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一話、冒険者ギルド

〔サーストン家〕


さらに月日は流れアリシアは十二歳となっていた。


神によると何か起こる年なようだが今のところは何も起きてはいない。


「チェルシー?、今日はギルドで依頼を受けてからダンジョンに行くわよ」


アリシアは十四歳になったチェルシーに近付くとダンジョンに行こうと言う。


「はい、分かりました、斧を取って来ますね?」


アリシアにこの七年間散々振り回されたメイドは最早何も言わない。


このご令嬢と一緒にダンジョン攻略などするのは最早チェルシーにとっては日常なのだ。


メイドはご令嬢の言葉に頷くと武器である斧を取りに向かって行った。


それを見送ったアリシアは玄関に向かう。




〔サスノリア〕


家から出て街に出たアリシアはチェルシーと共にギルドに向かっていた。


「ねっ!、今日はどこのダンジョンに行く?」


「近くの初級ダンジョンの最深部に最近強力な魔物が住み着いたそうですよ」


「あら、楽しそうじゃない」


ならば今日の相手はその最深部に住み着いた魔物だと思うアリシアはふと路地裏に目をやる。


「あらあら、何か揉め事のようだわ?」


「みたいですね」


「全く…」


アリシアはチェルシーを連れて揉めている者達に近付いていく。


「そこのあなた達?、何をしているのかしら?」


アリシアは揉めている者達の元に行くと腕を組む。


「あぁ?、こいつがぶつかって来たから慰謝料を取ろうとしてんだよ!」


「ふぅん」


アリシアはそのこいつの容姿を見る。


明らかに気弱そうな男で明らかにいちゃもんを付けられた様子だ。


「本当にあなた、この人達にぶつかったのかしら?」


「ぶ、ぶつかってない!」


「あら?、そうなの?、でもこの大男さんはあなたがぶつかったと言っているわ?」


アリシアは大男の方を見ると首を傾げた。


「ぶつかったって言ってんだろうが!」


「本当?、嘘はついていない?」


「嘘なんてついてねぇ!」


大男は明らかにイライラした様子だ。


「アニキ…よく見るとこいつ…サーストン家の…」


下っ端がアリシアの顔を見て正体に気付いたようだ。


「…まさか!」


大男も暗いため目を凝らしてアリシアの顔を見ると驚く。


「殲滅姫!」


「んっ!」


殲滅姫と呼ばれたアリシアは咳払いする。


大男が言う殲滅姫とは父が受けた依頼を修業としてアリシアがチェルシーと共に肩代わりして受けて悪人やら悪徳貴族をボッコボコにして回っていたら付けられた二つ名である。


アリシア本人からすると可愛くない!と不服な二つ名だ。


「ヤバいっすよ!、敵う相手じゃないっす!」


「く、くそ!」


大男は逃げようとする。


その時点で気弱そうな男性にぶつかられたと言うのは嘘だ。


「待ちなさい?、嘘はいけないわ?、だからこの人に謝りなさいな?」


アリシアは男の背後に一瞬で移動すると肩を掴む。


(う、動けねぇ!)


男は振り払おうとするがアリシアの手はびくともしない。


「す、すみませんでした…」


こうなれば謝るしかないと思った男は気弱そうな男に謝る。


気弱そうな男は頷くと走って離れて行った。


「それじゃ私達もごきげんよう」


アリシアは背を向けてチェルシーと共に再びギルドに向かおうとする。


「喰らえやぁ!!」


まだ幼さの残る子供に良いようにされたと怒る大男はアリシアに向けて拳を振るう。


「全く…」


アリシアはこの拳を避けると掴み男を持ち上げながら宙で一回転すると地面に叩き付けた。


「くはっ!?」


大男はその一撃で気絶する。


「そこのあなた?、このお馬鹿さんを病院に連れて行ってあげなさいな」


アリシアは下っ端にそれなりなダメージを受けた男を病院に連れて行けと言う。


「は、はい!」


下っ端はアリシアにビビりながら大男を引きずり病院に向かって行った。


「良い準備運動になったわ」


アリシアはんーと体を伸ばすと表通りに戻り冒険者ギルドに向かう。



〔冒険者ギルド〕


ここは冒険者ギルド。


世界各地に支部が存在し魔導士達に様々な仕事を斡旋する場所だ。


「ごきげんよう、ミランダ」


カウンターにやって来たアリシアは受付嬢ミランダに冒険者カードを渡してから話しかける。


「あら、アリシアちゃん、今日はどう言ったご用件でしょう?」


「初級ダンジョンの最深部に強い魔物が現れたと聞いたわ?、私が倒そうと思って依頼を受けに来たの」


「黒騎士ね、アリシアちゃんなら大丈夫だし、はい、登録したわ」


冒険者カードに依頼を記録させる事でクエストを受注した事となるのだ。


「今回の黒騎士はAAランクの魔物だから注意してね?」


魔物にはランク付けがあり。


Gランクから始まりSランクが最高難易度となる。


AAランクはかなり強い魔物である証拠だ。


「すぐに倒して戻ってくるから期待してて?」


アリシアはミランダに手を振るとギルドから出て行った


「本当にすぐに帰って来そうなのよね…」


「あの歳で六等級ですものね…」




サーラナンデ平原


サスノリアから出るとサーラナンデ平原が広がっている。


このサーラナンデの中に初級ダンジョンはあるのだ。


「お嬢様、初級ダンジョンの場所はか覚えておりますか?」


「もちろんよ」


初級ダンジョンはサーラナンデの東側にある。


そしてサスノリアからは三十分ほど歩いた距離だ。


「また見つけた魔物に気を取られてダンジョンの反対側に進んだりしないでくださいね?」


「し、しないわよ…」


「本当ですかー?」


前科があるためチェルシーはご令嬢に疑いの視線を送る。


「本当よ」


「なら信じます」


そんなやり取りをしていると戦闘音が聞こえて来た。


冒険者達がスライムと戦っているようだ。


「私達もスライムと戦ったわね」


「…いきなりキングスライムでしたね」


アリシアが八歳の頃戦いを挑んだのがキングスライムだ。


一時的に呑み込まれたがコメットボムを炸裂させる事で難を逃れた。


「アレは中々に強敵だったわ」


「お嬢様を一時的にとは言え呑み込みましたからね」


「今回の黒騎士も強ければ良いのだけれど!」


黒騎士と戦うのを楽しみにしているアリシアはワクワクした顔を見せる。


「AAランクで間違いなく強いのでお嬢様の期待に添えるかと」


「そうよね!」


楽しみ!と思いながらアリシアは歩き初級ダンジョンに辿り着く。


「さぁ入るわよ、準備はよくて?」


「もちろんですお嬢様」


「それじゃ出発!」


ご令嬢とメイドはこのダンジョンの最奥地に住み着いたと言う黒騎士を倒すためダンジョンに入って行く。

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