九話
〔ファタルテルテ〕
アリシア達はファタニカ領の首都であるファタルテルテを歩いている。
「温暖な気候の街なのにこうなるって本当に凄いわね」
「ええ…これが一体の魔物が引き起こしてる事態なのが驚きなのですわ…」
アインスベルク一体でこの異常気象を起こしている時点でかなり強力な魔物だ。
情報が集まり次第戦う事になるが心して挑む必要がある。
「とりあえずは氷漬けにされないように立ち回る必要があるのよね」
「私は風属性、吹雪系の魔法なら跳ね返せると思うにゃ」
ニャルカは風魔法で暴風を起こせる。
そのためアインスベルクが吹雪系の魔法を放って来たら跳ね返す事が出来るかもしれない。
「私はそもそも炎属性ですから今回の戦いは有利かもしれません」
アインスベルクは氷属性だ。
チェルシーが持つ炎属性は弱点属性であるため有利なはずである。
「私も炎ですわ、チェルシー、今回の戦い私とあなたが起点となるかもしれませんわね」
強敵との戦いで弱点属性を持つ者が二人もいるのはかなり有利になる筈だ。
「私は星属性、相手が氷なら有利でも不利でもないわねぇ…」
光属性の有利属性は闇系で弱点属性も闇系属性だ。
他属性で弱点属性は存在しないそのため光系と闇系属性は他属性と比べると弱点が少ない点もメリットとなる。
「お嬢様はいつも通りミーティアでの撹乱と星属性魔法での攻撃をしてくれれば良いと思います」
いつも通りにしているだけでアリシアは強い。
そのためチェルシーはこう言った。
「分かったわ」
アリシアはメイドの言葉に頷く。
「それにしても滑るにゃあ…私寒いの嫌いだから雪はあんまり慣れてないのにゃ…」
苦手なのでそもそも寒い地域にはあまり近付かないのがニャルカだ。
そのため雪の上を歩くのは慣れていない。
「私は寒さは好きでも嫌いでもないけど、雪の上で戦う事に慣れてるわけではないわね」
アリシアとチェルシーは依頼があれば寒い地域にも行っていたが積極的に行くわけではないのでニャルカと同じく慣れてるわけではない。
「私も同じですわ」
全員雪の上での戦闘経験が少ないと言うのが現状だ。
そのためアインスベルクと戦うまでの間にギルドで依頼を受けて慣れておくのが良いだろう。
そうする事で確実に勝率は上がる。
「にゃふ!」
話しているとニャルカがバタンと倒れた。
盛大に顔から行った。
「だ、大丈夫…?」
アリシアは顔から行った猫娘を助け起こした。
「大丈夫にゃ…本当慣れないとこんなの強い魔物と戦えるわけないにゃ…」
「そうね」
話を終えたアリシア達はギルドに向かうと依頼を受けて街を出る。
〔フイルクーマ平原〕
まずは小手調べとしてゴブリンの討伐依頼を受けた四人はゴブリン達を探していた。
「見つけたわ」
「はい」
ゴブリンさん宅も雪景色に覆われている。
ここフイルクーマ平原に住まうゴブリン達は近くの農場を襲うため定期的な討伐を行い数を減らす必要がある。
「早速仕掛けるわ、ニャルカ、援護をお願い!」
「了解にゃ!」
援護を頼まれたニャルカが先手を取るために三体のゴブリンを撃ち抜いた。
それにより襲撃に気付いたゴブリン達がこちらに向かって駆け出して来た。
アリシアは受けて立ち近くにまで迫るが靴が滑る。
「つぅ!?こんのぉ!」
滑った事で隙が出来る。
ゴブリンはニヤついた顔を見せて剣を振り下ろして来るが。
アリシアは気合いで踏ん張り直し下から剣を振り上げて斬り伏せて見せる。
「はぁ!」
チェルシーは斧を振いながら思う。
この地面ではいつもと違い踏ん張りが弱くなると。
斧を使っての質量攻撃が主であるチェルシーはもっともっと経験を積んで慣れていかなくてはならないと思う。
「後少しですわ!」
残るゴブリンは五体。
サレナは敵に迫り突きを放とうとしたが大きく靴が滑り転けてしまう。
それを見たゴブリンはサレナに馬乗りになると槍を首に狙って突き出す。
「させないわよ!」
ミーティアを使って飛んだアリシアがゴブリンの首を斬り飛ばし。
真上に飛んで馬乗りになっているゴブリンの死体を退かせたサレナは矢を放とうとしている二体を纏めて斬り伏せる。
「助かりましたわ!アリシア!」
「ええ!」
声を掛け合った二人は同時に地面に着地しつつ残りのゴブリンを斬り伏せて戦闘を終了させた。
「ふぅ、勝ったけど危ない場面が結構あったわね」
「ええ、やはり慣れておかないとアインスベルクなんて強敵とは戦えませんわね」
戦闘経験が確かにあるアリシア達でも慣れない環境だと危ない場面が出てしまう。
だからこそだ強敵と戦う前に慣れるためにこうして依頼を受けて経験を積んでおくのは必要である。
〔ファタニカ家〕
依頼を終えて屋敷にアリシア達は戻って来た。
「それじゃ今日はこれで帰るわね、明日も来るから一緒に依頼を受けましょ?」
「ええ、待っていますわ」
アリシアは手を振るとチェルシーとニャルカと共に転移してサーストン領に帰って行った。
「あー寒い寒い、お風呂に入って暖まるとしましょう」
アリシアを見送ったサレナは冷えた身体を暖めるため浴室に向かうのであった。




