十二話
〔サーストン家〕
神との会話を終えてムクリと身を起こしたアリシアは朝起きるといつも部屋の中に控えているチェルシーの方を向く。
「今日は随分と寝覚めが良いですね?お嬢様」
いつもはまだ寝るーだとか後五分ーだとか言い出すのだが。
今日は随分とさっさと起きたのでチェルシー的に驚きだ。
「神と話をしたのよ、私が剣聖の加護を受けてるのか?って」
「なるほど、どうだったのですか?」
「剣聖の加護をアレシア様から受け継いでるってさ、なんで言わないのかしらね?あの神様は」
神に対しては辛辣なアリシアである。
「どうせその方が面白いからとか言ったんじゃないですか?」
妹のように思い可愛がっているアリシアに対して何かと適当な事を言う神に対してはチェルシーも思うところがあるので辛辣である。
「言ったわよ」
「私の斧で潰してやりたいですね」
「…やめなさい、一応神だから世界崩壊するかもしれないわよ」
「チッ」
やはり辛辣である。
「条件は?」
「教えてくれなかったわ、まぁそれに関しては私自身で手に入れるべきだと思うし、教えてくれなくても構わなくてよ」
「お嬢様らしいですね」
チェルシーは実にこの令嬢らしい言葉にクスクスと笑う。
「さてとお父様とお母様にも報告しに行くわ」
「はい」
チェルシーがアリシアの着替えをさせ二人はまずはアレスの元に向かう。
〔アレスの部屋〕
アレスが仕事を始めようとしていると娘が部屋に入って来た何気付く。
「どうかしたか?アリシア、今日の修行の時間は十一時からの筈だが」
アレスとの修行の時間は毎日この時間にすると決まっている。
そのためまだ時間ではないと言ったのだ。
「今日夢の中で神と話をしたの」
「剣聖の加護についてか?」
アレスは若干前のめりになりつつ言う。
何代もの間継ぐことが出来なかった加護をアリシアが継いでいる事が判明したのでは!?と思ったからだ。
「うん、私が継いでるみたい」
アリシアは軽く継いでいると言った。
「おお…」
アレスは思う。
遂に継ぐ者が現れてくれたかと。
剣聖の加護を継ぐ者が産まれる事はサーストン家の悲願だったのだ。
「アリシア、今日の予定は全て中止だ、父上の元に行くぞ」
アリシアが剣聖の加護を継いでいる事は一族にとって一大事だそのためアリシアにとっては祖父になる人物に報告しに行く必要が出て来る。
「分かったわ、でもその前にお母様にも言って来るわね」
「分かった、テレシアも一緒に行くから連れて来てくれ」
「うん、それじゃまた後でね、お父様」
「うむ、玄関で待っている」
アリシアは父と別れると今度は母の部屋に向かう。
〔テレシアの部屋〕
テレシアが朝食を食べていると娘がやって来たのに気付く。
「あら?アリシアちゃん、一緒に朝ご飯食べたくなったのかしら?」
テレシアは愛情に満ちた笑顔をアリシアに向けてくれた。
「違うの、私に剣聖の加護が与えられてるみたいなの、それをお母様に言いに来たの」
「なるほどねぇ、随分と剣の才能に溢れてるなって思ってたけどそう言うことね」
「うん、まぁでもまだ覚醒前なんだけどね」
覚醒前でも才能に溢れているのがアリシアの凄い所である。
「なるほど、アレスにそれを言ったのかしら?」
「言ったわ、だから今からお爺様の所に行くって、お母様と来て欲しいみたい」
「分かったわ、準備するから少し待ってて?」
化粧などテレシアには女性としての準備がある。
まだ十二歳であるアリシアは服を着替えるだけで良いのだがテレシアの準備は短くても十五分は掛かるのだ。
「はーい、お父様と一緒に玄関で待ってるわね」
アリシアは母に近付くと一度抱き着き抱きしめてもらって甘え。
親子で頬にキスをし合ってから玄関に向かって行った。
〔サーストン家〕
玄関にやって来ると父が待っていた。
「お母様準備があるから早くても十五分は掛かるわよ、お父様」
アリシアはそう言うと父と目を合わせた。
剣の修行やろうぜ!と言っているのだ。
「十分にやれる時間はあるな、よし、セバスチャン、木剣を持って来てくれ」
「承知いたしました」
セバスチャンは素早く木剣を持ってやって来た。
そして二人に手渡す。
「行くぞ!アリシア!」
「うん!お父様!」
二人は早速剣の修行を始めた。
アレスはアリシアが幼い頃とは違って本気でアリシアに向かって行く。
アリシアも父の本気に着いて行けるようになっている。
「…」
アリシアは昨日の戦いで感じた戦闘中にスローになる感覚がない事に気付く。
(アレも何か条件があるのかしら…)
そう思っていると父が突きを放って来たため対応してパリィする。
父の剣が跳ね上がったため懐に潜り込むと首に剣を突きつけた。
「ふふっ、また私の勝ちね!」
頻度は少ないがアリシアはアレスに対して一本をたまたまではなく確実に取れるようになり始めている。
これもやはり剣聖の加護を持つ者であるからなのだろう。
「やるな、私も負けてられん!」
アレスは娘の才能を喜びそして剣士として闘志が沸るのを感じる。
アリシアを確かな実力者として認め互いに高め合える存在として認めたのである。
「私だって負けないわ!」
アリシアも燃え上がる。
「燃えているとこ悪いけど私が来たから終わりね」
「…」
「…」
良い所だったのに…と父と娘で肩を落とした。
「ほらお父様のところに行くわよ!」
「うむ」
「うん」
テンションが落ちた二人はテレシアに引っ張られて祖父の家に向かうのであった。




