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十一話、アリシアVSエルアーヌ

〔サザノエル要塞跡地〕


アリシアがアレスとチェルシーと共に要塞跡地にやって来た。


既にケレス率いる軍が待機している。


「来たな、早速作戦を始めるが構わないか?アレス」


「うむ、始めてくれ、アリシアも良いな?」


アレスが隣に立つ娘の顔を見るアリシアは準備は出来ていると頷いた。


「それでは作戦開始!目標はここにいる魔族一派の撃破だ!行くぞ!」


裏に魔族がいると確定した今敵の一派の名前は魔族一派と改められた。


彼等の組織名が分かれば更に変化する予定だ。


「お嬢様、お気をつけて、エルアーヌは恐らくお嬢様を狙って来ます」


「ええ、そうでしょうね」


何回か戦ってエルアーヌとは因縁がある。


だからこそだ必ずエルアーヌは自分を殺そうとして来るだろう。


しかしそれはアリシアとしても臨む所だ向かって来るなら相手をして必ず勝つ。


「うぉぉ!」


敵は自分達が魔族の傀儡になっている事は理解している。


それでも魔族が約束し与えると言った富に目が眩んでいる彼等は人類に対しての敵対行動を止める事はない。


アリシアは迫る剣を避けると叩き折り蹴りを腹に叩き込んで意識を奪う。


「くっはぁ!?」


男はあまりの痛みに悶絶しながら意識を失う。


「死ねぇ!!」


背後から別の敵兵が斬りかかってくるがチェルシーが火柱を立てて動きを止めそして真上から振り下ろした斧で一気に押し潰し戦闘不能にした。


「うふふ、やるわね」


戦っていると女の声がしたアリシアが振り返るとそこには魔族の姿となったエルアーヌがいる。


「そんな姿になってまで富が欲しいの?」


「ええ欲しいわ、富も権力もね!そしてお前達人間を我々魔族の奴隷にする、それも私が欲しいものに加わったわ」


エルアーヌは完全に魔族と化した思考を披露する。


「お父様もセバスチャンも言ってたけど本当に魔族とは相容れないのね」


始めて魔族と人類が接触した時は人類側は平和的に魔族と関わろうとした。


しかし魔族達はエルアーヌのような思考をしている者しかおらず対話をしようとしていた人類は多大な被害を受けた。


そのため人類は魔族との対話は諦め現れたら現れなくなるまで殲滅すると決めたのである。


「うふふそうね、相容れないわ、だって魔族になって理解したもの、お前達人類は我々魔族にとっては下等生物であり我々こそこの世界を支配するべき優良種であると言う思考になるとね?」


