二十六話、二人目の聖女
〔サーストン家〕
明日黒鴉本部への攻略作戦を行う事で決まり今日はそのための休養日とされた。
明日の作戦を万全な状態で行うためである。
「四人とも体は大丈夫か?」
アレスは前日レイラに負けてかなりのダメージを負ったアリシア達四人に体の状態を尋ねる。
四人とも明日の作戦確実に大戦力となる存在だそのため体に問題があるのならば急いで治療を行わなくてはならない。
アレスは問題があると言うのならばとある方法を使い治癒魔法で治してもらうつもりだ。
「私は問題ないわ」
アリシアは転生者の特性のおかげでダメージの回復が早くもうほぼ全快状態になっている。
今日休めば明日には全力を出せるようになっているだろう。
「私も大丈夫です師匠」
チェルシーもアリシアと同等の回復速度を持っている。
アリシアはなんでそんな転生者でもないのに回復が早いんだ?と昔から思っていたりする。
「猫族も回復が早いのでもうほぼ治ってるにゃ」
獣人はこの世界の人間の亜種であるが体の動物要素が回復力を高めており流石に転生者よりは劣るが回復が早いのだ。
「私はまだまだです…聖女は他人を癒すのは得意ですが自分の回復力を高めることは出来ませんから…」
回復魔法は他人にはしっかりと効くが自分自身には効果がかなり減退する。
そのためセレティアの回復が四人の中では一番遅れている。
「分かった、ならセレティア、他国の聖女にお前達の回復を頼んでいてな、今から向かってくれ」
アレスはそう言うとポータルを指差す。
ポータルで飛んだ先に他国の聖女が待っているのだ。
「了解、お父様は行かないの?」
「俺は明日のための準備があるからな、それに昨日のダメージはお前達と比べると少ないから問題はない」
もっとダメージを受けていたらついて行っていたが問題はない程度なので明日の準備を優先するのだ。
「分かった、それじゃ行って来るわね」
「うむ」
アリシア達はポータルを使い他国に向かう。
ベルクラフ王国
ベルクラフ王国はナタリア国と同盟を結んでいる国でこの国にも聖女がいる。
「待っていましたわ、久しぶりですわね?セレティア」
ポータルでの転移を終えると早速一人の女性が話しかけて来た。
セレティアが聖女になる五年前に聖女になった女性マーナである。
「お久しぶりです、マーナ先輩」
セレティアはマーナに挨拶をする。
「ええ、それとあなたがアリシア様ですのね?お会い出来て嬉しいですわ!」
マーナは転生者であるアリシアに会えた事を喜び彼女の手を取る。
「初めまして、早速で申し訳ないのだけどセレティアの治療をお願いしたいの、頼めるかしら?」
アリシアはマーナにセレティアの回復を頼む。
「可能ですよ、セレティア、こちらに来なさい、治療魔法を掛けてあげますわ」
「分かりました、お願いします」
「それでは始めますわ」
マーナがセレティアの回復を行う。
マーナはセレティアの回復をメインとしつつ周りにいるアリシア達の回復も行う。
広範囲ヒールだ。
「癒されるー…」
四人は体が回復して行くのを感じ五分もすれば全快した。
「ありがとうございます、マーナ先輩、お陰で明日の戦い全力で戦えます」
セレティアは治療を行ってくれたマーナにお礼を言う。
「うふふ、この見返りはそのうち受け取りますわ、今後あなた方に何か依頼を回すのでそのつもりで」
回復の対価として依頼を持ちかけると言うマーナ。
アリシアはそれを聞き快く引き受けようと決めた。
「話は変わりますがあなた達がやられた相手、黒聖女だそうですわね?」
「はい、レイラと言う黒聖女です」
「レイリーゼの子孫みたいにゃ」
「あのレイリーゼの…」
マーナはこれは厄介かつ強力な敵だと思う。
「勝ち筋はありますの?」
「私が剣聖として覚醒出来れば…」
勝てるかもしれないアリシアはそう思っている。
「…それは簡単な事ではありませんわ、剣聖以外の勝ち筋がないなら明日出て来たらまた負けてしまいますわよ?」
レイラが出て来たら現状負ける彼女とはそれ程の差があるのだ。
「情けない話だけど現状は明日出て来ない事を祈るしかないですね…」
「そうね…」
それが明日の黒鴉との決戦の勝ち筋である。
「私も参戦出来たら良いのですが…私はあくまでもベルクラフ所属の聖女、国が許可を出さなくては他国にはいけないのですわ…」
今から国の許可を得るのは難しい。
そのためマーナにたかを貸してもらうのは不可能だ。
「出てきたら出来る限りの事をするだけだわ、ねっ?みんな?」
「ですね」
「そうにゃ!」
出来る限りの事をして戦いなんとか抑え込めば他の仲間達が確実に黒鴉との最終決戦に勝利してくれるだろう。
それが明日レイラが出て来た場合のアリシア達の勝ち筋だ。
「頑張ってくださいまし、ここからあなた方の勝利を祈っていますわ」
マーナは優しく微笑みながらアリシア達の勝利を祈ると言ってくれた。
「はい!必ず勝って報告しに来ます!」
セレティアがその言葉に返事をしアリシアは彼女に手を振るとアリシア達はマーナと別れサーストン家に帰還する。




