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一話

〔サーストン家〕


家に帰って来たアリシアが父の元に向かう途中ニャルカが中庭で日向ぼっこしている姿を見かけたので近付く。


「お帰りにゃあ、アリシア」


ニャルカはあくびをしつつアリシアにお帰りと行って来た。


「ただいまニャルカ、闇鴉って話したでしょ?」


「あーこの前言ってたにゃ、そいつらがどうかしたかにゃ?」


ニャルカは首を傾げる。


「相手をすることになるかもしれないわ、だから先に伝えておくわね」


「分かったにゃ、準備しておくにゃ」


「うん、頼んだわよ」


ニャルカとの会話を終えたアリシアは父の元に今度こそ向かい部屋の扉をノックした。


「領兵から聞いている、闇鴉がうちの領民を攫おうとしていたようだな」


「うん、私が止めたわ」


「よくやってくれた、他の領で最近人攫いが起こっていたんだが、我が領にも来たようだ」


領主であるアレスには王都から人攫いを行っている者達がいると報告が来ていた。


そのため警戒体制を敷こうとしていた所であったがアリシアがなんとか防いだのを見るに今日中にも体制を敷いた方が良さそうだと思う。


「あの人達って攫った後その人をどうしているの?」


アリシアは闇ギルドが人攫いをすることは知っているがその先で何をしているのかは知らない。


そのためそれを父に聞いた。


「奴隷にしたり違法薬を作っている奴等はその実験体にしたりする」


他にもあるがまだ十二歳であるアリシアには言えない事だ。


「酷いわね…」


「そうだ、だからこそ闇ギルドは出来る限り潰して行くべきなのだが、規模が大きい闇ギルドは逃げ足も早い、ギルドがあった場所に乗り込んでも誰もいなかったりする」


被害が出ている領は闇鴉潰しに動き始めているのだがアレスが言っているように潰されないように逃げ足が早いため中々尻尾を掴めていない。


被害をなくすために領主達としては潰したいのだが中々潰せないと言う状態だ。


「うちの領の方針としては?」


「とりあえずは兵を動かし闇鴉についての情報を集めるところから始めよう、まぁ情報を見る限り我が領には奴等の拠点はないはずだがな」


サーストン領は闇ギルドの構成員が悪さをしに来ることはあるが本拠地を置いているギルドはない。


何故なら非常に兵力が高い領地であり本拠地など置いたらあっという間に探し出されて潰される。


そのため闇ギルドはサーストン領には本拠地は置かないが悪さはしに来ると言うのが現状だ。


「人攫いとかしに来る時点で放ってはおけないわよね、うちの領民に被害が出るかもしれないのだもの」


「うむ、とりあえずは何か情報が分かればお前に伝えるから、それから動いてくれ」


「分かったわ」


アリシアは父の言葉に頷くと父の部屋を後にする。




〔アリシアの部屋〕


部屋に戻ったアリシアにチェルシーが話しかける。


「お嬢様、動くおつもりですか?」


「お父様に言われたでしょ?情報が集まってから動けって、勝手な事をして怪我をしては意味はないわ」


アリシアの言葉を聞き情報が集まるまでは動かないつもりだと理解したチェルシーは頷く。


「ただ今日みたいに攫おうとしているとかそんな状況に出くわしたら当たるわ」


「そうですね、ああ言う状況を見たら放っておくべきではないです」


勝手に動くことは無いが今日のように人攫いや違法な売買をしている様子を見たらアリシアとしては邪魔をさせて貰うつもりだ。


領主の娘として犯罪を見過ごすつもりはない。


(ふふっ今の私を前世の私が見たら驚くでしょうね)


アリシアは思う。


前世の自分が今の自分を見たら確実に驚くだろうと。


何故なら喧嘩に明け暮れ小犯罪をしていたからだ。


そんな前世であった自分が今では犯罪を防ぐために動いているのだからアリシア自身も人とは産まれた環境によって生き方が変わるのだなと思う。


「どうかしましたか?」


チェルシーはそんなアリシアを見てどうかしたのか?と聞く。


「私の前世が今の私を見たら驚くだろうと思っていたのよ」


「そんな悪い人だったんですか?」


「ええ、人種としては闇ギルドの奴等みたいな奴よ、前の私はね」


「なるほど、でも今のお嬢様は違いますよ、ああ言う人達とは」


チェルシーはしっかりと言葉にして今のアリシアはそう言う人種ではないと言う。


「ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいわ」


アリシア自身も今世で変われたことを嬉しく思っている。


だからこそだ人のためになる行動をして行きたいそう思っているのだそして今のアリシアはそれを実行している。


「さっお嬢様、お風呂に行きましょう」


「ええ」


チェルシーとの会話を終えたアリシアは彼女と共にお風呂に向かう。




浴室に入るとテレシアが先に入っていた。


「あらアリシアちゃん、今日は久しぶりにお手柄だったってあの人から聞いたわ」


「ふふん、お父様の娘として当たり前のことをしただけだわ」


そう言ってアリシアはそこそこな膨らみになり始めた胸を張る。


少し前までのようにもう平原ではない小山にはなり始めた。


まだあくまでも小山だが。


「ふふっそうね」


テレシアはアリシアの言葉を聞いて嬉しそうな顔を見せる。


アレスの娘として自分から動ける娘を誇りに思っているのだ。


「話は変わるけど大きくなり始めたわね」


テレシアはアリシアの胸を見ながら言う。


「うん、お母様のみたいになるかも」


母のモノはアリシアにとっては憧れだそのため目をキラキラさせながら言う。


「スカーレット家はみんな大きいから十分にあり得るわ、後サーストン家も女の子が産まれると中々にナイスバディな人が多かったみたいだから、その両方の血が入っているあなたは大きくなる可能性が高いわね」


「楽しみだわ」


話しているとチェルシーが髪と体を洗い終えたのでアリシアはいつもありがとうと彼女に伝えてから湯船に浸かる。


アリシアの体を洗い終えたチェルシーは自分の体を洗い始める。


「明日はどうするの?」


「いつも通りよ、レッスンが終わった後にギルドに行ってくるわ」


「そう、なら明日は私も行こうかしら、たまには実戦をしておかないと鈍るしね」


鈍っても強いのがテレシアではあるが鈍らないように定期的にアリシアについて来るのだ。


「分かったわ、明日は一緒にお仕事ね!」


「ええ!」


こうして母と共に依頼を受けることを決めたアリシアは浴室から出ると髪が乾くのを待って眠りに着いた。

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