「そんな思考をしている奴等が優良種?それこそあり得ないわ!」


アリシアはミーティアを発動させエルアーヌに斬りかかった。


「!」


するとエルアーヌはアリシアのスピードに反応して剣を受け止める。


「うふふ、もうあなたに手も足も出なかった私ではないわよ?魔族になって本当に強くなったのだから!」


エルアーヌはそう言って魔力を放つ。


すると地面から無数の植物の蔓が飛び出しアリシアは近くにいた兵に襲いかかった。


アリシアとチェルシーは全て避けたが兵が何人か串刺しにされて死亡する。


「くそっ!」


仲間が殺されたのを見てアリシアは怒りエルアーヌに向けて連続して剣を振るうがエルアーヌは以前と違いアリシアの剣技について来る。


「あはっ、転生者ともこんなに戦える…これが魔族の力なのね!」


エルアーヌは頬に手を当てて己が得た力に陶酔する。


「どうしますかお嬢様、彼女ネーラと言う魔族よりも強いですよ」


「そうね、でも負ける私ではなくてよ?」


アリシアは負けるつもりなど一切ない。


「だってお父様やお母様がくれたこの体と力とあなたがいるのだもの!」


「そうですね!」


「チェルシー、あなたは蔓の対処をお願い!私は本体を斬る!」


「了解しました!」


アリシアはミーティアで更に加速しエルアーヌに攻撃を仕掛ける。


「フン!さっきと何も変わらないじゃない!」


「あら?そうかしら?」


迫るアリシアその動きは先程と変わらないように見えたが斬りかかる瞬間に分身しエルアーヌは飛び蹴りを顔に喰らう。


「なっ…」


「ふふっ、インビジブルスター、私の姿をした星々よ」


インビジブルスター見た目では分からない程に精巧に投影された分身を作り動かす事で敵を撹乱する技だ。


精巧に分身が作られているため攻撃をしなくては本物か偽物かは見抜けずエルアーヌはアリシアの飛び蹴りを顔に喰らった。


「ちぃ!」


増えていくアリシアの分身エルアーヌは舌打ちをしつつ蔓で分身を消し去ろうとするがチェルシーが炎で蔓を焼き切るため分身を消す事が出来ない。


「せぇやぁ!」


インビジブルスターに対処出来ずチェルシーに蔓を焼かれるエルアーヌはアリシアに懐に潜り込まれると下から振り上げた斬撃により胴体を大きく斬り裂かれ血を吐いた。


「ふぅん、魔族の血って紫色なのね」


「この小娘がぁ!」


エルアーヌは痛みに耐えつつアリシアの腕を掴むと真上に持ち上げて地面に叩き付けようとする。


しかしアリシアはミーティアの推進力でエルアーヌを持ち上げると逆に地面に叩き付けた。


「コメットボムラッシュ!!」


「くぅ!」


地面に倒れたコメットボムが連続して飛来するアリシアはこれでエルアーヌを倒し切るつもりだ。


「うぁぁ!!」


抵抗出来ないエルアーヌは苦しむが突然悲鳴が収まったアリシアが攻撃をやめて確認するとネーラが立っていた。


「随分とやられたわね?エルアーヌ、それではご褒美をあげる事は出来ないわよ?」


「申し訳ございません…」


アリシアに負ける直前まで追い込まれていたエルアーヌはネーラの言葉に俯く。


「だからもう一段階あなたを強くするための力を与えてあげるわ」


そう言ってネーラは尻尾の先端をエルアーヌに突き刺し力を送り込み始めた。


「ふぁ…あはははは!!!!!!」


エルアーヌはネーラの魔力を受けて膨れ上がり高まって行く力に高揚感を覚え高笑いをした。


「さぁ、その姿であの小娘を今度こそ殺しなさい!」


「はぁ…はいご主人様…」


更に変異したエルアーヌの皮膚は緑色に変わり全身から蔓を生やしている。


「あはぁ!!」


エルアーヌは蔓を四方八方に向けて放つとアリシアの分身を全て消し去った。


「やるわね」


アリシアはインビジブルスターを破られたのを見て感心する。


「さぁ小娘、今度こそお前を殺して私はご主人様からのご褒美を頂くわ」


無数の蔓をゆらめかせつつエルアーヌは邪悪に笑う。


アリシアはチェルシーと頷き合うと強化されたエルアーヌに向かって行く。


〔サザノエル要塞跡地〕


周囲の戦闘がケレス率いる軍勢によって勝利を収めかけている中アリシアはエルアーヌに斬りかかった。


「うふふ、さっきまでの私とは違うわよ!」


エルアーヌはアリシアの剣を蔓で止めると少女の四肢を蔓で拘束した。


「うふふ、どう?これが私の新しい力よ?」


アリシアを軽く拘束して見せた事をエルアーヌは誇る。


「やるわね、でもあなたの相手は私だけではなくてよ!」


「はぁ!」


エルアーヌの背中を狙ってチェルシーが斧を振るう。


「ちぃ!」


エルアーヌの背中はその一撃によって斬り裂かれるがエルアーヌは即座に蔓を差し向けてチェルシーを串刺しにしようとするが。


チェルシーは全て避けながらアリシアを拘束する蔓を斬り飛ばし自由になったアリシアはエルアーヌの顔に蹴りを叩き込んで吹き飛ばした。


「やるわね!チェルシー!」


「はい!お嬢様!」


二人はハイタッチし合いエルアーヌが立ち上がるのを見守る。


「このぉ!!小娘共がぁ!」


ネーラの手により変異し更に力を得ても目の前の二人に勝ち筋が見えないエルアーヌはその事に焦り二人に向けて口から毒液を放ったがチェルシーはそれを炎で燃やして消し去る。


