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十二話、全力全開

〔王城〕


王城内にて魔族の第二形態へと変異したネーラとアリシア達が対峙している。


「うふふ、あなたがいくら強くても第二形態になった私には勝てないわ!」


ネーラが消えアリシアの背後に一瞬で現れると剣を振るう。


アリシアは反応して腕で防ぐが吹き飛ばされた。


「アリシア!」


ネーラがアリシアに追撃しようとするがアレスが炎でそれを防ぎチェルシーがネーラの横っ腹に全力で斧を叩き付けたが切り傷すら付かずに止められた。


「あらあら?効かないわ?どういう事かしら?」


「くっ!」


チェルシーはすぐに引こうとするが間に合わないので斧で彼女の突きをなんとか防ぐが続いての回し蹴りには対応出来ずに蹴り飛ばされた。


「あはは!!!!!!本当に素晴らしいわ!この力もこの体も!!」


ネーラはこのままアリシア達を殺せると確信して高笑いをする。


「ねぇ?あなた」


壁に激突して破り別の部屋にまで吹き飛ばされていたアリシアが穴から現れる。


「あーら?どうしたの?殺されに来た?逃げれば見逃してあげたのに」


ネーラは勝ちを確信しているためニヤニヤと笑いながら話す。


「私とチェルシーが今まで全力を出しているとでも思っていたのかしら?」


「どういう意味よ?」


「答えは簡単よ?見せてあげる」


アリシアは首に付けていた首飾りを外した。


チェルシーも同じくイヤリングを外す。


「なっ…!?」


その瞬間アリシアとチェルシーの元から強かった魔力が爆発的に増加する。


「驚いているようだな?この二人は私が課した修行の一貫で魔力を魔導具で制限していたのだ、魔力に頼らず敵を倒すと言う修行を行わせるためにな」


魔力頼りでは真の強さを得る事は出来ないだからこそアレスは娘と弟子に半分しか魔力が使えなくなる魔導具を身に付けさせていたのだ。


「それじゃ…まさか…」


「そうそのまさかだ、魔導具を外し力を完全解放した、アリシアとチェルシーとお前では強さの格が違う」


その言葉と同時にアリシアとチェルシーは魔力を全開で解放した。


「あ、あ…こ、このぉ!!」


ネーラは二人の圧倒的な魔力量をその身に感じ一瞬後退りをしたが自身に与えられたこの王都を落とせと言う命令を思い出しアリシアに向かって行く。


「怖くても向かって来るその勇気は認めてあげる、でもね?あなたは私とチェルシーに怯えたけど一つ忘れていないかしら?お父様は全力を解放した私達よりも強いわよ」


アリシアは軽くネーラの攻撃を止めつつ話す。


「く、くそぉ!!」


考えないようにしていたことを言われたネーラは更に焦る。


この二人にすら勝ち目がないのにアレスはもっと強いと言う時点でもう完全に勝ち目がないのだ。


「最近魔族になって少し瘴気を与えられて強くなった気でいるあなたに身の程を教えてあげるわ」


ネーラを振り払ったアリシアは左手を突き出す。


「究極階梯魔法第二章メロウメタニア!」


究極階梯魔法第二章メロウメタニアは敵の周囲に無数に召喚した魔法陣からビームを放ち逃げる隙すら与えずに殲滅する技だ。


魔力が制限されている状態ならば使えない魔法であるが今なら使えるアリシアの必殺技の一つである。


「ネメシスバースト!」


ネーラも簡単にやられるつもりはない。


己の周囲に向けて攻撃的な魔力をばら撒く技であるネメシスバーストを放つが。


メロウメタニアは軽く打ち破りネーラに次々とビームを着弾させて行く。


「ぐぁぁぁぁ!?」


ネーラは無数のビームをその身に受け手も足も出ずに呑み込まれて行った。




メロウメタニアが終幕しアリシアは敵の様子を確認する。


するとネーラが力なく地面に倒れていた。


「よくやってくれた、アリシアよ」


王はアリシアに感謝しつつネーラに近付いて行く。


魔にその身を堕とした自身の息子をその手で終わらせるつもりなのだ。


「せっかく追い込んだところ悪いんだけどぉ、この子は私達にとっても有望株なんだよねぇ?だから回収させてもらうね」


しかしリルスが現れてネーラを転移させた。


「おっと!危ないなぁ?」


王が覚悟を決めていたのに邪魔をしたリルスに斬りかかるが避けられる。


「それにしても驚いたよ?アリシアちゃん、この前の魔力量が全開じゃないのは分かってたけど、そんなに強いなんてね?」


「七年間毎日鍛えてきたもの、その成果よ」


特に魔力制限を始めてからの伸び率がアリシアもチェルシーも高いのだ。


「凄い凄い、私も負けてられないなぁ?」


リルスがそう言うと魔力を解放した。


「!、ほほう、先程の元第二王子よりも強いのか」


アレスがリルスの力に感心する。


「まぁねぇ、私が何年生きてると思ってるの?まぁでもそこの二人を同時に相手をするのは厳しいのは変わらないけどね」


リルスが魔力を収めた。


「今回は負けを認めてあげるよ、でもいつかこの国も他の国も全て魔王様がその手中に収まる日が来る、その日まで精々無駄に生きていると良いよ」


リルスが言葉を言い終わるのと同時にアリシアが斬りかかるがリルスは転移して消えた。


「むぅ逃げられたわ」


アリシアは逃げられた事に口を尖らせる。


「構わぬ、奴等が繰り出してきた最高戦力であるネーラに何もさせずに撤退させただけでも十分な戦果だ」


もしアリシア達がネーラを止める事ができなかった場合王は殺されていただろう。


『王様が死んでたら奴等この国の人達を贄にしまくって魔王が復活してましたから、よくやってくれましたよーアリシア』


「…これが十二歳に起こる有事で良いの?」


アリシアはまたしても急に話しかけてきた神に質問する。


『そうですよ〜そしてこれでチャイルドシート期間は終わりです、ここからはあなた自身の手で考えて動きこの世界を守ってください、それはそれとして倒しておかないとまずい魔物の討伐を頼みたいのでよろしくお願いしますねー』


神はそれではと言うと念話を終了した。


「神か?」


「ええ、これで一応解決で良いみたいだわ」


「なるほど、今知らせがあったが外の第二王子派の討伐も完了したようだ」


それを聞いたアレスが外を見ると戦闘が終わっているのを確認出来た。


ケレスが指揮する軍は第二王子派に対して勝利を収め街を守ったようだ。


「本当に良くやってくれた、今日は疲れただろう?部屋を用意するからもう休め、私は街の復興を行わなくてはならんから、話の続きは明日行おう」


建物は修繕魔法で簡単に直せるのだ。


これより王自らが街に出て修繕の手伝いを行うつもりのようだ。


「お供します」


アレスも王の手助けを行うようだ。


「うむ、それでは行こう」


王が部屋から出て行く。


アレスは着いて行かずにアリシアとチェルシーの元に来た。


「二人とも、魔力制限の修行はこれで終わりにしようか、一年程やったがこれで爆発的に力を増すのはもう限界だ、ここからはお前達自身の努力を更に行って力を増して行くしかない」


「分かったわ」


「分かりました」


アリシアとチェルシーは魔力制限の魔導具を父に返す。


一年程毎日を共にした魔導具とのお別れだ。


「それでは王に言われた通り今日は休め、お休み」


「うん、お休みお父様」


アレスは娘の髪を撫でると部屋から出て行き王を追う。


そんな父の背中を見送ったアリシアはチェルシーと共に与えられた部屋に向かい休むのであった。



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