二十三話、黒聖女
〔王都グランセイス冒険者ギルド〕
ギルドにやって来たアリシア達はレイリックを待っている。
「今時間がありますし丁度いいですね、アリシア様少しお耳に入れておきたい事が」
セレティアは少し時間があるためアリシアに話したい事があるようだ。
「何?」
チェルシーと腕相撲をして遊んでいたアリシアは振り返り微笑む。
「黒聖女についてです」
「確か人間側を裏切って魔族側に付いた聖女達だったかしら?」
アリシアは歴史の授業で聞いた事があるため習った通りの事を話す。
「はい、正直言って許し難い存在です、我々聖女とは人々を守るために存在する者、それなのに彼女達は…」
セレティアは聖女となるための授業の過程で聞いた黒聖女が魔族との戦争当時にした事を思い出し怒った顔を見せる。
「セレティア、その黒聖女がどうしたの?」
アリシアはセレティアに黒聖女がどうしたのか聞いた。
「当時の戦争で勇者様やあなたの先代様は仲間を率いてその裏切り者達を斬りました、そのおかげでかなり数は減ったのですが、当時も生き残った者が確認されています、その子孫が敵として現れる可能性があるのです」
黒聖女の生き残りは聖教会としては確実にいると判断している。
何故なら全て仕留められなかったと記録に残っているからだ。
「人間なのでしょう?黒聖女は、説得出来ないの?」
アリシアは基本的に人は殺さない方針だ。
そのため黒聖女が人間ならば出来る限り斬りたくないそのため説得出来ないのか聞く。
「彼女達は魔王に魂を売って魔人化しております、そのため人間ではありませんよ」
魔王に魂を売って邪悪な魔人となる事で黒聖女達は強力な闇の魔法を使う事が出来るのだ。
「そう…当時の聖教会は縛りが強かったとは聞くのだけど裏切るほどなのかしら…」
「確かに今のように聖女達に自由はありませんが方針自体は今と変わりません、人々を守り世界に光をもたらす、それが我々聖教会の考え、その考えを捨てている時点でやはり愚か者なのです」
セレティアは聖女と言う立場を誇りに思っている。
そのため人類を裏切って離反した黒聖女の事を話す時は聖教会で他の者と話している時でもプンスコしている。
「なるほどね、理解したわ」
アリシアは今の話を聞き魔人であり人間でないなら斬れると思う。
元々が人間でその子孫だったとしても民の生活を脅かす敵だ。
彼等を守るためにももし再び現れると言うのならばアリシアは斬るつもりである。
「やぁアリシア、待たせたか?」
話し終えるのと同時にレイリックがやって来た。
基本的にソロで活動する彼は一人である。
「初めましてにゃ、ニャルカにゃ、よろしくにゃ」
ニャルカはフレンドリーに挨拶した。
「私の事はご存知ですよね?レイリックさん、お久しぶりです」
ニャルカは初対面だがセレティアとは会った事がある。
そのためこの挨拶になった。
「よろしく、ニャルカ、それとセレティア様もお久しぶりだ」
レイリックはニャルカとセレティアにそれぞれ挨拶をした。
そしてチェルシーにも挨拶しアリシアの前に立つ。
「昨日振りね?」
「あぁ、…ここに来る前にこれを見かけてな、貰ってくれるかい?」
レイリックは包みをアリシアに渡す。
受け取ったアリシアが開けると中には綺麗なルビーのネックレスが入っていた。
「わぁ!可愛い!ありがと!」
アリシアはとても嬉しそうな顔を見せレイリックの前で背中を見せると髪を掻き上げる。
「着けて!」
普段も子供っぽい所はあるがこうやってプレゼントを貰った時はアリシアはさらに子供っぽくなる。
そのため貰ったネックレスを着けて欲しいと言ったのだ。
「分かった」
レイリックはアリシアから渡したばかりのネックレスを受け取ると首に着けてあげる。
「似合う?」
ネックレスを着けて貰ったアリシアは首を傾げ微笑む。
「あぁ、とても」
レイリックは微笑むアリシアに見惚れてしまったのを誤魔化すかのように背を向ける。
アリシアは背を向けた彼を見て不思議に思う。
「それじゃ仕事を受けよう」
レイリックはあっさりと惚れてしまうものなのだなと思いつつ仕事を選ぼうと言う。
「そうですね、あまりギルドでゆっくりしていると夕方になってしまいますから」
セレティアが同意し一緒にクエストボードに向かう。
アリシアとチェルシーとニャルカも着いて行く。
「今回は強い魔物にしよう」
「そうね弱いと修行にならないもの」
レイリックは色々と見て一つの依頼に目をつける。
「これはどうだ?」
目を付けた依頼についてレイリックは少女達に意見を聞く。
「良いわね今日はこれにしましょう」
アリシアはその依頼を見て受けることに決めた。
中またを見ると頷いたのでこれで決まりである。
「よし、さっそく受けて来るよ」
レイリックは依頼書を手に取るとカウンターに向かって行った。
「それじゃみんな今日も頑張るわよ!」
「はい!お嬢様!」
四人は今日も頑張ろうと四人で腕を振り上げ気合を入れ合う。
十分に気合を入れた四人の少女達はレイリックが戻って来るのを待ち始めた。




