二十話、レイリックと
〔サーストン家〕
ギルドの冒険者達と騎士団に休みが必要なため次のアジト襲撃は三日後となる。
そのためアリシアはいつも通りの日常を過ごしていたが突然アグリックの声が脳内に響いた。
『嬢ちゃん今から来れるか?レイリックが今日は家にいてな』
「行けるわよ、少し待ってて」
『了解だ、王都のギルドで待っている』
「ええ」
お茶をしていたアリシアはアグリックとの会話を終えると立ち上がる。
「まあ約束したって言ったと思うけどアグリックさんの息子さんに会いに行って来るわ、勉強になりそうだし」
歳上かつ実力者であるレイリックとの会話は勉強になりそうだとアリシアは思っている。
だからこそ楽しみにしていたのだ。
「…」
一緒にお茶をしていたアレスとしては気が気ではない。
レイリックとは何回か話した事があるアレスは正直言って良い男だと思っている。
そんな彼にアリシアが惚れてしまうのでは?と思ってしまうのだ親馬鹿である。
「あなた?複雑な顔をしないの」
「分かっている…」
アレスは妻の言葉を聞くと大人しくなる。
アリシアはそんな父を見て首を傾げた。
「なんでもないわ、ほら行ってらっしゃい」
「ええ、チェルシー準備は出来ていて?行くわよ?」
「はいお嬢様」
アリシアはチェルシーを連れて転移しようとする。
その前にテレシアが声をかける。
「任せたわチェルシー」
「はい、奥様」
この言葉はテレシアがチェルシーを信用している証拠の言葉何故なら娘を任せると言っているのだから。
チェルシーはその言葉を嬉しく思いながらさっきから何の事だ?と思っているご令嬢と共に転移する。
〔王都グランセイス〕
二人は王都のギルドのアグリックの部屋にやって来た。
中には今日は仕事が休みであるアグリックが待っていた。
「よく来たな、それじゃ早速俺の家に行くぞ」
アグリックが手を差し出した。
二人はその手を取り彼と共に転移して彼の家の前に現れた。
「意外と普通の家なのね?」
アグリックは貴族の筈なため尚更アリシアは普通な家な事に驚いているのだ。
「まぁな、実家はデケーが俺の家族しか住まないからな、そんなデカい家は必要ないのさ」
アグリックには兄がおりその者が当主として実家を管理している。
貴族は家族が同じ屋敷内に暮らしていると言うこともあるためアグリックは実家に住むことも出来るはずなのに自分達だけが暮らせれば良い家を選んでいる時点で彼らしい。
「それじゃ入ってくれ」
アグリックに案内されて二人は家の中に入りリビングに通された。
そこにはレイリックがおりアリシアはアグリックとはまた違った雰囲気の人だなと思う。
「初めまして、レイリックだ」
「こちらこそごきげんよう、これからよろしく」
アリシアとレイリックは挨拶を交わし合いレイリックは令嬢の手を取ると椅子までエスコートする。
(流石は歳上なだけはありますね、気遣いがバッチリです)
チェルシーは冷静に品定めしている。
「早速で悪いが君の活躍は聞いているよ、その時でその活躍は俺には出来なかった事だ、凄いと思う」
レイリックが冒険者として活躍を始めたのは十三歳頃で名が知られ始めたのは十四歳頃だ。
そのためアリシアのように十二歳で名が知られているアリシアは十分に凄いことをやって見せている。
「そんな君の実力を見せて欲しい、試合をして欲しいんだが構わないか?」
レイリックはアリシアの実力を見たいと試合を申し込んで来た。
相手の実力を知るためには試合が一番だそうする事でお互いの違いが分かり勉強にもなる。
「父さん、良いか?」
「おう構わねぇぜ、そう言うと思ってたしな」
アグリックは二人と共に中庭に出る。
彼はそこで鍛錬用に置いてある木剣を渡すレイリック用は大剣型だ。
「それじゃ行くぞ!」
レイリックが斬りかかって来る。
アリシアはギリギリまで引き付けると振り下ろされた大剣を避け懐に潜り込むと突きを二連撃軽く当てた。
「やるな!」
レイリックも少女に軽く当てる。
実戦ならこうして横っ腹に一撃を貰ったら下手をすると骨が折れてしまい行動不能になるかもしれない。
そのためその一撃を確実に当てて来たレイリックは間違いなく強い。
「流石アグリックさんの息子ね!」
「そっちこそ!」
二人は楽しく模擬戦を行いこの試合は二人にとってとても勉強になる。
「引き分けだな」
「ええ」
決着が付かなかった試合はアグリックが止める事で終わったのだ。
「凄く楽しかったわ!またやりましょう!」
アリシアはレイリックに近付くとまたやろうと微笑む。
レイリックはその笑顔を見て頬を赤く染めた。
何故ならとても可愛らしい笑顔だったからだ。
「おや…」
その様子を見ていたチェルシーはこれは芽吹いたか?と思う。
「ほら二人とも?お茶にしましょう、試合は終わったのでしょう?」
アグリックの妻でありレイリックの母であるレナがお茶にしようと言って来た。
アリシアの笑顔を見て心臓の高鳴りを感じていたレイリックは母の言葉に頷くとアリシアの元に向かい木剣を受け取ると手を取って家の中にエスコートする。