「何故勝ち筋が見えないのか不思議そうにしているわね?そんなの簡単よ?」


「何よそれは!」


「私達がずっと鍛錬を続けていてそして沢山の戦闘の経験を積んで来たからだわ、あなたはその二つが足りないから私達に勝てないのよ!」


アリシアはそう言うとエルアーヌに一気に迫り胸に剣を突き刺した。


「くっそ…」


エルアーヌは紫色の血を吐き力なく地面に倒れる。


「ふっふふふ、あはは!」


しかし倒れたエルアーヌは高笑いをする。


「ねぇ!ご主人様はどこに行ったのかしら!」


「…どう言う事?」


「あら?わからない?私の役目はゴホッ…あなた達をここに引き付けるって事よ」


「…!」


アリシアは理解したいつの間にかいなくなったネーラが今正に王都で反乱を起こしたのだろうと。


「お父様!聞いた!?」


「あぁ!王都に急ぎ向かうぞ!」


「させないわよ!」


エルアーヌは最後の悪あがきとして自爆する。


「お嬢様!」


アリシアに迫る爆発。


チェルシーがアリシアの前に立つと炎の壁を作って爆風を防いだ。


「大丈夫ですか?お嬢様」


炎の盾でアリシアを守ったチェルシーは無事か聞く。


「問題ないわ、でも…」


アリシアとチェルシーは無事だったがアレスがなんとか守った者以外はかなりの人数戦闘不能にされた。


「倒れていない者だけでも王都に帰還し反乱に対しての対処をするしかない、行くぞアレス」


王都で本当にネーラが率いる第二王子派反乱が起こったのならば傷付いた者の治療をしている暇などない。


今すぐ戻って反乱に対する対処を王都にいる騎士団と共に行わなくてはならないのだ。


「あぁ、アリシア、お前も行くぞ!」


「ええ!」


アリシアはケレスが率いる軍勢とアレスとチェルシーと共に王都に向けて転移した。




〔王都グランセイス〕


王都にやって来ると火の手が回っていた。


いきなり放たれた火に王都の住民は逃げ惑っていた。


「くっ…エルアーヌに注視しすぎたな…」


ケレスは自分の失態を嘆きつつ兵を指揮して第二王子派の兵との戦闘を開始する。


「アレス、お前達は王の元へ!」


「あぁ!」


アレスは娘とメイドを連れて迫る第二王子派の兵を斬り伏せつつ進み始めた。



〔王城〕


「どうもこんばんは?王様?」


ネーラが王の元に現れた。


「お前がこの反乱を起こした魔族か」


「ええそうよ、お父様」


ネーラは挑発的な表情で王を父と呼んだ。


「やはりお前か…サイノフ…」


王は今の言葉で目の前の女魔族が元息子だと理解する。


「ええ、私がその元サイノスよ、今は生まれ変わってこんな美しい体を手に入れたわ!この国の支配者になるに相応しい体をね!」


ネーラは邪悪な魔力をその身から迸らせる。


瘴気を大量に取り込む事でネーラは以前アリシアが戦った時と比べて飛躍的に力を増しているのだ。


「それじゃあ死んで貰うわ?お父様!」


邪悪な笑みを浮かべながらネーラが王に向けて迫る。


「させないわよ!」


しかしアリシアが間に合いネーラの剣を止めた。


「あら?アリシア、エルアーヌを倒したのね?」


「ええ、次はあなたを斬るわ」


アリシアはネーラを振り払い権を構える。


「フン、斬っても良いのかしら?私こそ第二王子なのだけれど?」


「!」


アリシア達はネーラの言葉を聞き王の顔を見るすると王は事実であると頷いた。


「私には分かる、この女魔族は我が息子だ、しかし魔族に身を堕とし反乱を起こしたその者はその時点で国に害を成す敵だ、だからこそ斬る事を止めたらはせぬぞ」


王がネーラに斬りかかる。


「あはっ私を殺すの?ひど〜い」


ネーラはクスクスと笑いつつ父を煽る。


「今言ったばかりであろう?魔族になって知能が落ちたか?この愚か者め!」


王はネーラを押し込んで行くがネーラは邪悪な笑みを浮かべると漆黒の魔力を迸らせた。


「ナイトメア!」


そして一瞬で王の目の前から消えると王の背後に現れ首を刎ねようとする。


「はぁ!」


アリシアがネーラの動きに追い付き王を庇った。


「その力は…」


「うふふ、そうよ?あなたのミーティアの対となる魔法だわ」


星属性の加速魔法がミーティアだとすれば闇属性の亜種属性蝕属性魔法の加速魔法がナイトメアなのだ。


「前はこの力を使えなかったけど大量に瘴気を吸収した事で覚醒したの、だからあなたでも私に勝てるかどうか、見ものね?」


ネーラが加速しアリシアの背後に回り蹴りを放つ。


アリシアはその動きに反応して避けると剣を振り上げたネーラはその剣を止めてアリシアと鍔迫り合いを行う。


「前負けた時とは違うわよ!今の私はね!」


ネーラがアリシアを押し切った。


彼女はそのまま追撃を行おうとするがアレスとチェルシーの炎が迫り着弾する。


「チッ、お邪魔虫ね!」


ネーラは二人に向けてナイトメアクラッシュを放った。


蝕魔法版のコメットボムだ。


「効かん!」


アレスがそれを炎で防ぎアリシアの突きがネーラの肩を掠めた。


「せぇい!」


続いてアリシアの蹴りがネーラの腹に喰い込み吹き飛んだ彼女は壁に激突した。


「やるわね」


ネーラは力を増してもアリシアの方が技量が上だと舌を巻く。


「仕方ないわね、私も見せてあげるわ、魔族の第二形態をね!」


ネーラが変異を始めた。


背中から蝙蝠の翼が生え四肢は漆黒の甲殻に覆われて行く。


「ふぅ…どう?これが私の第二形態よ!これでお前達を全員殺してあげるわ!」


変異を終えたネーラは先程よりも速いスピードで動きアリシアを蹴り飛ばす。


「くぅ!」


その攻撃を腕で防いでいたアリシアは反撃するがネーラは避け今度はアリシアの脇腹に蹴りを叩き込み少女は地面を転がった。


「あはは!さぁ!もっともっと私を楽しませなさいな!」


己の力があればこの戦いに勝てるそう確信しているネーラの邪悪な笑い声が王都に響く。



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