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七話、異常気象

〔エスタの洞窟〕


今回受けた依頼はバスターリザードマンの討伐依頼。


この洞窟はこの先にあるミツハマ領に繋がる洞窟なのであるがリザードマン族の中でもかなり強いバスターリザードマンが住み着いた影響で通行止めになっている。


今回の依頼は通行止めになってしまったこの洞窟を通行可能にするための依頼である。


「いたわね」


洞窟を進むと今回の相手が見えて来た。


バスターリザードマンは両肩にキャノン砲が付いたリザードマンであり両肩のキャノン砲からビームを放って来るため強力な魔物としてAAランクに位置付けられている。


「注意してください皆さん、情報によると索敵能力が…」


高い。


チェルシーはそう言おうとしたが言い終わる前にリザードマンは撃ってきた。


それを見たアリシアが前に出てビームを斬り払って仲間を守る。


「みんな!戦闘開始よ!怪我はしないでね!」


「了解だにゃ!」


先鋒としてニャルカが両手に持つ魔導銃から連続して弾を放つ。


「クエエ!」


リザードマンはそれを避けて再びビームを放つがチェルシーが斧でそれを防ぎビームが放たれるのと同時に横っ飛びし壁を走るアリシアがリザードマンの側まで来ると壁を蹴って顔に向けて全力の回し蹴りを命中させた。


「キェー!」


壁に激突したリザードマンであるがその状態からビームを撃って来た。


ダメージを受けても即反撃して来る時点でかなり強い魔物である。


「させませんよ!」


セレティアがシールドでアリシアを狙った攻撃を防いだ。


続けてニャルカが魔道弾を確実に命中させてダメージを蓄積させて行く。


「キェェェ!!!!!!」


ダメージを喰らうリザードマンが怒る。


これまでの攻撃とは違い拡散するビームを放って来る。


「つぅ!」


突然の攻撃方法の変化に対応出来なかったアリシアとチェルシーが被弾したが歴戦の戦士である二人はこの程度で怯んだりはしない。


被弾しつつも走りアリシアが突きを放ちこれは避けられたが続けてのチェルシーの真上からの振り下ろしにリザードマンは避けられずに命中し斬り伏せられた。


「中々強かったですねお嬢様」


「ええ、服破れちゃったわ」


ビームが被弾した服は穴が開いてしまっている。


アリシアはやってくれたなぁと頬を膨らませた。


「あはは、こう言う仕事な時点で服にダメージが入ったりするのは仕方ありませんよ」


頬を膨らませているアリシアを見てセレティアがまあまあと宥める。


「分かってるけどさぁ…」


アリシアはセレティアの言葉に頷きつつ何やらとても寒く感じ体をぷるると震わせた。


「戦ってた時はなんとも思わなかったんだけどなんか寒くない?」


「確かにこの先のミツハマ領は温暖な気候のはずですが…」


アリシア達は異様に寒い事を不思議に思いつつ洞窟を抜けた。


そして驚く。


「なっ…」


何故ならまだ夏だと言うのにミツハマ領には雪が降っていたからだ。


「明らかに異常ですよお嬢様…」


「ええ…」


寒いわけだと思いながらアリシアは何か原因があるのではないか?と周囲を見渡す。


すると空に何か飛んでいるのが見えた。


「鳥…?」


「あの鳥が飛んだ後を追うように雪雲が出来て行ってるにゃ…」


アリシアは王から頼まれた依頼を思い出す。


最近起こっている異常気象についてだ。


どうやらそれを引き起こしているのは既に遠くに離れて行っているあの魔物のようである。


「アレが異常気象の原因みたいね…」


「そろそろファタニカ領に行ってみませんか?お嬢様」


「そうね、アレは放置していて良い魔物ではないわ」


アリシアはファタニカ領に行って話を聞く事に決める。


「私も同行したいところなのですが明日は催事がありまして…」


セレティアは申し訳なさそうに明日は用事があると言う。


「いいわよ、聖女としての仕事があなたにとっては大切なのは分かるもの、それに明日話を聞いてすぐにアレと戦うわけではないしね」


冒険者ギルドで氷漬けにされた者達を見ているアリシアは何も対策せず戦うつもりはない。


何も対策せずに向かってそれで死んだらただの愚か者だからだ。


「ありがとうございます、明後日は大丈夫ですので」


「ええ、それじゃ帰りましょうか」


「はい」


話を終えたアリシア達は街に帰る。


そしてアリシア達が帰る頃にはアレがもたらした雪雲は消えてなくなり夏空が戻って来ていた。




〔サーストン家〕


家に戻ったアリシアはアレスの元に来た。


「どうかしたか?アリシア」


「この前王様からファタニカ領で起こってる異常気象の解決を依頼されたって言ったでしょ?その調査に明日から向かおうと思ってるから明日伺うって連絡を入れておいて欲しいの」


いくら領収一族同士でもなんの連絡もなしにいきなり家に現れるのは大変失礼である。


そのため行く前に連絡をしておく必要があるのだ。


「分かった、連絡をしておこう、それも注意するんだぞ?アリシア、私も聞いているが今回の相手は人間を氷漬けに出来る魔物だ、かなり危険な相手だぞ」


「分かってるわ、油断せず対処する」


「うむ、必ず倒して無事に帰って来い」


アレスは危険だと言っているがアリシアが負けるとは思っていない。


必ず勝利して無事に帰って来ると信じている。


「ええ」


アリシアは父の言葉に力強く頷くと部屋から出て行った。



〔ファタニカ家〕


ファタニカ家に魔道通信でサーストン家からの連絡が入る。


王の依頼でファタニカ領の調査にアリシアが向かうと。


「アリシアが来ますの!?」


父からの知らせを聞いたサレナは目を輝かせる。


幼い頃からお茶をしたりピクニックをしたりとして来た幼馴染の少女が来ると聞いて。


「あぁ、私の話を聞きにここに来る、その後は原因である例の魔物の棲家を探すようだ、サレナ、お前はアリシア嬢に同行し力を貸してやれ」


「分かりましたわ!必ずやファタニカ領の危機を救ってみせます!」


「期待しているぞ」


サレナの父レイスは娘の肩を叩くと部屋から出て行った。


サレナもワクワクした様子で自分の部屋に帰って行くのであった。

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