して逃げ足が早いと言った。
「逃げ足の早さも必要な事ですよ?セレティア、死なないためにもね」
死なない立ち回りをしているネーラは厄介な敵だと言える。
「なんだか魔族が関係してそうな気がするにゃあ?」
今の会話を聞いてニャルカは怪しいにゃと思う。
「そうね、魔王の復活のための生贄集めと考えると辻褄が合うわ」
魔王の復活のためには大量の生贄が必要であるそのための生贄集めを闇鴉を使って行っているのだとすれば辻褄は合う。
「まぁあくまでも予想で闇鴉と魔族が繋がっているのかどうかとかはまだ分からないけどね」
「それも含めて五日後に期待ですね」
チェルシーの言葉にアリシアは頷く。
「それではギルドに行きましょう」
セレティアにギルドに行こうと促されたアリシア達は頷くと歩き出し路地裏から出て表通りに出た。
「ん?何か騒がしいわね?」
「!」
「見てください!アリシア様!火事です!」
表通りの一軒の家が燃えている。
「アレはどうしたの?」
「怪しいフードを被った奴が火を付けたんだ」
「その人はどこに行ったの?」
「転移して逃げたよ」
アリシアは残念だと思う。
転移せず足で逃げていたら捕まえられそうだと思ったのだが。
「仕方ありませんよお嬢様」
「そうね」
転移した者を追いかけるのはかなり難しい。
アリシア達は犯人を捕まえられなかったと思いつつギルドに向けて歩き始める。




